〈筑前煮〉
私は今日、朝からずっと短パンを履いていた。
黒のちょっときれいめ素材のアラフォーでも違和感なく履ける短パンだ。
その短パンに買ったばかりのボーダーのオーバーサイズのロンTを合わせた。
左胸にはワンポイントに緑色のキツネがいる。
赤いキツネと緑のタヌキならぬ、「緑のキツネ」。
メイクも念入りにした。
今日はどこに行くのかというと、小学校の通学路に変態が出たので、PTAの副会長としてパトロールに行くのだ。
手ぶらで通学路をうろうろしていると私の方が変な人に見えてしまうので、現場から少しだけ離れた横断歩道で、「横断中」と書かれた黄色の旗を持って、道行く小学生の安全を見守った。
それから、ふと自分の足元を見てハッとした。
なんと、こんなに堂々と短パンを履いておきながら、無駄毛処理を忘れているではないか。
それを見て、ふと冷蔵庫のゴボウのことを思い出した。
決まった。今日の晩ごはんは筑前煮にしよう。
なぜだか、筑前煮をあまり好まない娘が今日に限っておかわりした。