【今日のおすすめ絵本】(対象…小学校低学年から大人まで)
『ペッテルとロッタのクリスマス』
エルサ・ベスコフ さく・え
ひしき あきらこ やく
エルサ・ベスコフの〈3人のおばさんシリーズ〉より、『ペッテルとロッタのクリスマス』です。
(あらすじ)
ペッテルとロッタが、みどりおばさん、ちゃいろおばさん、むらさきおばさんの家で暮らすようになって、初めてのクリスマス。
クリスマスの料理、大掃除、森へモミの木を切りに行ったり…と、みんな大忙しです。
ついにやってきたクリスマスイブの日、みんながテーブルにつくと、ドアがガタガタなって、背中に袋をしょった「やぎおじさん」が入ってきました。
やぎおじさんは、つえで、床をドンドン叩くと、「この家に、いい子はいるかね?」と声をはりあげました。
ペッテルとロッタは、怖くてテーブルの下にもぐりこみましたが、プレゼントをくれると聞いて出てくると、やぎおじさんは、2人の頭を撫でて、2人の欲しかったプレゼントをくれました。
やぎおじさんの正体が、「森の中に住む魔法にかけられた王子様」だと、むらさきおばさんに聞いた2人は、クリスマスが終わっても、やぎおじさん(王子様)のことが気になって仕方ありません。
森の中にいる王子様をなんとか探し出して、「らいねんのクリスマス、おばさんたちにもプレゼントをもってきてください」と、頼みたくて、2人は子どもだけで森の中に行けるチャンスを狙います……。
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楽しい楽しいクリスマスから、翌年のクリスマスまでの一年が、彩り豊かに描かれています。
クリスマスが、非常に長いスパンで描かれている、少し珍しいタイプのクリスマス絵本です。
「やぎおじさんの謎」を軸に、どんどんストーリーが展開し、最後は再びクリスマスに向かって、凝縮されていきます。
訳者の菱木晃子さんの公式ホームページによりますと、「スウェーデンではサンタクロースが一般的になるまでは、プレゼントを持ってきてくれるのは山羊とされていました。このお話では、その山羊(?)が大活躍します。山羊はあおおじさんにひっかけて、「やぎおじさん」と訳しました。」と書かれています。
「あおおじさん」というのは、表紙の一番右にいる青い服のおじさんで、シリーズを通してよく登場する近所のおじさんです。
やぎおじさん。
ナマハゲとサンタさんがミックスされたようなキャラクターでとてもインパクトがあり魅力的です。
「怖さ+プレゼント」でツンデレ的な効果があるのかもしれません。
この絵本を読んでいていつも感じるのは、「素晴らしいクリスマスが、かけがえのない人々と過ごす尊い日常の積み重ねからできている」ということです。
クリスマスが終わっても、こういう気持ちを心に留め置きながら、日々大切に生活したいものです。