oicchimouseのおいっち・にー・さん・しー

oicchimouseの森の図書館員がめくるめく絵本の世界をご案内いたします。お子さまも大人の方もどうぞひと休みしていってくださいな。

大人のためのレオ・レオニ『平行植物』

【今日のおすすめの本】(対象…大人)f:id:oicchimouse:20240411095234j:image

『平行植物』

レオ・レオーニ 作

宮本淳 訳

工作舎

 

 

芽吹きの季節。植物が生き生きし始め、心地よい気分になります。

 

 

この時期に読みたくなるのが、スイミーやフレデリックでお馴染みのレオ・レオニ氏による、幻想の庭・想像の山野に繁茂する数奇な植物たちの博物誌『平行植物』です。

 

 

 

幻想の庭・想像の山野……つまり、これはレオ・レオニ氏がでたらめに作った実際には存在しない想像上の植物について、リアルな挿絵とともにものすごく真面目に解説している、世にも奇妙な学術書なのです。

 

 

 

〈目次〉

平行植物図版集成
はじめにーレオ・レオーニ
主要平行植物一覧表

第1章平行植物とはなにか
第2章 起源をめぐって
第3章 形態について
第4章 タダノトッキ科
第5章 森の角砂糖バサミ
第6章 カラツボ
第7章 グンバイジュ
第8章 キマグレダケ
第9章 アリジゴク
第10章 マネモネ
第11章 メデタシ
第12章 キチガイウワバミ
第13章 ツキノヒカリバナ
第14章 夢見の杖
第15章 ユビナリソウ

エピローグ=「タマウスの贈り物」
平行植物奇譚年譜

 

 


エピグラフとして、詩人マリアン・ムーアの『詩』という著作のなかの

「想像の庭に棲むほんもののカエル」
Imaginary gardens with real toads in them

という一節が掲載されています。

 


本物のカエルがいる想像上の庭を作ることができてこそ本物の詩人ということですね。

 


この言葉をエピグラフにしているところからも、レオ・レオニ氏の並々ならぬ本気度が伝わってきます。

 

f:id:oicchimouse:20240411095639j:image


この本を想像上の植物の話だと知らないままに読んでいたら、普通に信じてしまうほど緻密に作られています。


そう。

 

想像の庭に作られた想像上の植物〈平行植物〉は、すでに「ほんもの」になっているのです。

 

 

スイミーとはまた違った魅力に溢れる『平行植物』。

ぜひぜひ、楽しんでみてくださいね〜。

 

 

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

そこは潮の香りただよう心地よく曖昧な世界『わたしのおふねマギーB』

【今日のおすすめ絵本】(対象…4歳頃から大人まで)

f:id:oicchimouse:20240401213223j:image

『わたしのおふねマギーB』

アイリーン・ハース 作・絵
うちだりさこ 訳
福音館書店

 

 

◎当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

 

 

今日は4月1日。

いよいよ新年度のはじまりですね。

朝からあちらこちらで真新しいスーツに身を包んだ大学生や新入社員らしき方々を見かけました。

気温も上がって暖かく、みなさんニコニコと楽しそうな表情で、なんだかこちらまで清々しい気持ちに…。

 

この時期に毎年読みたくなるのが、こちらの『わたしのおふねマギーB』。

 

 

環境が変化するこの時期特有のワクワクもザワザワも丸ごと「マギーB」に乗せて、気持ちの良い船旅をぜひ楽しんでください。

 

 

 

(あらすじ)

 

これは おねがいが かなった おはなしです。

 

あるばん、マーガレット バーンステイブルは おほしさまに おねがいしましたーーー

 

ほっきょくせいさん

うみの おほしさん

おふねが ほしいの

わたしの なまえつけた おふねで

おもいっきり うみを はしりたいの

いちんちじゅう

だれか なかよし

いっしょに のせて

 

そして マーガレットは ベッドに もぐりこみました。

 

めが さめてみると、マーガレットは ふねのなかでした。

 

ふねの なまえは マギーB。

(本文ママ)





夜の夢の中のお話なのか、マーガレットの想像の世界のお話なのか、はたまたお星さまが叶えてくれた一日だけの本当の世界なのか。

 

 

とても不思議で曖昧な世界を、マギーBは、気持ちよく走ります。

 

 

船の一番上のデッキには小さな畑があって、ヤギ、ひよこ、りんごとももと、オレンジの木、オレンジの枝にはオオハシ。

 

 

朝ごはん用に、オレンジを一つもぐ…。

 

 

曖昧で自由な世界は子どもの特権ですが、大人もひと時、曖昧な世界に身を置いて、くつろぐのはとても素敵なことです。

 

 

特にのんびりとした特別なひとり時間には…。

 

 

潮の香りがしてきませんか?



 

 

こちらもアイリーン・ハースの作品で、oicchimouseのおすすめです⬇︎

oicchimouse.com

 

最近、アクセスが急上昇している記事です↓

去年の今頃、書いた記事です。

oicchimouse.com

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

 

 

世界お茶めぐりの旅『おちゃのじかん』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から)

f:id:oicchimouse:20240328225841j:image

『おちゃのじかん』

土橋とし子 作・絵

佼成出版社

 

◎当ブログは、アフィリエイト広告を利用しています。

 

 

 

「こんにちはー。このまえ、ふたりでいってきたアルゼンチンのおみやげ、もってきてん。マテ茶っていうお茶もこうてきたし、みんなでのもー。」

 

 

ぼくの家にアルゼンチン土産を持ってきたおばさん。

 

 

マテ茶をおいしくいただきながら、家族がそれぞれの思い出の国のお茶について語り合います。

 

 

お茶を飲みながらお茶の話に花を咲かせるというのが、なんとも粋です。

 

 

全員が関西弁で、のんびり、しかしめちゃくちゃ詳しく説明解説してくれます。

 

 

 

そして、登場人物の顔がみんな非常によく似ているため、途中で誰が誰だかわからなくなってきますが、ちゃんと、裏見返しに家系図がのっているのでご心配いりません。

 

 

みんなで、楽しいお茶の時間のはじまりはじまり。

 

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

毎日のように「おにたいじ」に行く一家『ゆうきのおにたいじ』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から)

f:id:oicchimouse:20240308175553j:image

『ゆうきのおにたいじ』

征矢 清 さく

土橋 とし子 え

福音館書店

 

◎当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

 

 

(あらすじ)

 

征矢清さん、土橋とし子さんコンビによる『ゆうきのおにたいじ』。

 

ある日、おじいちゃんと一緒に山へ遊びに行った「ゆうき」は、鬼にねらわれます。

 

おじいちゃんの助けもあって、なんとか命は無事でしたが、代わりにお母さんが作ってくれたお弁当の入ったリュックサックを鬼に奪われてしまいました。

 

ゆうきは泣き、おじいちゃんは腹を立てました。

 

 

「ええい、わるいおにめ」

「しかたない。あした、おにたいじにこよう」

 

 

ゆうきとおじいちゃんの世にも奇妙な、ゆる〜い「おにたいじ」のはじまりです……。

 

 

途中、山の中に群生している謎の植物「かゆかゆいも」を触ってしまったゆうきは、手が大変なことになるのですが、これはお母さんの「かゆいの、かゆいの、とんでいけ!」で、なんと、あっという間に治ります。

 

「おにたいじ」から帰ってきたゆうきとおじいちゃんの話を聞いたお父さんは、野次馬根性から、ゆうきを連れて鬼に会いに行こうとします。そして、今度は鬼にお母さんとの思い出の品である腕時計を奪われてしまうのです。

 

このことを知ったお母さんは、ゆうきが助かったのはうれしいけれど、「とけいをあげなくたって、よかったんじゃないの!」とお父さんに激怒します。

 

そしてまた別の日、今度は腕時計を取り戻すため、ゆうきが一人で鬼退治に行くことになったのですが、その途中、おじいちゃんの友だちの「ちょうさん」に出会います。

実は、ちょうさんには、子どもの頃「鬼の家のそばに住んでいた」過去があって……

鬼退治が、もはや毎日のライフワークと化している「ゆうき一家」のお話です。

 

最初は鬼退治だったはずが、鬼の子どもがうっかりゆうきの太鼓を壊してしまったときには鬼が弁償してくれたり、いのししの子どもたちと「いのししいもほりかい」に参加したりと、まるで小さな子どもが想像のおもむくままに自由に書き散らしたかのようなお話です。(良い意味で)

 

この、お話があっちにいったり、こっちにいったりして、先が読めないタイプのお話を私は「行きあたりばったり系絵本」と勝手に名付けているのですが、(かこさとしさんのだるまちゃんシリーズの中にも何冊か「行きあたりばったり系」があります)、このタイプの絵本は、先の読めない振り回される感じがクセになります。

 

実際、子どもが一歩外に出てお友達と遊びに行ったら、たまたま別の子と遭遇して合流したり、何から何まで当初の予定とはまるっきり違う、まさに行きあたりばったりの一日を過ごして帰ってくることがよくあります。

そして、自分の子どもの頃を振り返ってみても同じだった気がします。

 

美しく整っていないからこそ醸し出される「リアル」な子どもの日常が、この作品の中にはあるのです。

 

征矢清さんは、作品によって雰囲気がガラッと変わり、その引き出しの多さには本当に驚かされます。

今年デビュー50周年を迎えられた、奥様の林明子さんの作品と共に、ぜひお楽しみください。

 

※征矢さんは、元福音館書店編集者で林明子さんの担当をされていたそうです。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

 

この絵本に触れた瞬間からあなたはもう物語の中にいる『きんぎょ』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年〜大人)

f:id:oicchimouse:20240308090527j:image

『きんぎょ』

ユ・テウン 作

木坂涼 訳

セーラー出版

 

 

 

こちらの「きんぎょ」という絵本は、図書館が舞台のお話です。

 

 

 

主人公のジェジェのおじいさんは、森の奥の古い図書館で働いています。

 

 

 

ある日、ジェジェは、ジェジェの金魚を連れて、おじいさんと図書館へ行くのですが、図書館をあちこち見てまわっているうちに図書館の床で眠ってしまいます。

 

 

 

目が覚めるとあたりは真っ暗になっていて、怖くなったジェジェは、月明かりの窓の下で、きんぎょに本を読み聞かせはじめました。

 

 

 

ところがいつの間にかきんぎょはいなくなり、金魚鉢は空っぽです。

 

 


ジェジェは、慌ててきんぎょを探し、ちらっと本棚の上のほうにきんぎょのしっぽがみえたので、あとを追いかけたのですが…。





* 


非常に幻想的な世界観で、不思議な魅力のある絵本です。

 

白黒のみの絵の中で、本ときんぎょだけが赤で描かれていて、そのコントラストは両者が異世界への入り口であることをより一層強調しています。

 

装丁も個性的で、赤いカバーは、金魚の部分だけが切り抜かれたようなデザインになっています。

 

手に触れたその瞬間からお話が始まっているような、吸い込まれていくような、不思議な感覚。

 

人が読書し、お話の世界へ没入していく瞬間の、あのなんとも言えない独特の感覚を体現したかのような絵本です。

 

みなさんもどこかで『きんぎょ』を見つけたらぜひ、ついて行ってみてください。

 

 

 

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

 

なぜ?いくら脱いでも脱げない『ふしぎな500のぼうし』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から)

f:id:oicchimouse:20240221144529j:image

『ふしぎな500のぼうし』

ドクター・スース さく・え
わたなべ しげお やく
偕成社

 

 

◎当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

 

(あらすじ)
バーソロミュー・カビンズが持っていた、たった一つのぼうしは、おとうさんがかぶっていた古いぼうしでした。

 


その前は、おとうさんのおとうさんがかぶっていました。

 

 

ありふれたぼうし。

けれども、バーソロミューは、そのぼうしが大好きでした。

 

 

ある土曜日、バーソロミューは町へ出かけました。
町の市場で「つるこけもも」を売るためです。

 

 

すると、ラッパの音が鳴り響き馬車に乗った王様の一行が現れました。

「ぼうしを とれえ!」

護衛隊隊長が叫びました。

 

 

次に王様の馬車がバーソロミューの前を通り過ぎたのですが、すぐに馬車は止まりました。

 

 

馬車の窓から王様がバーソロミューをにらみつけているのです。

 

 

「いますぐぼうしをとれ」と王様がバーソロミューに言いました。

 

 

「けれども 王さま、ぼうしは、もう とっくに とっております。」

バーソロミューはこたえました。

 

 

ところがバーソロミューの頭にはまだぼうしがのったまま。

 

 

バーソロミューはあわてて、ぼうしをもぎとりますが、手には二つのぼうし、頭にはまたぼうしがのっています。

 

 

みんな必死でバーソロミューのぼうしをとりますが、次の瞬間には、全く同じぼうしがバーソロミューの頭の上にのっているのです。

 

 

バーソロミューがとったぼうしの数は…4…5…6…7…448…449…450…。

 

 

さて、王様を怒らせてしまったバーソロミューは一体どうなってしまうのでしょう…。





ローラ・インガルス・ワイルダー賞、ピュリツァー賞特別賞受賞の本作。

アメリカをはじめ、世界中で50年以上読みつがれてきた作家、ドクター・スースによる奇想天外で痛快な絵本です。

おびただしい数のぼうしと、訪れる幸せな結末。非常に気持ちの良い読後感です。

 

ちょうど最近読んだ海外の児童書の中で主人公とその友達が、「ドクター・スース」の本名が「セオドア・ガイゼル」だという話をしていて、久しぶりにこちらの本も読みたくなりました。

 

海外での人気に比べると日本ではあまりメジャーではない作家さんかもしれませんが、「グリンチ」の作者だと言われるとピンとこられるかたも多いかもしれません。



 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

ナメクジはハダカナメクジ?魅惑的な方言の世界『蝸牛考』

【今日のおすすめの本】(対象…大人)

『蝸牛考』

柳田国男 著

岩波書店

◎当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

 

 

 

 

先日のインスタライブでご紹介した柳田国男の『蝸牛考』です。

 

 

 

方言が、京都を中心として日本列島に波紋を描くように分布している(方言周圏論)ことについて、かたつむり(蝸牛)の呼び方の地域ごとの調査結果から論じている名著です。

 

 

 

表紙の絵をご覧になっていただくと分かるように、円の一番外側の地域では、カタツムリのことをナメクジと、呼んでいます。

 

 

 

ここで、疑問がわいてくるのが、

 

 

「では、ナメクジはなんと呼ばれていたのか?」

 

 

という謎ですが、カタツムリもナメクジも両方区別なく「ナメクジ」と呼ばれている地域もあれば、不便を感じて、カタツムリの方を「ツウノアルナメクジ」と呼んでいる地域もあったり、また、別の地域では、ナメクジの方を「ハダカナメクジ」と呼んで区別しているのだとか…。

 

 

 

「ハダカナメクジ」という呼び名がなんだか、ハダカデバネズミを彷彿とさせますね。

 

 

 

ほかにも、カエツムリ、カタカタ、デェロデェロ、ヘビタマ、メェメェ、モイモイなどなど、見ているだけでわくわくしてくる呼び名がたくさんあります。

 

 

 

みなさんのお住まいの地域では、カタツムリをなんと呼んでいますか?

 

 

 

知られざる方言の奥深い世界をご堪能ください。

 

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

 

“ことば”こそ人間の実体『アメリカインディアンの えもじのえほん』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から大人まで)

f:id:oicchimouse:20240209091845j:image

◎当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

 

 

『アメリカインディアンの えもじのえほん』


ロバート・ホフシンド
金石教子 編

至光社 ブッククラブ国際版絵本

 

 

 

クリストファー・コロンブスがインドとかんちがいしたアメリカ大陸に古くから住んでいた人びとは、いまでもインディアン=インド人とよばれています。

 

彼らには自分たち独自のよびかたがあったと思われますが、その種族のほとんどが失われてしまった現在、外側からの人間が一方的につけた呼称しか残っていないので、私も彼らには深い敬意と同情を抱きながら、便宜上、アメリカ・インディアンの呼称を使わせていただきます。

 

アメリカ・インディアンの絵文字は古くから使われ、いまもって生きている"ことば"で、人間が同じ形象をし、誰の目にも自然が同じく映るならば、このアメリカ・インディアンの“ことば”こそ世界でもっとも解りやすい文字の原形であると、私は思います。〈中略〉

私たちはこのことばの源をたずね、祖先の足跡をたどりながら、われら地球人の未来への指針をしっかりと把握していかねばなりません。〈後略〉

〈編者 金石教子さんによる(あとがき)より原文ママ〉

 




アメリカ・インディアンの絵文字はエジプト絵文字→シナイ文字→フェニキア文字→ギリシャ文字、そしてアルファベットへとつながっていき、古代中国の象形文字もまた漢字へとつながっていきます。

 

 

編者の金石さんは「“ことば”こそ人間の実体であり人類文化の原点である」と本著で述べられています。

 

 

この本の素朴でどことなく愛嬌のある絵文字の数々を眺めていると、いかにこの文字が人々の生活に根付いていて、相手に気持ちを伝えたいという強い想いからくる創意工夫によって生み出されたものであるのかが、ひしひしと伝わってきます。

 

 

アメリカ大陸の忘れてはいけない歴史と共に、今もアメリカ・インディアンと呼ばれている彼ら先住民の暮らしや文化に想いを馳せながら読みたい一冊です。

 

 

 

*かつて一世を風靡した「千の風になって」という歌は、アメリカの詩「Do not stand at my grave andweep」が日本語に訳され、曲が付けられたものですが、この元々の作者は、アメリカ人のメアリー・フライさんという方だといわれています。

しかし、この詩の起源をさらに遡るとアメリカインディアンにいきつく、との説もあるようです。
(真偽は不明ですが、何となく納得できるような気もします。)



 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

生まれる前の赤ちゃんの気まぐれな物語『あかちゃんでておいで!』

【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃〜大人まで)

f:id:oicchimouse:20240208091724j:image

『あかちゃんでておいで!』

マヌシュキン さく

ヒムラー え

まつながふみこ やく

偕成社

 

(あらすじ)

トレシーかあさんは、お腹の赤ちゃんが大きくなるように、たくさんご飯を食べます。

 

 

「ほら、おいしいでしょ、あかちゃん?」と聞くと、お腹の奥の方であかちゃんは、「うん、うん。」と言いました。

 

 

かあさんが絵を描いて、「ほら、きれいな えでしょ、あかちゃん?」と聞くと、お腹のあかちゃんは「うん、うん」とお返事しました。

 

 

ところが、森へ散歩に行ったかあさんが、「早く外に出てみたいでしょ」と言うと、あかちゃんは「いや、でていくの いや!」と言いました。

 

 

かあさんは、悲しくて泣きます。

 

 

お姉さんが、かあさんのお腹に向かって「でてきなさい!」と怒鳴ると、あかちゃんは「きゃー。」と泣きました。

 

 

お兄ちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんも説得しますが、赤ちゃんは、「出ていかない」の一点張りです。

 

 

それきり、寝てしまいました…。

 




 

 

最終的に赤ちゃんは、もちろんお腹から出てきます。

 

 

赤ちゃんの気が変わったのはどうしてでしょうか?

 

 

素敵な結末が待っています。

 

 

お腹の中が透けて、中のあかちゃんの様子が丸見えな描き方も、どこかおかしみがあります。

 

 

発売当初、アメリカで高く評価された「生まれる前の赤ちゃんの気まぐれな物語」

 


待ち望まれて、この世に迎えられたんだということを実感してもらえるような一冊です。

 

 

残念ながら絶版で、古書でも手に入りにくい作品ですが、ぜひ、図書館で探していただきたい傑作です。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

それは民族の記憶としてのオニ『ヒサクニヒコの不思議図鑑① オニの生活図鑑』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から)

f:id:oicchimouse:20240203094810j:image

◎当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

 

 

『ヒサクニヒコの不思議図鑑① オニの生活図鑑』

ヒサクニヒコ 作・絵

国土社

 

 

ヒサクニヒコさんが描く「日本人の心の中にある民族の記憶としてのオニ」。

 

 

ここに描かれているオニは、非常に生活感のあるオニです。

 

 

オニたちはみんな、人間の古代の生活を思い起こさせるような、どこか懐かしい暮らしをしています。

 

 

おとなしい性格の海オニ族と、荒っぽい性格の山オニ族。

 

 

山オニ族は鍋料理をするとき、鍋にトリ、ヘビ、カエルを入れ、山イモやキノコで風味をそえ、味付けには、塩と「たれ」と卵を使いますが、この「たれ」は、海オニ族が作ったものなのです。

 

 

両者は物々交換をするなど、交流があるのです。

 

 

オニの結婚には、奈良時代に日本人が行っていた亀卜(亀の甲羅を焼いてヒビの形で吉凶を占う)とよく似た方法を使って結婚してもよいかどうかと、結婚式の日どりを村の占い師が占います。

 

 

他にも、年に一度の大仕事である鉄棒づくり、日々の仕事や行事など、心躍る図解とともに、とても丁寧に解説されています。





こちらの図鑑は、オニを単なる空想のものとして単純に扱わず、「日本人の心の中にある民族の記憶としてのオニ」に対するヒサクニヒコさんの強いリスペクトが感じられます。

 

 

子どもにも大人にもオニにも、非常に真摯に向き合って書かれている図鑑です。

 

 

ぜひ、知られざるオニの世界をお楽しみください。

 

 

oicchimouse.com

 

こっちにも鬼の変わった話がたくさん入ってます↓

oicchimouse.com

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

バレンタインデーに読みたい『愛を感じる絵本』5選

f:id:oicchimouse:20240202135205p:image

◎当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

 

 

 

こんにちは〜。

 

ちょっと、分類がめちゃくちゃになってしまっていたブログのカテゴリーを大掃除して、グローバルナビゲーションやら何やらもリニューアルしてみたoicchimouseです。

 

 

はじめに

 

もうすぐ、バレンタインデーですね〜。わが家ではもはやバレンタインというと、「子どもとクッキーを作って、あとは、ちょっとお高いチョコレートをみんなで食べまくる日」となっていますが・・・。

 

みなさんはどんなバレンタインを過ごされますか?

 

たまには『愛を感じる絵本』で、さまざまな「愛」のかたちについて考えてみるのも素敵ですよ〜。

バレンタインデーのチョコレートに添えるプレゼントとしても、おすすめです。

 

ではでは、早速いってみましょう!

 

 

①『しろいうさぎとくろいうさぎ』

ガース・ウイリアムズ ぶん・え 

まつおかきょうこ やく 

福音館書店

 

言わずと知れたガース・ウイリアムズの名作『しろいうさぎとくろいうさぎ』

広い森の中に住む2匹のうさぎが、夫婦になるまでのお話です。

結婚するご夫婦へのプレゼントとしても定番の絵本ですが、改めて読み返すと、非常にシンプルでありながらも、共に暮らしていくために本当に必要なことが書かれている気がします。

くるくると変化する2匹のうさぎの豊かな表情にも注目です。

 

②『ホイホイとフムフム たいへんなさんぽ』

マージョリー・ワインマン・シャーマット 文 

バーバラ・クーニー 絵

福本友美子 訳 

ほるぷ出版

 

友達歴5年の、ホイホイとフムフムのお話です。

 

オポッサムのホイホイは、いままで一度も散歩をしたことがない究極のインドア派であるフムフムを散歩に誘います。

 

ホイホイが「フムフムは いつも いえに いるよね。もっといい くうきを すわなきゃ。からだじゅうに ちが めぐるのを かんじてごらん」と言うと、フムフムは、「べつに かんじなくてもいいよ。そんなこと しなくたって きもちが いいもの」と答えます。

結局、フムフムは、渋りながらも散歩を承諾しますが、その前にちょっとひと休みしようと提案します。

フムフムはお茶を入れ、二人は椅子に足を伸ばして窓から外を眺めます。

「これぞ 人生だね」とフムフムが言うと、「これぞ あしが つる」とホイホイは答えます。

ひと休みを終えた二人はやっと散歩に出かけるのですが…。

「たいへんなさんぽ」の始まりです。



好みのまるで違う二人は、お互いの勧めることを渋りながらも一緒にやっていく中で、視界が広がり、それぞれ新しい世界を発見します。ラストは少し落語のような感じの落ちです。

散歩の途中、いい空気に慣れていないフムフムは、くたびれます。
草の上に寝転び、ホイホイに「もしも いやじゃなかったら、おなかを さすって もらえないかな?そうすると きもちが よくなるんだけど」と頼みます。

おなかをさすってくれたホイホイに、フムフムは、「ぼくたち もう 5ねんも まえから ともだちだけど、こんなこと たのんだの はじめてだね」と言うのですが、この場面から、今まで少し冷めた感じで散歩に付き合っていたフムフムの様子がだんだんと変わってきます。

 

『しろいうさぎとくろいうさぎ』のキラキラした時期を終え、「たいへんなさんぽ」が始まる結婚5年目などにおすすめの一冊です。

 

③『ペトラ』

マリア・ニルソン・トーレ 作 

ヘレンハルメ美穂 訳

クレヨンハウス

 

「1000こ あるはずの もようが ひとつ たりません!ブチが いなくなっています!ペトラは、ブチの いた ところに てを あててみました。むねが どきどき しています。」(本文ママ)

 

ペトラは体にたくさんのブチ模様がある動物です。ペトラが朝目覚めると、体の「ブチ」が一つ足りません。外の自由な世界に憧れるブチと、ブチを体に戻したいペトラ。

 

「ずっと いっしょに いたかったら、 いきたい ところに いかせて あげて。きっと もどって くれるから。それが ほんとうの だいすきってこと。」

という、本文中の言葉は、お友達関係、恋愛関係、親子関係、など、さまざまなシチュエーションに当てはまります。

 

「本当の大好き」とは何か?について気づかせてくれる、ちょっと個性的で可愛いらしい絵本です。

 

④『ふたりはともだち』『ふたりはいっしょ』『ふたりはいつも』『ふたりはきょうも』

アーノルド・ローベル 作

三木卓 訳

文化出版局

 

 

 

 

がまくんとかえるくんの素朴であたたかな日常が、ユーモラスに描き出された名作。

のちにローベルは同性愛者であることを告白しており、この絵本のがまくんとかえるくんの関係性についても長女のエイドリアンが言及しています。

ですが、読者がこの絵本を読んだときに感じるのは性別、愛情、友情などのカテゴライズされた「何か」ではなく、ただこの二人が「仲良し」であるということ。それもただの仲良しではなく、読者の誰もが羨ましくなるような「理想的な仲良し」です。

がまくんとかえるくんの間にある「相手を心から信頼し大切に思う気持ち」は、どのカテゴリーにも属する必要のないものなのです。

人生で遭遇する問題の大抵のことの答えが書かれているこの「がまくんとかえるくんシリーズ」。バレンタインデーに読むと、また違った味わいがあるのではないでしょうか?

 

⑤『Michi』

junaida 作

福音館書店

 

表紙は「michi」、裏表紙は「みち」になっています。

 

男の子が表紙側から道を歩いていき、女の子が裏表紙側から道を歩いていきます。

ちょうど本の真ん中のページで二人は出会います。

 

表も裏も、一番初めのページは、鍵穴付きのドアノブです。

これから素敵なことが起こりますよ、と言わんばかりの心躍る鍵穴をガチャリと開けて、男の子も女の子もそれぞれの出発地点から道を進んでいきます。

 

汽車の道、本の道、木の道、滝の道、海底の道、音楽の道…。

 

道はどの道も美しく、夢と素敵な幻想に溢れていて、わくわくとした冒険心をかき立てられます。

ページごとに道は違うのですが、全ての道はうまい具合につながっています。

 

出会うべき人と出会うための道は最初から決まっているのです。

 

相手は向こうから歩いてくる。

こちらは向こうへと歩いていく。

 

出会いというものは、人知の及ばない高い領域から眺めるときっとこんな風に見えるんだなぁ、と不思議にロマンチックな気分になります。

 

生まれたとき、こども時代、青年期、壮年期、老年期…

それぞれの道は全てうまい具合につながっていて、私たちは日々、出会うべき人達のもとへ、お互いに歩いていっているのですね。

 

バレンタインデーのプレゼントとしてもおすすめです。

 

 

 

今回は『愛を感じる絵本』をoicchimouse目線で選んでみましたが、いかがでしたでしょうか?

こうしてみると、愛のかたちも概念も本当に様々ですね。

みなさま、ぜひ楽しいバレンタインをお過ごしください〜。

 

oicchimouse.com

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

 

 

NO MUSIC, NO LIFE 『ねこのくにのおきゃくさま』(2月22日の猫の日に読みたい絵本)

【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃から大人まで)

f:id:oicchimouse:20240116150203j:image

◎当ブログはアフェリエイト広告を利用しています。

 

『ねこのくにのおきゃくさま』

シビル・ウェッタシンハ 作

まつおかきょうこ 訳

福音館書店

 

 

 

(あらすじ)

 

うみをこえたはるかかなたに、ねこのくにがありました。<中略>

ねこのくにのひとたちは、はたらくことはしっていました。

 

でも、たのしむことをしりませんでした。

 

このくにには、おんがくも、おどりもなかったのです。

 

ところが、あるひ、うみのむこうから、みたこともないふねが一そうあらわれて、ねこのくにのきしべにつきました。

 

そして、そのふねから、みたこともないひとがふたり、おりてきました。(本文ママ)





働き者ですが、楽しむことを知らず、何かが足りないと感じていた、ねこの国の人々に、謎の「おきゃくさま」は、「おんがく」と「おどり」を教えます。

 

 

ねこたちは、大喜びするのですが、「おきゃくさま」は、仮面を絶対に外そうとしません。

 

 

ついに。明らかになった「おきゃくさま」の正体とは……。

 

 

『きつねのホイティ』や『かさどろぼう』などで知られる、スリランカの絵本作家シビル・ウェッタシンハさんによる、作品です。

 

 

異国情緒漂う特徴的な絵のタッチは、ひとめみただけで彼女の作品だと分かる独特な個性があり、ページをめくると、お話が生まれた土地が醸し出す雰囲気や、土のかおりがしてきそうな気がします。

 

 

彼女の描くお話のほとんどは、6歳まで過ごしたスリランカ南部、ゴール近郊のギントタ村での生活がもとになっているそう。

 

 

 

民話的な雰囲気の絵に対して、お話が伝える本質的な部分は現代的で、大人が読んでもハッとさせられます。

 

 

子どもたちは、もちろん怪しい仮面をつけた「おきゃくさま」の正体が誰なのか、当てようとして、盛り上がります。

 

 

 

日常に追われて気持ちの余裕がなくなってきたときに、ぜひ、読みたい一冊です。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

新しい年の始まりをとっておきの絵本で迎えよう。oicchimouse目線で選ぶ、『お正月におすすめの絵本3選』

f:id:oicchimouse:20231228144146p:image

◎当ブログはアフェリエイト広告を利用しています。

 

こんにちは〜、oicchimouseです。

今年も残すところあと少し。

みなさんはどんな一年でしたか?

よかった方もそうでなかった方も、12月末でひと区切り。

 

松下電器創業者の故・松下幸之助氏の言葉に次のようなものがあります。

 

竹にフシがなければ、ズンベラボウで、とりとめがなくて、風雪に耐えるあの強さも生まれてこないであろう。竹にはやはりフシがいるのである。同様に、流れる歳月にもやはりフシがいる。ともすれば、とりとめもなく過ぎていきがちな日々である。せめて年に一回はフシをつくって、身辺を整理し、長い人生に耐える力を養いたい。[後略]

『松下幸之助一日一話 愛蔵版』PHP総合研究所[編]より(本文ママ)

 

というわけで、今日は、一年に一度のお正月という大きな「フシ」を意識するのにぴったりな絵本を紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

『山をはこんだ九ひきの竜』

松谷みよ子・文

司修・絵

佼成出版社

 

むかし、天に、いたずら大すきの 竜が、九ひき くらしていた。
一ぴき、二ひき、三びき、四ひき、……九ひき、いたんだ。

ある日、九ひきの 竜は、いたずらが したくなった。
そこで、 雨を ざんざん ふらせて、その雨に のって、ちじょうに おりてきた。

 

『あの山を ちょんぎろう』
『あの山を ちょんぎろう』


九ひきの 竜は、ニョンウォンの 西のほうに あった山を ちょんぎると、みんなで あたまの うえに のせ、エッサ ホイサと はこんだ。

ところが、トクチョンまで くると、くたびれた。


『一ぬけた もう かえろ』
『二ぬけた もう かえろ』
『三ぬけた もう かえろ』


山を ほうりだして、天へ かえってしまった。

びっくりしたのは、トクチョンの 人たちだ。


『あれえ、ひとばんのうちに 山が ひっこしてきた』


ところが、もっと びっくりするようなことが おこった。
ニョンウォンの やくにんが やってきて、いばって いった。


『その山は もともと、うちの山である。税金をはらってもらいたい』(本文ママ)


朝鮮の民話です。

「九匹の竜」「ちょんぎられて適当に落とされた山」「税金」という、すごい組み合わせですが、とても面白い絵本です。
松谷みよ子さんの再話はさすがの貫禄。

 

そして、ラストがまた非常に衝撃的で、最後まで油断できません。(えっ、こんな終わり方?という想像の斜め上をいく結末です。)

司修さんの独特なタッチの絵もとても面白く、お話をさらに魅力的なものにしています。

 

辰年の今年読めば、運気も上がるかもしれませんよ。

「税金」の意味が分かるくらいの年齢からのほうが、より楽しめると思います。

 

 

『めであるく』

マーシャ・ブラウン 文と写真

谷川俊太郎 訳

佑学社

 

『三びきのやぎのがらがらどん』のマーシャ・ブラウンによる幻の写真絵本『めで あるく』。

シリーズで他に、『かたち を きく』、『さわって みる』があります。

 

かつて佑学社から出版されたもので、全て絶版ですが、現在は、この三冊を一冊にまとめた、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』というタイトルで出版社「港の人」様より復刊されています↓

 

『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』

マーシャ・ブラウン 文と写真

谷川俊太郎 訳

港の人

 

 

落ち着いた雰囲気で、写真も言葉も非常に美しく、一人の時間に温かい飲み物を飲みながら、ゆっくりとページをめくりたくなる詩のような作品です。

 

「めは みえる

うまれた ときから。

でも みることはー

みえることとは ちがう。

みること

それは めで あるくこと

あたらしい せかいへと。」


「みることで あなたは

すてきなものを こころに ためこむ

そして なんども おもいだす。」

(本文ママ)

2024年という、ひらけたばかりの水々しく新しい世界を「目で歩いて」みませんか?

 

 

『よあけ』

ユリー・シュルヴィッツ 作・画
瀬田貞二 訳
福音館書店

 

新年の幕開けにぴったりな一冊。

こちらの『よあけ』という絵本は唐の詩人、柳宗元の詩「漁翁」がモチーフとなっています。

 

東洋の文芸、美術に造詣が深かったユリー・シュルヴィッツ。

私はこの絵本を眺めていると、清少納言の「枕草子」冒頭の有名な一文「春は あけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明りて 紫だちたる雲の 細くたなびきたる」

が頭に浮かんできます。

この「枕草子」の一文とぴったりリンクするかのような絵。とても感慨深いです。

 

だんだんと夜が明けてゆく様子が、美しい絵と繊細な言葉によって紡がれ、最後には目をみはるほどの夜明けの感動が待っています。

 

他のシュルヴィッツ作品にもいえることですが、五感全てで感動を味わうことができる、五感だけでなくまるで第六感まで研ぎ澄まされていくようなすばらしい絵本です。

 

 

声に出して、ゆっくりと味わいながら読むのがおすすめです。

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

新年初めの記念すべき「フシ」作りにぴったりの絵本、ぜひみなさんも楽しんでみてくださいね〜。

ではでは、よいお年を〜✨

 

 

 

◎こちらは、一度読んだら癖になる一風変わった「お正月絵本」です⬇︎

oicchimouse.com

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング

大人も子どもも楽しめる『クリスマスにおすすめの絵本&児童書』(クリスマス関連記事まとめ)

f:id:oicchimouse:20231220131507p:image

こんにちは、oicchimouseです。

今週末はいよいよクリスマス・イブですね。

みなさま素敵なクリスマスをお過ごしくださいね。

 

oicchimouseが今一番欲しいものは…

たまったドラマを見るための「自由時間」です。

 

 

 

(クリスマス関連記事まとめ)↓↓↓

 

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse監修記事↓

rentry.jp

 

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング←クリスマス限定クリックボタン
人気ブログランキング

【大人におすすめのクリスマス絵本】第4夜〈大人たちが守り続けてきた「サンタクロース」という存在について考える夜〉

f:id:oicchimouse:20231211111219p:image

◎当ブログは、アフェリエイト広告を利用しております。

 

 

 

こんばんは。

こんな真夜中に起きているのは、ゲゲゲの鬼太郎とoicchimouseだけ。

 

小学校のもちつき大会の準備で少々ばたついておりましたが、いよいよ、今回が最終回の第4夜です。

 

 

【大人におすすめのクリスマス絵本】

 

 

最終回のテーマは、

 

 

〈大人たちが守り続けてきた「サンタクロース」という存在について考える夜〉

 

 

 

 

・サンタクロースっているんでしょうか

 

『サンタクロースっているんでしょうか?』

子どもの質問にこたえて

 

〈一八九七年九月二十一日ニューヨーク・サン新聞「社説」〉

中村妙子 訳

東逸子 絵

偕成社

 

(あらすじ)

〈一八九七年九月二十一日 ニューヨーク・サン新聞「社説」〉


ニューヨーク・サンしんぶんしゃに、このたび、つぎのような手紙がとどきました。

 

さっそく、社説でとりあげて、おへんじしたいとおもいます。

 

この手紙のさしだし人が、こんなにたいせつなしつもんをするほど、わたしたちを信頼してくださったことを、記者いちどう、たいへんうれしくおもっております。

 

***

 

きしゃさま

あたしは八つです。


あたしの友だちに、「サンタクロースなんていないんだ。」っていっている子がいます。


パパにきいてみたら、
「サンしんぶんに、といあわせてごらん。しんぶんしゃで、サンタクロースがいるというなら、そりゃもう、たしかにいるんだろうよ。」
と、いいました。


ですから、おねがいです。おしえてください。サンタクロースって、ほんとうに、いるんでしょうか?

 

バージニア=オハンロン

ニューヨーク市西九五丁目一一五番地
(本文ママ)



アメリカの『ニューヨーク・サン』新聞にのった社説が中村妙子さんによって翻訳され絵本になったものです。

 

今ではクリスマスを代表する古典の一つとなり、ファンも多いですね。

 

この本を読んで思うことは、「サンタクロースが本当にいるかどうか」ではなく、この世の中には、「子どもがサンタクロースを信じる心を、こんなに大切に守ってくれる素敵な大人がいるのだ」ということ。

 

新聞記者さんが守りたかった「サンタクロース」その人の正体は、「目に見えないものを信じる心」。

星の王子さまも言っているように、「かんじんなことは、目には見えない」のです。

 

「目に見えないものを信じる心」は、いずれ子どもが大きくなったときに、「自分を信じる力」へとつながります。

 

この手紙を書いたバージニアが成長したのち、とても素敵で素晴らしい大人になったことが、その証明でしょう。

 

 

・J.R.R.トールキン サンタ・クロースからの手紙

 

『J.R.R.トールキン サンタ・クロースからの手紙』

ベイリー・トールキン 編

せた ていじ やく

評論社

 

「指輪物語」「ホビットの冒険」の作者として知られる〈ファンタジーの巨匠〉トールキンが、サンタになりとおして自らの4人の子どもたちに毎年送り続けた「サンタ・クロースからの手紙」の記録。

 

この手紙を編集したのは、トールキンの三男クリストファーの夫人ベイリー・トールキンです。

 

おじいさんであるサンタクロースらしい「ふるえ文字」に豪華すぎるくらい手の込んだ手描きの挿絵。切手まで手作りというこだわりようからは、子どもたちに対する深い愛情と、トールキン自身が心から楽しんでいる様子が伝わってきます。

 

サンタクロースの助手であるおっちょこちょいな北極熊の話に始まり、雪ン子、北極熊の甥、エルフ、赤い地の精など、魅力的なキャラクターが、手紙の中の世界で生き生きと動きまわります。トールキンの手にかかれば、手紙の中に果てなきファンタジーの世界が巨大な建造物のようにリアルに出現するのです。

 

こんな手紙を毎年受け取っていたトールキンの子どもたちは、どれほど嬉しかったことでしょう。

 

子どもたちが子どもだった20年以上もの間、送り続けていたサンタクロースの手紙。

サンタクロースから届いた「最後の手紙」は、第二次世界大戦の最中でした。

クリスマス・プレゼントを用意するのも難しくなっている様子が文面からうかがえます。

 

しかし、手紙の最後に書かれている言葉には、サンタクロースとしての楽しかった思い出やこれで最後になるという寂しさとともに、子どもたちに託す未来への希望が込められているのです。

 

あんた方も今年が最後で、来年からはもうくつしたをつるすこともなかろうと思う。どうやらこれで「さようなら」をいわなければならないだろうね。わしはあんた方を忘れやしないよ。わしはいつも古いともだちの名前を忘れず、かれらの手紙をとっておくのだ。そしてのちになって、かれらが大きくなり、それぞれの家と子どもたちを持ったときに、またもどってきたいと望んでいるのだよ・・・・・・(本文ママ)

 

最後の手紙に添えられた絵には、サンタクロースと北極熊、雪ン子やエルフたちが輪になって楽しそうに踊っている様子が描かれています。

 

トールキンが守り続けていた、子どもたちのための「サンタクロース」という世界。

 

そのあたたかな火が子どもたちの心の中にずっと灯り続けたであろうことは想像に難くありません。

 

 

〈大人たちが守り続けてきた「サンタクロース」という存在について考える夜〉

と題してお送りした第4夜、いかがでしたでしょうか?

 

 

みなさま素敵なクリスマスをお過ごしくださいね。

 

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

oicchimouse.com

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村 人気ブログランキング
人気ブログランキング