
こんにちは、oicchimouseです。
私は現在、東京都内の行政施設で保護者の方向けに絵本の読み聞かせや読書に関するアドバイスをさせていただいているのですが、様々なご相談をいただく中で最も多いのが、『読み聞かせをしても子どもが聞いてくれない』というお悩みです。
このお悩みについて、私はいつも、以下のようにお話をさせていただいております⬇︎
小さいお子様が一度に集中できる時間は[年齢+1分]程度ですので、読み聞かせの途中で動き回ってしまうことを気にする必要はありません。
どこかに行ってしまったら、そこで読み聞かせを終わって一緒に遊んでもいいですし、お子様の安全を横目で確認しつつ、保護者の方がそのまま最後まで読み終えていただいてもかまいません。
(遊びながらお子様が耳だけ聞いていることもあります。)
最後まで読み聞かせを聞くように強制することは、お子様が絵本に対してネガティブな印象を持ってしまうことにもつながりかねませんので、NGです。
大切なのは1冊を最後まできっちりと読み切ることではなく、大人から子どもへの「絵本の読み聞かせ」という習慣を「続けること」です。
これは、一番大切な【読み聞かせの心得】です。
ですが、頭では気にしなくて良いと分かっていても、毎回お子さまが絵本から逃げて行ってしまうのを見ると、本当にこのままでいいのか心配になったり、読み聞かせを諦めてしまいそうになったりすることもあると思います。

それは、少しもおかしいことではありません。
子育て中、特に子どもが小さいうちは、絵本に限らず、いろいろなことが心配になったり、気になったりするものです。
そこで、今日は、絵本の読み聞かせが上手くいかない(聞いてくれない)と感じた時に、ぜひ一度試していただきたいおすすめの絵本を、読み方のアドバイスと共に、3冊ご紹介させていただきたいと思います。

心配な気持ちが少しでも和らぎ、お子さまと絵本を一緒に楽しむきっかけになれば幸いです。
①『でてこい でてこい』
はやしあきこ さく
福音館書店
まず、1冊目は、『こんとあき』の作者としても知られる林明子さんの『でてこい でてこい』です。
こちらは、福音館書店から出ている赤ちゃん絵本シリーズ【0.1.2.えほん】です。
内容は、様々な「かたち」の中から、型抜きされたように動物が出てくるというもの。
例えば、1ページ目には緑色の葉っぱのかたちが描かれており、「だれか かくれてるよ でてこい でてこい」のテキストのあと、次のページでは、「げこ、げこ、げこ」の言葉と共に、カエルが飛び出してきます。
一見シンプルな作りではありますが、2次元から2.5次元あたりまで、キャラクターが飛び出してくるような感覚が味わえる、非常によくできた作品です。
現実と絵本の世界を馴染ませるような手法は、まだお話の世界に入り込むことに不慣れな子どもたちを自然にエスコートしてくれます。
【読み方】
「だれか かくれてるよ でてこい でてこい」と、大人が読んだあと、「コンコンコン」と言って、かたち(1ページ目であれば葉っぱ)をグーでノックします。
ページをめくると、「げこ、げこ、げこ」とカエルが出てきます。
大人がこのようにすると、子どもは真似したくなります。(用心して、様子をみるお子さんもいます)
子どもがやりたそうにしたら、文章は大人が読んで、「コンコンコン」のノックを子どもにお願いします。
子どもが用心している場合は、大人が引き続き、ノックもしてあげてください。無理にさせる必要はありません。
②『くらいくらい』
はせがわせつこ・ぶん
やぎゅうげんいちろう・え
福音館書店
2冊目は、同じく福音館書店から出ている『くらいくらい』。
表紙にあるように、はじめは、真っ暗な中にシルエットが描かれているだけで、誰がいるのか分かりません。
「まっくら くら くら くらーい くらい でんきを つけて ちょうだい」
という文章のあと、暗闇の中にあるスイッチ(紐タイプだったり、ボタンタイプだったり色々です)をキャラクターが押すと、
「ついた!ことりの ピーちゃんだ」
と、明るくなってシルエットの主の正体が明らかになります。
白・黒・紺を使って光と暗闇を描き分け、スイッチのONとOFFを表現するという、面白いアイデアの絵本です。
昔話の再話なども手掛ける長谷川摂子さんによるテキストは、非常にリズムがよく、「まっくら くら くら くらーい くらい」というフレーズは、どこか呪文のようで、子どもがつい真似したくなる魅力にあふれています。
【読み方】
「まっくら くら くら くらーい くらい でんきを つけて ちょうだい」と、大人の方が読んだあと、スイッチが描かれている部分を押す真似をします。
お子さまが、やりたそうにしたら、今度はお子さまにスイッチを付ける係をお願いしてください。
こちらも、お子さまがためらっている場合は、大人の方がやってあげてください。
スイッチを押すのを見ているだけでも、楽しめます。
③『まるまるまるのほん』
エルヴェ・テュレ さく
谷川俊太郎 やく
ポプラ社
フランス発の、参加型絵本です。
青、黄色、赤の丸を、指示に従って、スイッチを押すようにクリックしていくと、丸が増えたり、色が変わったり…と変化していきます。
スマホの仕組みを絵本の中に落とし込んだような作品です。
先にご紹介した、2作と比べると、ゲームブック的な性格がやや強い絵本ですが、親子で一緒にコミュニケーションをとりながらこちらの絵本を楽しむことで、お子さまの中には【絵本を読んでもらって楽しかった時間の記憶】が残ります。
これは、絵本や本に親しんでいく上で非常に大切な土台となる感覚です。
【読み方】
こちらの絵本、赤ちゃん絵本扱いになっておりますが、実はなかなか難易度が高く、丸を指示通りにクリックしながら、心から楽しむことができるのは、3歳〜5歳以上かな、という印象です。
また、その年齢であったとしても、もしかしたら後半部分は少し難しいかもしれません。
ですので、この絵本を楽しむ時は、お子さまの様子を見つつ、『親子で一緒に協力して読み進める』のがおすすめです。
お子さまができる部分はお子さまに任せ、難しい部分は大人が担当しながら、ぜひ、『一緒に一冊の絵本を楽しむ』ひと時を過ごしていただければと思います。
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いかがでしたでしょうか?
本日ご紹介した3冊に共通するのは、いずれも、《現実と絵本の世界を馴染ませるような手法》で描かれている、ということです。
小さい子どもたちは、まだ絵本の世界が、どういうものなのかよく知りません。
大人でもそうですが、知らないところでもすぐに入っていける人もいれば、少し、時間がかかったり不安を感じる人もいます。
絵本の読み聞かせに対する子どもの反応もこれと同じなのです。
ですので、まずは、こちらの3冊にエスコートしてもらいつつ、絵本の世界に慣れていってもらえればいいなと思います。
そして、もし、この3冊を読んでも上手くいかなかった場合は、次のように考えてください。
小さい子どもたちにとっては、身の回りの全てが、面白いもの、興味深いもの。
それが、彼らにとって絵本より勝っていたとしても、何ら不思議ではありません。
なぜなら、子どもたちにとっては、身の回りの全て、触れる物、見る物全てが、【生きた絵本】だからです。

※絵本を読み聞かせするときの読み方については、絵本自体が持つ魅力を損なわないよう、ただ淡々と読んでいただくようにいつもお話させていただいておりますが、今回は絵本の性質上、上記のような読み方をご紹介させていただきました。
【補足】
絵本に興味を示さない理由については、読み聞かせしている絵本がその時のお子さまに合っていない、ということが原因だったことも、これまでに何度かありました。
例えば、
赤ちゃんの頃に買った絵本が、お子さまが精神的に成長されたことで、物足りなく感じるようになってしまっていたり、逆に、その年齢には少し難しい絵本を選んでしまっていたり…といったケースです。
ですので、お困りの際は、まず絵本相談室のほうに来ていただき、直接お話をお伺いした上で、お一人お一人にあったご提案をさせていただければと思います。
(遠方の方はoicchimouseの公式LINEまたはInstagramのDMでもご相談のご依頼を随時承っております。)