【今日のおすすめの本】(小学校中学年から大人まで)

『りこうすぎた王子』
アンドリュー・ラング 作
福本友美子 訳
岩波書店(岩波少年文庫)
〈たいそう利口で学問があり子どもの頃は人形遊びなんか大嫌いだった〉いうお妃さまと、〈シンデレラや眠れる森の美女をご先祖さまにもつ〉王さま。
二人には子どもがいませんでしたが、やっと念願の赤ちゃんが生まれました。
ものすごく可愛い男の子です。
赤ちゃんの洗礼式のお祝いをする日が近づきました。誰を呼ぶかの話し合いです。
「だいじな人は、ひとりのこらずよんであるだろうね、お妃や?」
「ええ、およびすべき方はみんな。」
「わしのおばさまがたも、だれひとりわすれてないだろうね?」
「およびしてませんわ、あんなばあさんたち!」
………
「妖精たちは、もちろんよんであるだろうね?」
ならわしどおり妖精を呼ぼうとする王さまに対し、現実主義のお妃さまは、「この世に妖精なんかいない」と言って聞く耳を持ちません。
結局、妖精たちは洗礼式に呼ばれませんでした。
そして、妖精が呼ばれなかったと知ると、他の貴族も洗礼式をドタキャンしてしまったのです。
お祝いの席には王さまとお妃さまの二人だけ…。
と、そのとき、招待されていないにも関わらず、たくさんの妖精が部屋の中に入ってきました。
赤ちゃんに「千里ぐつ」「かくれぼうし」「ねがいぼうし」「まほうのじゅうたん」などのすてきな贈り物を持ってきてくれたのです。
(お妃さまにも見えていますが、見えてないふりをしています)
そして、一番最後にきたのが機嫌の悪い年寄りの妖精。
年寄りの妖精は赤ちゃんに恐ろしい呪いの魔法をかけてしまいました。
「王子よ、おまえはりこうすぎる王子になるがいい!」
やがて、王子は大きくなり、「りこうすぎる王子」ということで、みんなに嫌われ、ついには、城の全員が王子一人を残して出て行ってしまいました。
いつも「この本を読みましたか?」とか「なんと!アレキサンダー大王を知らないって?」とか感じの悪いむずかしい質問をしたり、王さまの計算ミスを指摘したりしていたからです。
しかし、ロザリンドというお嬢さまに恋をしてから王子は一変します。
「妖精」や「妖精がくれたおくりもの」の存在を信じられるようになり……
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イギリスの文学者・民俗学者であるアンドリュー・ラングの創作昔話?です。
世界各地に伝わる昔話や伝説を中心に収集されてきた方だけあり、昔話へのオマージュ的魅力にあふれています。
昭和26年版は光吉夏弥さんが、翻訳を担当。こちらの2010年版は福本友美子さんが翻訳を担当されています。
読者である子どもたちを楽しませようと全力で心を寄せつつ、ご本人も書くことを思い切り楽しんでいるように感じられる作品です。
大人が読んでもいろいろと気付かされることが多い一冊です。