oicchimouseのおいっち・にー・さん・しー

〜絵本講師oicchimouseの絵本と本と子育ての小部屋〜

『モモ』の対象年齢は?挫折せずに『モモ』を楽しめるリアルな年齢とは?出版社の公式対象年齢を令和の対象年齢に変換する計算式とは?

【今日のおすすめの本】

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『モモ』

ミヒャエル・エンデ 作

大島かおり 訳

岩波書店

 

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【『モモ』の関所】

このお話に出てくる「モモ」は円形劇場に住み、みんなの「話を聞いてくれる」不思議な女の子。灰色の男たちに奪われたみんなの時間を取り戻しにいきます。

 

名作古典児童文学として知られる『モモ』ですが、同時に挫折本としても有名な作品です。その原因はおそらく第一部にあります。


第二部からは物語が一気に動き出し凄まじい力で読者を引っ張りますので、この第一部の山を越えられるかどうかが分かれ道になってきます。

 

私も小学生時代に『モモ』を読んだとき、「この第一部はなぜこんなに長いのだろう?」と不思議に思っていました。

 

第一部に描かれているのは自己紹介を兼ねた、円形劇場でのモモとみんなの普段の会話(やや哲学的)や、普通の日常だからです。しかし今大人になって再読してみると、この第一部に描かれているのは、「生きていることの証明」なのだ、と気付いたのです。

 

文中のエンデの言葉を借りるならば、

 

 

「なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。」(本文ママ)

 

 

流れゆく「時間」の中に「心」がなければ「いのち」はなくなる。そして「話すことや聞くこと」はその「心」を守ること。

 

『モモ』の真髄はここにあるのだと私は思います。

 

通常、私は娯楽としての読書については、とばし読みもOKというスタンスなのですが、こういった事情から『モモ』に関しては、読んでいる途中にしんどく感じるようであれば、表記の対象年齢でなく、関所を越えられるタイミングになってから読む方が楽しめるのではないかと思います。

 

 

【『モモ』の対象年齢について】

この『モモ』という作品。岩波少年文庫には、対象年齢が小学5・6年以上と書かれております。


ただ、2026年現在の令和の子ども達を見ていると、普段から読書を習慣的にしている場合を除き、最後まで読み切るのはなかなか難しいのではないかと思います。

 

体感としては、最初から最後まで読めるのはクラスに2人いるかどうか…という感じです。

 

現代は昔に比べて大人も若返っていますし、そもそも人間の寿命も伸びています。


サザエさんに出てくる波平さんと同い年の大人の方でも、まだまだ、お兄さん気分の方も多いのではないでしょうか。


これは子どもも同じだと思います。

 

このような現実を踏まえつつ対象年齢を令和にアップデートするにはどうしたらいいかな…と考えていたところ、娘が「対象年齢を令和版にアップデートする計算式」を発明してくれました。

 

 

【(対象年齢▶︎令和の対象年齢)への変換式】 ᝰ✍︎

現代人の精神年齢=実年齢×0.8
より、
▶︎本に書かれた対象年齢÷0.8=令和の対象年齢
▶︎『モモ』12歳÷0.8=15

よって、モモの令和の対象年齢は『15歳』。

 

娘曰く、15歳という年齢は、物語の内容が人生の悩みとクロスする瞬間とも一致しているし、子どもと大人の境目という意味でも、ちょうど良いのだそうです。

 

この計算式、絵本や幼年童話の対象年齢にも当てはめてみたところ、確かにしっくりくる感じがしたので、もし、表記の対象年齢の時に読んで、お子さまがあまり気乗りしなかった場合、令和の対象年齢に換算して、その年齢になったときに、もう一度本棚から出してきてもいいかもしれません。

 

 

 

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一冊の中に詰め込まれた30以上の物語『でんしゃでいこう』

【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃から大人)

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『でんしゃでいこう』

間瀬なおたか 作・絵

ひさかたチャイルド

 

 

前からでも、後ろからでも読める絵本、『でんしゃでいこう』です。後ろから読むと『でんしゃでかえろう』になります。

 

 

お母さんと手をつないで電車を見ている女の子、屋根の雪おろしをしている大人、電車の中でお茶会をしている老夫婦、兄弟げんかを必死で止める親御さん……など、一冊の中になんと30以上の物語を見つけることができる、まさに、「絵を読む」楽しみにあふれた作品です。

 

 

出発は、「やまのえき」から。あたり一面、雪景色です。

 


トンネルを抜けるたびに美しい景色が広がり、季節が春へと近づいていきます。

 

 

雪が溶け、見開きいっぱいに広がる春の菜の花畑は圧巻です。何度読んでも思わず、「わぁ、きれい〜!」と声が出てしまいます。

 

 

到着したのは、「うみのえき」。

 

 

では、また、帰りの電車に乗って「やまのえき」に行ってらっしゃい。

 

 

間瀬さんが描く絵本は、とにかくドラマチック。

 


電車好きさんも、そうでない方も、季節の美しい移ろいを駆け抜ける小さな電車の旅を、どうぞお楽しみください。

 

 

(表紙は電車の絵だけしか描かれていませんが、中を開いていただくと、ものすごく奥行きのある壮大な景色が広がっています)

 

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「コロナ世代」の心にそっと寄り添う『がっこうとコロナ』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から大人)

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【PR】本記事は、著者様より書籍データのご提供とご紹介のご依頼をいただき、その内容に深く共感したため、絵本講師としての視点を交えて執筆いたしました。

 

 

 

『がっこうとコロナ』

まつしたじゅんじ さく

オクダサトシ え

教育報道出版社

 

 

 

コロナまえのきゅうしょく

コロナたいさくのきゅうしょく

 

コロナまえのひるやすみ

コロナたいさくのひるやすみ

 

コロナまえのじゅぎょう

コロナたいさくのじゅぎょう[後略]

(本文ママ)

 

 

給食、昼休み、授業、体育、音楽、運動会、修学旅行……

 

 

そんな、いつもの学校の風景の「コロナ前」と「コロナ禍」。

 

 

それぞれの子どもたちの様子が、見開き右ページと左ページに並べて描かれています。

 

 

「もうコロナ禍は終わったのに、今になってなぜコロナがテーマの絵本なのだろう?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

この絵本は、コロナ禍の《学校と子どもたちの記憶》です。

当時の感染対策や方針を批判・否定しているものではありません。

 

 

ただ、事実をそのまま、ありのままに描いています。

 

 

文章を担当されているのは、現役で教師をされている大阪市立豊崎小学校の松下隼司先生です。

 

 

先生の、「子どもたちを、もっと自由に伸び伸び過ごさせてあげたかった」という行間に滲む切実な想いと、コロナ世代の子どもたちの「あの時もっと自由に思いっきり遊びたかった」という、心のどこかでまだ燻っているであろう想いを、オクダサトシさんの優しいタッチの絵がすべて包み込みます。

 

 

 

私の娘も、幼稚園から小学校低学年という大切な時期をコロナ禍で過ごしました。

当時は放課後や休日にお友達と気軽に遊ぶこともできず、こんな生活のままで大丈夫なのだろうか、と私も不安になっていました。

 

 

今、高学年になった娘は、その欠落した時間を取り戻そうとするかのように、放課後や休日に友だちと予定を合わせては、暗くなるまで公園を駆け回っています。昼休みも中休みも密になって遊んでいますし、修学旅行もきっと行けるでしょう。

 

 

 

しかし、同様に、コロナ禍の小学生として一番大変な時期を送った今の中高生は、もう大きくなりすぎて「子どもが最も子どもらしくいられる時間」を取り戻すことが難しくなっています。

 

 

私たち大人は、その子たちを見守り続けないといけないし、なんらかの形で欠けてしまった「子どもの時間」を埋める手伝いをする必要があるのです。

 

 

 

児童精神科医の佐々木正美さんは、著書『子どもへのまなざし』のなかで、人間の人格形成において、乳幼児期を「基礎工事(土台)」、小中学校期を「柱」や「床」に例えていらっしゃいます。

柱や床は、一人の人間が健やかに育つ上で、土台に次ぐ重要な部分です。

 

 

 

かつて震災を経験した子どもたちが「地震ごっこ」を繰り返すことで、抗えない大きな出来事を自分の手の届く範囲に引き寄せ、心の整理をしようとしたように、この作品もまた、形は違えど「当たり前の日常を奪われた体験」を「絵本」という安全な場所で客観的に見つめ直し、自分のものにしていく「自己回復のプロセス」を助けてくれる存在だと思うのです。

 

 

 

右側のページに描かれた、本来過ごすはずだった「楽しい子どもの時間」が、一つの擬似体験として、コロナ世代の子どもたちの、欠けた時間を埋める手助けになってくれるといいな、と思います。

 

 

 

《著者プロフィール》

松下隼司(文)

・1978年生まれ

・大阪府公立小学校教諭

・令和4年度 文部科学大臣優秀教職員表彰

・絵本『せんせいって』『ぼく、わたしのトリセツ』

・教育書『先生を続けるための「演じる」仕事術』など

・日本最古の神社、大神神社短歌祭で額田王賞を受賞

・令和6年度版教科書編集委員

 


オクダサトシ(絵)

・1965年生まれ

・映像作家、絵描き、役者ほかコンドルズのメンバーで出演、映像を担当

・野田地図『パイパー』、ジェローム・ベル『Gala』、山田洋次監督『家族はつらいよ2』、

 前田哲監督『そして、バトンは渡された』などに出演

・goen°ではMr.Childrenなどのアフタートーク

・うみのもりでは、障害者の身体表現に関わる

・ZINE絵本『WALKING』『UP AND DOWN』『ISLAND』『てっとう』

 

 

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昼は朝廷に仕え、夜は冥府の官僚…謎多き小野篁が主役の平安ファンタジー『鬼の橋』

【今日のおすすめの本】(高学年から大人)

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【鬼の橋】
伊藤遊 作
太田大八 画
福音館書店
第三回児童文学ファンタジー大賞受賞作

 

 

 

可愛がっていた異母妹の比右子を、「隠れ鬼」の途中に不慮の事故で亡くした小野篁。

 


自らを責め、後悔と悲しみに打ちひしがれる中、ある日妹が落ちた古井戸から冥界の入り口(冥界の河)へと迷い込みます。

 


どこまでも続く「あの世への橋」を渡っている途中、篁は、馬鬼と牛鬼に喰われそうになりますが、ぎりぎりのところで武人のような男に助けられます。

 


それは、未だあの世への橋を渡れぬまま、鬼から都を護り続けている、三年前にすでに死んだはずの征夷大将軍坂上田村麻呂だったのです……。

 



 

平安時代に活躍した小野篁には、不思議な伝説が数多く残されています。

 

 

「昼は朝廷に仕え、夜は冥府へ通い閻魔大王のもとで役人として働いていた」という説話が特に有名で、学校で使う日本史の資料集などにも、たまにさらっと紹介されていたりします。

 

 

「あとがき」では、京都で生まれ育った著者の伊藤さんが、当時の史料を紐解きながら執筆されたときのお気持ちが語られています。

 

 

「当時のことを記した史料に向きあっていると、なにげない記述のあいまに、生きた人間の姿がちらちらと見えはじめます。その姿に目を凝らすうち、立ちふさがっていた千年の時の隔たりはいつしかなくなり、平安の闇の真っただなかにいる自分に気づく……その瞬間こそが、私にとってのファンタジーの世界なのかもしれません。」(本文ママ)

 

 

平安絵巻を思わせるような太田大八さんの挿絵も素晴らしく、雅やかさとはまた違う、その時代の空気感のようなものがリアルに感じられます。

 

 

私は、学生時代の四年間を京都で過ごしましたが、バイト帰りに五条大橋を渡るときには、いつも、このお話の情景を橋の上からの景色と重ねて見ていた気がします。

 

 

 

※私が子どもの頃はハードブックしかありませんでしたが、今はこちらの文庫本タイプも出てます。

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心地よさと不思議な違和感が同居する『おやすみ、かけす』

【今日のおすすめ絵本】(対象…0歳から大人)

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『おやすみ、かけす』

マリー・ホール・エッツ ぶん・え
まさき るりこ やく
大日本図書

 

 

 

(あらすじ)

かけすが いちわ、きのえだに とまって 
ないています。
ジェー、ジェー、ジェー。

 

 

ぴょんぴょんがえるが、ぬまのなかで 
ないています。
グワッ、グワッ、グワッ。

 

 

やぎが いっぴき、くさはらで
ないています。
メェー、メェー、メェー。

 

 

のらねこが、うらどおりで
ないています。
ミャーオ、ミャーオ、ミャーオ。

(本文ママ)

 

 

 

……と、いうふうに、続いていきます。

 

 

そして、いつのまにかあたりは夜になり、男の子は、「かけす」と「かえる」に『おやすみ』を言います。

 

 

最後は、語り手が男の子と、読者に『おやすみ』を言って終わります。

 



 

『もりのなか』や『わたしとあそんで』で知られる、マリー・ホール・エッツの隠れた名作です。

 

 

エッツの作品はいつも心地よさと同時に不思議な「違和感」を感じさせるものが多いと感じます。

 

 

あれ?そういえば、なんでこれって、こんな描き方してるんだろう……。

と考えているうちに、あっ、そういうことか!

と分かるものもあれば、何年かあとに読んで、やっと、エッツが絵の中にひそませたメッセージに気付くこともあります。

 

 

例えば、こちらの作品だと、いつの間に日中から夜になったのかが、はっきり書かれていません。

 

 

犬が月に吠えている場面から夜になったのかな?と思いきや、実は、もっと前から夜は始まっています。

 

 

なぜ、分かるのかというと、途中から動物たちの「向き」が変わっているのです。

 

 

はじめのうちは、登場人物がみんな左を向いているのに対し、途中からみんなは右を向いています。

 

 

つまり、左が昼、右が夜、なのではないか……と。

 

 

そして、もう一つの違和感が、男の子が『おやすみ』を言う相手です。

 

 

一般的に、このタイプの絵本は、動物などが、順番に登場したなら、全員に順番に『おやすみ』を言って終息することが多いのですが、ここでは、男の子は、「かけす」と「かえる」にしか『おやすみ』を言っていません。

 

 

絵本のページをよーく見てみると、かけすは夜の場面(みんなが右を向いている)になってもまだ昼の方向(左)を向いていて、かえるは、昼の場面(みんなが左を向いている)に、夜の方向(右)を向いているのです。

 

 

イレギュラーな行動をしている動物にだけ、『おやすみ』を言っていたのです。

 

 

と、これは私の勝手な解釈なので、読むときにはこんな戯言は、完全に忘れていただいて、普通に楽しんでいただければ、と思います。

 

 

特にお子さまに読み聞かせされるときには、絶対に、何も説明なさらず、質問なさらず……。

 

 

なぜなら、私より子どもたちのほうがよっぽど物事を見る目が優れているので……。

 

 

紺と白の2色だけの静かで穏やかな夜の世界をお楽しみください。

 

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うま年のはじまりに読みたい本『バレエをおどりたかった馬』

【今日のおすすめの本】(低学年から大人まで)

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『バレエをおどりたかった馬』

H・ストルテンベルグ 作
菱木晃子 訳
さとうあや 絵

福音館書店

 

 

【もくじ】
一 あんなふうに、おどりたい!
ニ あたらしい友だち
三 バレエ学校はでたけれど
四 きみはスターだ!
五 クローバーの原っぱで

 

 

「馬」は、「ぶた」と「めんどり」と「ひつじ」と一緒に、田舎の大きな赤い家でのんびり仲良く暮らしていました。

 

 

 

ある日、馬は、散歩の途中に、道に迷ったバレエ団に出会います。駅までの道を教えてもらったお礼にバレエ団の人たちは馬にバレエを見せてくれました。

 

 

 

バレエの美しさに魅了された馬は、バレエダンサーになるため、町へと出かけていきます。

 

 

 

通りすがりの女の人に馬鹿にされたり、バレエ学校の女の子に意地悪を言われたり、最初は上手くいかないことばかりでしたが、口は悪いけれど実は優しいオウム、親切な大家のグレーネさん、グレーネさんの友だちのブッゲさんにシェールさんに助けられ、馬は町の暮らしに慣れて行きます。

 

 

 

バレエ学校の女の子たちともすっかり仲良くなった馬は、クラスメイトのハンナのお誕生日にも「馬子(うまこ)」という女の子に変装して参加します。
(「馬子ちゃん、おとうさんやおかあさんは角ざとうをたべてもいいと、おっしゃるの?」「は、はい。たまに……」のやりとりが面白い)

 

 

 

やがて、努力が実り、バレエ学校を主席で卒業した馬でしたが……。

 



 

穏やかで安心できる故郷、初めて芽生えた夢、最初の壁、成功と挫折、そして再び仲間が待つ故郷へ……。

 

 

 

子どもや若い人が何か夢や目標を見つけて突き進んでいるとき、この馬の周りにいるキャラクターたちのような大人がいればどんなにいいだろう、と思います。

そして、故郷に戻ったときには、馬を大事に想う仲間が温かく迎えてくれる。

 

 

 

幼い頃にこういうお話に出会えれば、子どもたちは安心して夢に向かっていける気がします。

 

 

 

幼い子のためのお話は必ず「行って、戻って」きますが、このお話もちゃんと、行って戻ってきます。戻ってくる場所があるから、子どもたちは、安心して「行くこと」ができるのです。

 

 

 

午年の始まりを彩る、幸せに満ちた物語。大人の方にもおすすめです。

 

 

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機嫌の悪い妖精がかけた呪いの魔法は「賢くなりすぎる」こと?『りこうすぎた王子』

【今日のおすすめの本】(小学校中学年から大人まで)

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『りこうすぎた王子』

アンドリュー・ラング 作
福本友美子 訳
岩波書店(岩波少年文庫)

 

 

 

〈たいそう利口で学問があり子どもの頃は人形遊びなんか大嫌いだった〉いうお妃さまと、〈シンデレラや眠れる森の美女をご先祖さまにもつ〉王さま。

 

二人には子どもがいませんでしたが、やっと念願の赤ちゃんが生まれました。

ものすごく可愛い男の子です。

 

 

赤ちゃんの洗礼式のお祝いをする日が近づきました。誰を呼ぶかの話し合いです。

 

「だいじな人は、ひとりのこらずよんであるだろうね、お妃や?」


「ええ、およびすべき方はみんな。」


「わしのおばさまがたも、だれひとりわすれてないだろうね?」


「およびしてませんわ、あんなばあさんたち!」


………

 

「妖精たちは、もちろんよんであるだろうね?」


ならわしどおり妖精を呼ぼうとする王さまに対し、現実主義のお妃さまは、「この世に妖精なんかいない」と言って聞く耳を持ちません。

 

結局、妖精たちは洗礼式に呼ばれませんでした。

 

そして、妖精が呼ばれなかったと知ると、他の貴族も洗礼式をドタキャンしてしまったのです。


お祝いの席には王さまとお妃さまの二人だけ…。

 

 

と、そのとき、招待されていないにも関わらず、たくさんの妖精が部屋の中に入ってきました。

 

赤ちゃんに「千里ぐつ」「かくれぼうし」「ねがいぼうし」「まほうのじゅうたん」などのすてきな贈り物を持ってきてくれたのです。

(お妃さまにも見えていますが、見えてないふりをしています)

 

 

そして、一番最後にきたのが機嫌の悪い年寄りの妖精。
年寄りの妖精は赤ちゃんに恐ろしい呪いの魔法をかけてしまいました。

 

「王子よ、おまえはりこうすぎる王子になるがいい!」

 

 

 

 

やがて、王子は大きくなり、「りこうすぎる王子」ということで、みんなに嫌われ、ついには、城の全員が王子一人を残して出て行ってしまいました。

 

いつも「この本を読みましたか?」とか「なんと!アレキサンダー大王を知らないって?」とか感じの悪いむずかしい質問をしたり、王さまの計算ミスを指摘したりしていたからです。

 

 

 

しかし、ロザリンドというお嬢さまに恋をしてから王子は一変します。
「妖精」や「妖精がくれたおくりもの」の存在を信じられるようになり……

 



 

イギリスの文学者・民俗学者であるアンドリュー・ラングの創作昔話?です。

世界各地に伝わる昔話や伝説を中心に収集されてきた方だけあり、昔話へのオマージュ的魅力にあふれています。

 

昭和26年版は光吉夏弥さんが、翻訳を担当。こちらの2010年版は福本友美子さんが翻訳を担当されています。

読者である子どもたちを楽しませようと全力で心を寄せつつ、ご本人も書くことを思い切り楽しんでいるように感じられる作品です。

 

大人が読んでもいろいろと気付かされることが多い一冊です。

 

 

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宮沢賢治作品のレファレンスブックを使って市場に出回っていない隠れた名作を楽しむ

【今日のおすすめの本】(対象…大人)

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『宮沢賢治必携』

佐藤泰正・編

學燈社

 

 

宮沢賢治作品に関するいくつかの代表的な論文と、宮沢賢治詩人事典・賢治詩事典・賢治童話事典が、一冊にまとめられた『宮沢賢治必携』です。

 

 

宮沢賢治の研究をするときには、通常、筑摩書房の『新校本宮沢賢治全集』というものを使います。

校本には、一般的な全集には含まれていない作品など、生前賢治が書き遺したほぼ全てのもの(童話・詩・短歌・メモ・書簡・落書き・童話の草稿・未完成の作品・断片etc.)が収録されています。

また、本文篇とは別になっている校異篇には、各作品における賢治の推敲の記録が掲載されており、これは、賢治作品を紐解く上で非常に重要な手がかりとなります。

この『新校本宮沢賢治全集』は結局全巻読まないと論文が書けないのですが、なにしろ賢治の作品は全部で1400作品以上あるので、読み終わったあとに、話が混ざったり、忘れたりしてきます。

 

 

そんなときに、活躍するのが、この『宮沢賢治必携』です。

 


めちゃくちゃ細かい作品(断片とか)までは含まれていませんが、各ページに、それぞれの賢治作品の梗概(あらすじ)と評価が簡単にまとめられているので、記憶を呼び起こしたり、考えを体系的に整理していくときに役に立ちます。

 

 

また、この本は賢治研究ではなく、普通に作品を読んで楽しみたいときにも、使うことができます。
「宮沢賢治のレファレンスブック」として使うのです。

 

 

現在、絵本として出版されている賢治童話は、賢治の作品の中でも比較的、出版に耐えうるものが選ばれています。つまり、形が美しく整っているものです。

 


しかし、実は、賢治の作品は世の中にあまり出回っていないものの中に、ものすごく奇妙で面白いものがあふれているのです…。

 

 

出回っていないのに、どうやって読むか。

 

 

①まず、この『宮沢賢治必携』の[賢治童話事典]のページを開きます。

 

②カタログで商品を選ぶように、各作品の梗概(あらすじ)を読んでいきます。

 

③気になる作品を「青空文庫」さんで、検索して読みます。

 

 

推敲の過程で姿や主題が変わってしまったものもたくさんありますが、荒削りで支離滅裂でも、意外と原形の作品の方が魅力的な場合もあります。

 

 

例えば、何度もアニメ化や映画化されている『グスコーブドリの伝記』という作品がありますが、これは、もともと『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』という、ばけもの国に住むネネムという登場人物の慢心を描いた作品でした。

 

『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』➡︎メモ『ペンネンノルデはいまは居ないよ(案)』➡︎『グスコンブドリの伝記』➡︎『グスコーブドリの伝記』(主題:自己犠牲)

 

という経緯です。

 

 

確かに作品としてまとまりがいいのは明らかにグスコーブドリなのですが、話としてぶっ飛んでいるネネムのほうに何故か惹かれてしまうのです。(ネネムは、冒頭の原稿が数枚焼失、また結末部分の原稿も無いのですがそれでも面白い)

 

 


『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』の他のおすすめは、『朝に就ての童話的構図』(白いぷるぷるしたきのこに翻弄されるアリたちの話)と『図書館幻想』(ダルゲという謎キャラが登場する奇妙な話)です。

 

 

いずれも、「青空文庫」さんで読むことができます。

 

 

ぜひ、市場にあまり出回っていない、知られざる宮沢賢治の世界をお楽しみください。

 

 

 

 

筑摩書房の公式HPはこちらです⬇︎

www.chikumashobo.co.jp

 

 

 

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読者の心を奮い立たせてくれる古典絵本の傑作『あおい目のこねこ』

【今日のおすすめ絵本】(対象…4歳頃から大人まで)

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『あおい目のこねこ』

エゴン・マセーチン

せたていじ やく

福音館書店

 

 

 

「ねずみのくに」を見つけたら、もうお腹をすかすことがないと考えた「あおい目のこねこ」は、あるとき、いさみにいさんで、でかけていきました。

 

 

魚に馬鹿にされたり、ほとんどご飯がたべられなかったり、怖い思いをしたり…

 


それでもこねこは、「なーに、なんでもないさ」と言って先へ先へと進んでいきます。

 

 

途中、あおい目のこねこは、きいろい目のねこたちに出会います。

 


きいろい目のねこたちは、自分たちに探せなかった「ねずみのくに」をあおい目のねこが見つけられる訳がないと、意地悪を言ったり、こねこのあおい目のことも馬鹿にしました。

 

 

それでもこねこは「おもしろいことをしてみよう。なんにもなくても、げんきでいなくちゃいけないもの」「ぼくは、へんてこなねこじゃないよ」と、毎日を前向きに過ごしていきます。

 

 

そして、こねこは、最後にその美しい「あおい目」で「ねずみのくに」を見つけ出したのです。

 



 

デンマークのオリジナル版から70年以上、日本語翻訳版の初版から60年にわたって愛されてきた古典の名作『あおい目のこねこ』です。

 

『三びきのやぎのがらがらどん』よりさらに古い作品です。

 

 

一般的な絵本よりは分厚い作りになっていますが、1ページの文字数が少なく、ストーリーもシンプルなので4歳頃から楽しめます。

 

 

子どもたちが保育園や幼稚園で本格的に人と関わりはじめ、社会の中に身を置くようになると、大なり小なりモヤモヤした気持ちを抱えることも増えてきます。小学生も、中学生も、高校生も、大学生も、そうかもしれません。

 


そんなとき、この作品は子どもたちの気持ちにしっかりと寄り添ってくれるのです。

 

 

そして、大人の私がこの作品を読むと、また違った印象を受けます。

 


「あおい目のこねこ」は夢を追いかけて旅に出ましたが、いつの間にか夢の方が「あおい目のこねこ」を追いかけてきたように見えるのです。

 

 

夢を追いかけ続けるのはしんどい時もあるでしょう。

 


でも、目の前のやるべきことを前向きにこなしていくことで「夢の方が自分を追いかけてきてくれる」と、考える方がなんだか楽しい気がしますし、思春期を迎えた子どもや、若い子たちにもそのようなスタンスでいてもらいたいな、と思います。

 

 

子どもから大人まで、人生のいろんなターニングポイントで読者の心を奮い立たせてくれる名作です。

 

 

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4人いるはずの家に1人しかいない謎『マトリョーシカちゃん』

【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃から)

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『マトリョーシカちゃん』

加古里子 ぶん・え

原作 ヴェ・ヴィクトロフ/イ・ベロポーリスカヤ

福音館書店

 

 

 

最近、街中で「ほっかむり」をしている若い女の子を見ることがよくあって、「若者_ほっかむり」というキーワードでググってみたところ、「バブーシュカ」であることが判明しました。

 

 

「盗っ人」でも「ドジョウすくい」でも「ほっかむり」でもなく「バブーシュカ」です。

 

 

というわけで、今日は、バブーシュカをお洒落に着こなす?かぶりこなす?『マトリョーシカちゃん』のお話をご紹介します。

 

 

洋風の雰囲気の表紙ですが、『だるまちゃんシリーズ』でお馴染みのかこさとしさんが文と絵を手がけられています。
(原作はヴェ・ヴィクトロフさんとイ・ベロポーリスカヤさんです。)

 



 

窓から外を見ていたお人形のマトリョーシカちゃん。

 


寂しくなったのでお客さんを呼ぶことにしました。

 

 

家の前に、こんな紙をはり出します⬇︎

《みちを とおる みなさん。どうか わたしの ところへ あそびに きてください。ドナーシャも クラーシャも ダーシャも まっています。 マトリョーシカ》

 

 

まもなく、ユラユラにんぎょうのイワンちゃんがやってきました。

 

 

「こんにちは、ドナーシャさん。あそびに きましたよ」

でも、そこにいるのは、マトリョーシカちゃんだけ。
イワンちゃんは不審がります。

 

 

次に来たのは、ドングリにんぎょうのイリューシャちゃん。

「こんにちは、クラーシャさん。あそびに きましたよ」

でも、そこにいるのはまた、マトリョーシカちゃんだけ。

イリューシャちゃんも不審がります。

 

 

 

次々、お客様が来ますが、そこにいるのはやっぱりマトリョーシカちゃんただ一人なのです。

 

マトリョーシカちゃんへの不審感がMAXになり、みんなは、怒りだしますが、実はマトリョーシカちゃんは嘘なんかついていないのです。


なぜなら……。

 

 

 

さて、なぜでしょう?

 

 

 

大人の方はうっすらオチが予想できるかも?

(実は、絵本の扉〈表紙を開けて1枚目のタイトルや著者名が書いてあるところ〉の絵をよ〜く見てみるとしっかり伏線が張られています)

 

 

 

絵本を読む前or読んだあとに、マトリョーシカをお子さまに見せてあげるとより楽しめますよ〜。

 

 

 

 

 

クリスマス絵本関連記事はこちら⬇︎

 

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こちらは専門家監修した記事です⬇︎

(*「専門家おすすめのクリスマス絵本」以外の商品の選定には関与しておりません。)

pickys-life.jp

 

 

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「ぶん」って何??寒い夜に温かいお布団の中で読みたい、ちょっぴり謎?でほっこりする絵本

【今日のおすすめ絵本】(対象…4〜5歳頃から)

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『ぼくのむらはね、ぶん
さいとゆふじ
福音館書店
こどものとも年中向き
1990年3月1日発行

 

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ぼくは るーまにあの こどもです。
ふゆ。ゆきが やまも のも すっぽりと おおって、
みんな まっしろ。 

ぶん

 

[中略]

 

ちいさい おとうとは もう ゆりかごのなかで ねむってしまった。ぼくも おとうさんも つかった ゆりかごなんだよ。

ぶん

 

ぼくと いもうとは おばあさんと ねるんだ。
おばあさんは いっぱい おはなしをしてくれるよ。
おおかみの はなしや、よなかに やまのむこうから とんでくる おばけの はなしなんかをね。
ちょっと こわいけど おもしろい。

ぶん

(本文ママ)

 



 

「るーまにあ」に住む「ぼく」が、村や、家の中、大好きな羊、村の人たちとの交流、1日の終わり、について楽しそうに紹介してくれます。

 

 

 

年中向きと書いていますが、私が年中のときは書いてあること全てを理解していたわけではなかった気がします。

 

 

 

知らない国の知らない文化のお話だけれど、花柄のお部屋は可愛いし、やさしくてかわいい羊ってどんな感じだろう、羊の毛で手作りした服を着てみたいな、とか、ぼんやり聞いていました。

 

 

 

それでも、なんだか聞いていて心地よく、だんだん終わりに近づくにつれて眠くなってくるのです。

 

 

 

その頃には主人公も、「おやすみなさい。ぶん」

と眠ってしまいます。

 



 

●このお話のところどころに登場する「ぶん」とは、何でしょう?

 

答えはこの絵本の最後のページに書かれていて、「なるほど〜」とスッキリして本を閉じるようになっています。

 

古い絵本ですが、寒くなってきた頃に読みたい、ほっこり心温まる作品です。

 

 

こちらも今の時期におすすめです⬇︎

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動物に化けていてもわが子がどれか分かる『どれがぼくかわかる?』

【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃から)

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『どれがぼくか わかる?』

カーラ=カスキン ぶん・え

よだしずか やく

偕成社

 

 

(あらすじ)

 

「ね、おかあさん ぼくが みんなのなかに いたら、どれが ぼくか わかる?」ウィリアムは たずねました。

 

「わかるわ。」

 

おかあさんは、オーブンに おひるの パイを いれながら  こたえました。

 

「もしも ぼくが うまに なったら、どれが ぼくか わかる?」

 

「もちろんよ。」おかあさんはこたえました。

 

ウィリアムは うまの いる のはらへ でかけました。

 

ウィリアムは うまに なって、みんなと いっしょに あそびました。

 

「ウィリアム、おかあさんには わかるわ。だいすきな ぼうしを かぶっているんですもの。」

 

「みつかった。」

 

(本文ママ)

 



 

運動会、授業参観、学芸会…たくさんの子どもがいても、その中から「どれがわが子かすぐ見つけられる」という親御さんはきっと多いのではないでしょうか?

 

 

 

この絵本は、そんなお母さんの愛情から生まれた作品です。

 

 

 

ウィリアムのおかあさんは「ぼくがうまになってもすぐ見分けられるか」と子どもに聞かれて、「もちろんよ」と答えます。

 

 

 

ウィリアムは絵本の中で、いろいろな動物になり、動物の群れの中に混ざります。

 

 

 

読者はウィリアムのおかあさんと一緒に、動物になったウィリアムをたくさんの同じ動物の中から探します。

 

 

 

間違い探し的な要素を楽しみつつ、どんなにたくさんの子どもがいてもその中から必ずお母さんは自分を見つけ出してくれるという安心感。

 

 

 

おひるのパイができあがるまでの間、ウィリアムはいろいろな動物になり、パイができあがるとウィリアムはもとのウィリアムにもどり、おかあさんの作ったパイを食べます。

 

 

 

パイが焼き上がるまでの間の、親子の温かで幸せな空想の時間です。

 

 

 

間違い探しゲームのような感覚で、ぜひお子様と一緒に楽しんでみてください✨

 

 

 

こんな遊びも楽しいですよ⬇︎

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心が落ち着くおやすみ絵本『おひさまがしずむ よるがくる』

【今日のおすすめ絵本】(対象…2歳頃から)

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『おひさまがしずむ よるがくる』

ローラ・ルーク
オラ・アイタン
うちだりさこ
福音館書店

 

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おひさまが しずんでいく

 

「よるが くるのよ」
かあさんが いうの

 

そとは ゆうがた
よるは すぐそこ

 

「さあ だっこ」
かあさんが いうの

 

だんだん くらくなっていく
とけいが むっつ なった

 

「おはなしの じかんよ」
かあさんが いうの

 

(本文ママ)

 



 

『おおきなかぶ』など、ロシアの児童文学の翻訳で有名な内田 莉莎子さんが翻訳を手がけられた、アメリカのおやすみ絵本です。

 

 

 

だんだんと陽が沈んでいき、夜が近づいてくる描写と、"「〇〇〇〇」かあさんがいうの”という可愛らしい台詞が交互に繰り返されます。 

 

 

 

うさぎの男の子の表情には、〈まだ寝たくない〉という雰囲気が滲みでています。

しかし、「かあさんがいうの」という台詞には、1日が終わる少しの物足りなさのようなものとともに、かあさんが自分にかけてくれる「いつもの言葉」に対する安心感が満ちているのです。

 

 

 

いよいよ、夜の寝る時間が訪れた場面では、いろいろな青とわずかにかすれた白が、ほかの夜の時間とは違う「寝る時間の夜」の独特の雰囲気をうまく表現しています。

 

 

涼しくなってきた秋の夜にぴったりなおやすみ絵本です。

 

 

 

こちらもおすすめです⬇︎🌙✨

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ページをめくる手が止まらない!日本史の授業が始まった小学生(高学年)におすすめの本『白狐魔記 源平の風』

【今日のおすすめの本】(高学年から大人)

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『白狐魔記 源平の風』

斉藤洋

偕成社

 

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一の谷の戦い(鵯越の逆落とし)から衣川の戦い(義経が最後を迎えた戦い)あたりまでを史実3割ファンタジー7割くらいで仕上げられた本格歴史ファンタジー小説。

 

 

 

親から独り立ちした「きつね」は、人間に興味を持ち、人が住む里を転々としながら生活していました。

 

 

 

そこできつねは、人間が、「きつねは人を化かす」と思い込んでいることを知ります。

 

 

 

化けられるきつねなど見たことがなかったきつねは、僧侶の話を手がかりに、化ける術を教えることができるという白駒山の仙人を探すことにしました。

 

 

 

仙人のもとで修行を終え、化けることができるようになったきつねは、「白狐魔丸」と名乗り、山をおりていきます。

 

 

 

旅の途中で、追っ手から逃げる義経一行と行動をともにすることになった白狐魔丸は、やがて戦に巻き込まれてゆき…

 



 

化ける術を教える仙人が登場する序盤はどこかユーモアのある雰囲気。

後半は、親しくなった義経家臣の佐藤忠信と白狐魔丸との友情と別れを中心に描かれています。

 

 

 

魅力的な登場人物と史実と伝説を巧みに織り交ぜたストーリーに、一度読み出すとページをめくる手が止まらなくなります。

 

 

 

日本史の教科書の中の出来事が立体的な物語として浮かび上がってくる非常に読み応えのある一冊です。

 

 

 

歴史をある程度知ってから読むと、登場人物や出来事が一致して、「この場面はもしかして、あのことかな?」とより深く楽しめます。

 

 

娘も、表紙が男の子っぽいといってこれまで手をつけていなかったのですが、日本史を習い始めて見事歴女となってからは、「この場面、知ってる!」と、のめり込んで楽しんでいます。

 

 

私が子どもの頃は2巻の『蒙古の波』(これも面白かった)までしか出てなかったのですが、今はたくさん出てます。

大人の方にもおすすめです。

 

 

『源平の風』:(1996年)
『蒙古の波』:(1998年)
『洛中の火』:(2000年)
『戦国の雲』:(2006年)
『天草の霧』:(2010年)
『元禄の雪』:(2012年)
『天保の虹』:(2019年)

 

 

 

 

 

 

 

 

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〈読書の秋〉にゆるりと心ほぐれる…大人のためのとっておきの一冊『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』

【今日のおすすめの本】(対象…大人)

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『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』
小原晩
実業之日本社

 

 

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元美容師の小原晩さんによるエッセイ。

 


こちらは、自費出版したエッセイが話題になり、その後、単行本化されたものです。

業界でも注目されている作品のようです。

 

 

若い頃の思い出(今も充分お若いのですが…)を中心につづられています。

 

 

大人になり社会に放り出されたけれど、まだまだ心は子どもで、どこかおぼつかない感じが、懐かしく感じられます。

 

 

世話を焼いてくれる先輩、ちょっとしたことが気になって心が痛む感覚、興味の赴くままに一人であちこち街中をさまよう特別な一人時間。

 

 

同じようなことが自分にもあったな、と読んだ人がみんなモラトリアム期の若者に還れるお話です。

 


もしくは、遠い日の自分にエールを送りたくなるような。

 

 

金曜の夜、心斎橋のだるまで一人串カツを食べ、無双感ただよう夜の堀江を好きに歩きまわりながらなんとなく自分のバランスを整えていた若い頃を思い出しました。

 

 

子どもの日記のような、素朴で肩肘張らないユーモアあふれる文体が読んでいてとても心地よく、秋の夜長にちょっと夜ふかししてのんびり読むのにぴったりな一冊です。

 

 

夏の疲れが出ている、最近ついてない気がする、読書する気力がない、というときに、ぜひ手にとってみてください。

 

 

こちらも読書の秋におすすめ⬇︎

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お月見に読みたい絵本はこちら⬇︎

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