【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃〜大人まで)
『ねっこぼっこ』
ジビュレ・フォン・オルファース 作
秦理絵子 訳
平凡社
『根っこのこどもたち目をさます』
え ジビレ・フォン・オルファース
ぶん ヘレン・ディーン・フィッシュ
やく・へん いしいももこ
童話館出版
「さあ おきなさい こどもたち もうすぐ 春が やってくる」
ねっこぼっこは うーんと せのび くしゃくしゃの かみ なでつける
(『ねっこぼっこ』より本文ママ)
すると、そのころ じめんのしたでも、ふしぎなことが、おこりはじめていたのでした。それまで、ぐっすり ねむっていた 根っこのこどもたちを、土のおかあさんが、おこして あるいていたのです。
おかあさんは、ろうそくを 手にもち、おてつだいの ホタルたちをつれて、「さあ、おきなさい。春がきますよ。しごとを はじめなくては いけません」と、こどもたちに、こえをかけて まわっていたのでした。〈後略〉(『根っこのこどもたち目をさます』より本文ママ)
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春になると読みたくなる『ねっこぼっこ』と『根っこのこどもたち目を覚ます』
こちらの2冊は、どちらもオルファースが絵を描いていますが、
『ねっこぼっこ』の方は文章もオルファースが手がけ、訳は秦理絵子さんで、詩のような雰囲気。
それに対し、『根っこのこどもたち目をさます』は、オルファースの絵にヘレン・ディーン・フィッシュさんが文章を付け、訳と編は石井桃子さんが担当。物語風の文体です。
外に出ていくための春の華やかな洋服を自分たちで縫ったり、てんとう虫のカブトの色をペンキ(?)で塗り直すねっこぼっこ達の様子。
春を迎え外に出ていった彼らが季節を謳歌し、再び冬の訪れとともに大地のかあさんが待つあたたかな寝床へと帰っていく様子。
季節の美しい移ろいと、子どもたちの行きつ戻りつの安心のストーリーが重なり合います。
秦さんのあとがきによりますと、日本で初めて『ねっこぼっこ』を翻訳したのは詩人でドイツ文学者の故生野幸吉先生だそうです。
生野幸吉さん翻訳の『ねっこぼっこ』にはまだ出会えていないのですが、いつか読んでみたいです。