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〜絵本講師oicchimouseの絵本と本と子育ての小部屋〜

絵本講師oicchimouseが選ぶ『小学生におすすめの詩集』5選

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こんにちは。oicchimouseです。

 

最近、YouTubeで新しい音楽を見つけるのにはまっているのですが、最近の新しい音楽の歌詞を見ていると、ダブル(マルチ)ミーニングや韻をとても器用に取り入れながら独特の世界観を作り出しているのが非常に印象的です。

 

言葉というのは時代によって姿形をいろいろに変えつつも、大切な部分はずっと変わらず、それもまた大きな魅力の一つといえますね。

 

というわけで、今回は子どもたちにも「言葉」が織りなす世界をぜひ味わってもらいたいと思い、『小学生におすすめの詩集』をご紹介させていただくことにいたします。

もちろん、小学生以下のお子さまや大人の方にも楽しんでいただけますよ。

 

では、見ていきましょうね〜。

 

 

 

 

『みんなわたしのー幼い子どもにおくる詩集ー』

ドロシー・バトラー 編

岸田衿子・百々佑利子 訳

ミーガン・グレッサー 絵

のら書店

〈おわり〉

ぼくが 一つのとき

ぼくは はじまったばかり

 

ぼくが 二つのとき

ぼくは しんまいみたい

 

ぼくが 三つのとき

ぼくは まだ ぼくらしくない

 

ぼくが 四つのとき

ぼくは たいしたことない

 

ぼくが 五つのとき

ぼくは かつやくしはじめた

 

でも いまは 六さい ぼくは なんでも しっている

だから これから ずっと 六さいだとおもうな

 

A.Aミルン

 

(本文ママ)

 

編者のドロシー・バトラーが、子どもや孫たちに読み聞かせるために書き写したノートから厳選した、楽しい詩が集められた可愛い詩集です。

 

上の、〈おわり〉という詩は、くまのプーさんでお馴染みのA.Aミルンさんの詩です。

 

可愛らしくもありながら、同時にすごくエッジが効いていますね(笑)

 

みなさん、五さいでかつやくしはじめて、六さいでほぼ完成したような気がしませんか?

 

〈おわり〉というタイトルもなんとも秀逸です。

 

他にも、ウォルター・デ・ラ・メア、スティーブンソンなど、錚々たる方々の詩が、収録されています。

 

幼稚園生くらいの小さなお子様から大人の方まで楽しめる、可愛く上質な詩集です。

 

 

 

『レモン』

(絵本かがやけ詩 かんじることば)

小池昌代 編

村上康成 画

あかね書房

詩人の小池昌代さん編の詩集シリーズです。

 

〈レモン〉

はたち よしこ

 

レモンは

遠くへ 行きたいのです

 

うすく切れば

それがわかります

 

うすく切れば

いくつもの 車輪

 

いい香りをふりまいて

車輪 車輪 車輪

 

レモンは

遠くへ 行きたいのです

(本文ママ)

 

表題作の、はたちよしこさん作〈レモン〉をはじめ、谷川俊太郎さん、八木重吉さん、岸田衿子さん…そのほかたくさんの優れた詩人・作家の方々の詩集の中から厳選された一編が掲載されています。

どの作品も子どもたちにとって、日常の身近な風景を描いたものばかりで、共感しやすく、選び抜かれた繊細で研ぎ澄まされた言葉の数々は、詩の初心者の子どもたちの心にもグッとくるものがあると思います。

収録されている作品の雰囲気に偏りがなくバラエティに富んだラインナップなので、きっと、どなたもお気に入りの一編が見つかるはずですよ。

詩集デビューにおすすめの一冊です。

 

 

同じシリーズの中のこちらもおすすめです⬇︎

『どっさりのぼく』

(絵本かがやけ詩 かんじることば)

小池昌代 編

太田大八 画

あかね書房

〈むちゅう〉

稲井剛史

 

いっしょけんめい

あそんでいると

じぶんのなまえ

わすれてしまいそうや

〈美しくあるく〉

八木重吉

 

こどもが

せっせっ せっせっ とあるく

すこしきたならしくあるく

そのくせ

ときどきちらっとうつくしくなる

(本文ママ)

上の二編はoicchimouseのお気に入りの詩です。

 

他にも、ピアノをやめたい気持ちをストレートに綴った糸井重里さん作〈ピアノやめたい〉、散髪屋さんで髪を切ってもらっている時の様子を描いた表題作小林純一さん作〈どっさりのぼく〉もおすすめです。

 

 

これらの詩集シリーズの巻末には、「小林昌代さんからの手紙」というタイトルで、各詩の小さな解説が載っています。

 

この解説には、押し付けがましさも断定的な解釈もありません。

 

詩を読み終わった読者の気持ちに優しく寄り添いつつ、一緒に読後感を楽しみ、かつ、作品の新たな魅力にも気づかせてくれる、とても優れた解説です。

 

まずは、作品を読んでみて、最後にこちらも読むとさらに深く詩を味わうことができますので、本編と解説、ぜひ併せて楽しんでみてくださいね。

 

 

 

『もしぼくが本だったら』

ぶん ジョゼ・ジョルジェ・レトリア

え アンドレ・レトリア

やく 宇野和美

アノニマスタジオ

お洒落でハイセンスな装丁に定評のあるアノニマスタジオから『もしぼくが本だったら』。

 

もしぼくが本だったら

つれて帰ってくれるよう

出会った人にたのむだろう。

 

もしぼくが本だったら

ずっとしまってきた昔の秘密を

ぼくの読者とわかちあおう。     [後略]

(本文ママ)

「もしぼくが本だったら…」に続くたくさんの詩的な文章と、それぞれのページに描かれたユニークな挿絵がうまく呼応し合いながら読者を本と哲学の不思議な世界へと導く、絵本と詩の中間のような作品。

クラフト紙っぽい温かみのある紙質から、本の見返し、奥付けのデザインまで、作り手のこだわりが感じられる一冊です。

これはまさに「本が読みたくなる『本』」ですね。

お子さまはもちろん、本好きの大人の方へのプレゼントなどにもおすすめです。

 

 

『動物詩集』

室生犀星 著

日本図書センター

 

〈犬のうた〉

あんまり犬は人になれてしまって、

もうだらしのないどうぶつになってしまった。

いつも

のらのらと用もないのに

道ばたでおしっこばかりしてあるく、

おしっこがきっと東西南北を

知らせてくれるのでしょう。

けれども

月夜のばんに白い犬を見るのは

美しいものですね、

月からころがりおちたうさぎのようだ。

(本文ママ)

1943年に発表された『動物詩集』。

 

戦時中ということもあり、はっきりと書かれているわけではありませんが、なかには反戦の意図がうっすら感じられるような詩もいくつか見受けられます。

また、逆に、愉快で面白い雰囲気の詩や、美しい景色、ゆったりとした穏やかな時間の流れが感じられるものも多くあります。

全体を通していろんな動物の大切な「いのち」を優しく慈しむような作者の目線がとても印象的です。

 

本の序文で、犀星は、子どもたちに向けて、詩集をただ読むだけでなく、

「諸君にも詩を書いたり、考えたりしてもらいたい」

「思ったままをそのまま正直にかけばよい」

「うそを書こうとしたり、見ないで考えたことを書こうとしたら、詩はむずかしくなる、こんがらがる」

「詩は小さい時分に書くと面白いのが出来る気がします」

というメッセージを送っています。

 

たまに子どもの通う学校に行くと、子どもたちの書いた詩が壁に掲示されていることがありますが、確かに犀星のいうとおり、子どもたちの書いた詩はどれも非常にみずみずしく著名な詩人が書いた詩の何倍も魅力的に見えます。

 

それにしても、「月夜のばん」の「白い犬」が、「月からころがりおちたうさぎのようだ」という一文が見せてくれる絵は、あまりにも美しく、どきりとするくらいですね…。

 

 

 

 

詩というのは、学校の教科書くらいでしかなかなか触れる機会がありませんし、少し敷居が高くとっつきにくいように感じられるかもしれませんが、今日ご紹介した詩集をきっかけに、詩を読んだり書いたりすることを「気軽に」「気楽に」楽しんでいただければ嬉しいな、と思います。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

大人も子どもも何かと慌ただしい年末ですが、たまには、詩集を手に取って、言葉の世界にゆっくりと沈み込んでいく時間も心地が良いものですよ。

 

 

次回は、大人におすすめの詩集について書こうかなと思っております。

 

ではでは今日はこの辺で…。

 

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