【今日のおすすめの本】(高学年から大人)
『白狐魔記 源平の風』
斉藤洋
偕成社
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一の谷の戦い(鵯越の逆落とし)から衣川の戦い(義経が最後を迎えた戦い)あたりまでを史実3割ファンタジー7割くらいで仕上げられた本格歴史ファンタジー小説。
親から独り立ちした「きつね」は、人間に興味を持ち、人が住む里を転々としながら生活していました。
そこできつねは、人間が、「きつねは人を化かす」と思い込んでいることを知ります。
化けられるきつねなど見たことがなかったきつねは、僧侶の話を手がかりに、化ける術を教えることができるという白駒山の仙人を探すことにしました。
仙人のもとで修行を終え、化けることができるようになったきつねは、「白狐魔丸」と名乗り、山をおりていきます。
旅の途中で、追っ手から逃げる義経一行と行動をともにすることになった白狐魔丸は、やがて戦に巻き込まれてゆき…
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化ける術を教える仙人が登場する序盤はどこかユーモアのある雰囲気。
後半は、親しくなった義経家臣の佐藤忠信と白狐魔丸との友情と別れを中心に描かれています。
魅力的な登場人物と史実と伝説を巧みに織り交ぜたストーリーに、一度読み出すとページをめくる手が止まらなくなります。
日本史の教科書の中の出来事が立体的な物語として浮かび上がってくる非常に読み応えのある一冊です。
歴史をある程度知ってから読むと、登場人物や出来事が一致して、「この場面はもしかして、あのことかな?」とより深く楽しめます。
娘も、表紙が男の子っぽいといってこれまで手をつけていなかったのですが、日本史を習い始めて見事歴女となってからは、「この場面、知ってる!」と、のめり込んで楽しんでいます。
私が子どもの頃は2巻の『蒙古の波』(これも面白かった)までしか出てなかったのですが、今はたくさん出てます。
大人の方にもおすすめです。
『源平の風』:(1996年)
『蒙古の波』:(1998年)
『洛中の火』:(2000年)
『戦国の雲』:(2006年)
『天草の霧』:(2010年)
『元禄の雪』:(2012年)
『天保の虹』:(2019年)