【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃から大人まで)
『3びきのこぐまさん』
村山籌子 さく
村山知義 え
婦人之友社
わが家のお気に入り絵本。
村山籌子さん、村山知義さん、ご夫婦による『3びきのこぐまさん』です。
村山知義さんは、『しんせつなともだち』の挿絵を担当されている作家さんですが、作品によって挿絵の雰囲気が全く違って、その力量と才能の幅広さに驚かされます。
「3びきのこぐまさん」は、「子供之友」誌上に1924年から28年にかけて好評連載された、夫婦による絵ばなしのひとつだそうです。
それらが一冊にまとめられたのが、こちらの絵本です。
12話の短いお話で構成されています。
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◎第4話『3びきのこぐまさんとかたかけ』より
きたない かたかけが 3ぼん ふるえていました。
3びきのこぐまが それをひろいました。
こぐまのお姉さんに みせますと 「まあ、きたない。」といって にげだしました。
お兄さんは ステッキのさきで つついて 「すてておしまいよ。」と いいました。
お母さんは「まあ、かわいそうな かたかけさんだこと。」と おぶうにいれました。
きたないかたかけさんは、すっかり きれいなかたかけさんになって、3びきのこぐまのおくびにまかれました。
(本文ママ)
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「おぶう」は、「お風呂」。「丁寧な豚」のことではありません。かたかけは、マフラーです。
なんだか、とってもかわいらしい響きですね。
つい口に出して言いたくなります。
「おぶう」「早くおぶうに入りなさいよ」
今から100年近く前に書かれたとは思えないほど、モダンでアバンギャルド、斬新で洗練された作品です。
現代から見るとお上品すぎるように感じてしまうような丁寧な口調も味わい深く、読んでいて非常に心地よいです。
ストーリーは、日常的な場面を切り取ったような雰囲気のものもあれば、奇想天外で心地良い違和感満載のものもあり、ほかのどの本でも見ることができないような心惹かれる個性的なものばかりです。
ぜひぜひ読んでみて下さい。