【今日のおすすめの本】
三木清『人生論ノート』(新潮文庫刊)
(あらすじ)
「愛する者、親しい者の死ぬることが多くなるに従って、死の恐怖は反対に薄らいでゆくように思われる。」
「執着するものがあるから死に切れないということは、執着するものがあるから死ねるということである。」
「墓場をフリードホーフ(平和の庭ー但し語源学には関係がない)と呼ぶことが感覚的な実感をぴったり言い表わしていることを思うようになった。」
(「死について」の頁より本文ママ)
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西田幾多郎、ハイデッガーに師事し、『パスカルに於ける人間の研究』で昭和初期の哲学界に衝撃を与えたとされる三木清。
こちらの『人生論ノート』は、三木氏が「死について」「幸福について」「懐疑について」「偽善について」「個性について」「習慣について」「噂について」など、タイトルをながめるだけでも興味深い23題のテーマに沿って丁寧に考察を重ね論じた名論文集です。
感情を一切排し、事実や現象に基づく論理に論理を重ねながらテーマの本質に迫っていくのですが、文章の一つ一つに、優しい温かさが感じられます。
慌ただしい日常生活から少し離れて、この本を読みながらテーマに沿って自分なりに思考していると、なんだか頭がとてもすっきりします。
哲学をするというのは、一つの精神のストレッチなのかもしれません。
哲学初心者でも、こちらの本は哲学の道へと丁寧にエスコートしてくれます。
心が少し曇っているとき、哲学で精神のストレッチをしてみませんか。
問題の本質がクリアになって自分のすべきことが見えてくるかもしれませんよ。
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