【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から大人)

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【PR】本記事は、著者様より書籍データのご提供とご紹介のご依頼をいただき、その内容に深く共感したため、絵本講師としての視点を交えて執筆いたしました。
『がっこうとコロナ』
まつしたじゅんじ さく
オクダサトシ え
教育報道出版社
コロナまえのきゅうしょく
コロナたいさくのきゅうしょく
コロナまえのひるやすみ
コロナたいさくのひるやすみ
コロナまえのじゅぎょう
コロナたいさくのじゅぎょう[後略]
(本文ママ)
給食、昼休み、授業、体育、音楽、運動会、修学旅行……
そんな、いつもの学校の風景の「コロナ前」と「コロナ禍」。
それぞれの子どもたちの様子が、見開き右ページと左ページに並べて描かれています。
「もうコロナ禍は終わったのに、今になってなぜコロナがテーマの絵本なのだろう?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
この絵本は、コロナ禍の《学校と子どもたちの記憶》です。
当時の感染対策や方針を批判・否定しているものではありません。
ただ、事実をそのまま、ありのままに描いています。
文章を担当されているのは、現役で教師をされている大阪市立豊崎小学校の松下隼司先生です。
先生の、「子どもたちを、もっと自由に伸び伸び過ごさせてあげたかった」という行間に滲む切実な想いと、コロナ世代の子どもたちの「あの時もっと自由に思いっきり遊びたかった」という、心のどこかでまだ燻っているであろう想いを、オクダサトシさんの優しいタッチの絵がすべて包み込みます。
私の娘も、幼稚園から小学校低学年という大切な時期をコロナ禍で過ごしました。
当時は放課後や休日にお友達と気軽に遊ぶこともできず、こんな生活のままで大丈夫なのだろうか、と私も不安になっていました。
今、高学年になった娘は、その欠落した時間を取り戻そうとするかのように、放課後や休日に友だちと予定を合わせては、暗くなるまで公園を駆け回っています。昼休みも中休みも密になって遊んでいますし、修学旅行もきっと行けるでしょう。
しかし、同様に、コロナ禍の小学生として一番大変な時期を送った今の中高生は、もう大きくなりすぎて「子どもが最も子どもらしくいられる時間」を取り戻すことが難しくなっています。
私たち大人は、その子たちを見守り続けないといけないし、なんらかの形で欠けてしまった「子どもの時間」を埋める手伝いをする必要があるのです。
児童精神科医の佐々木正美さんは、著書『子どもへのまなざし』のなかで、人間の人格形成において、乳幼児期を「基礎工事(土台)」、小中学校期を「柱」や「床」に例えていらっしゃいます。
柱や床は、一人の人間が健やかに育つ上で、土台に次ぐ重要な部分です。
かつて震災を経験した子どもたちが「地震ごっこ」を繰り返すことで、抗えない大きな出来事を自分の手の届く範囲に引き寄せ、心の整理をしようとしたように、この作品もまた、形は違えど「当たり前の日常を奪われた体験」を「絵本」という安全な場所で客観的に見つめ直し、自分のものにしていく「自己回復のプロセス」を助けてくれる存在だと思うのです。
右側のページに描かれた、本来過ごすはずだった「楽しい子どもの時間」が、一つの擬似体験として、コロナ世代の子どもたちの、欠けた時間を埋める手助けになってくれるといいな、と思います。
《著者プロフィール》
松下隼司(文)
・1978年生まれ
・大阪府公立小学校教諭
・令和4年度 文部科学大臣優秀教職員表彰
・絵本『せんせいって』『ぼく、わたしのトリセツ』
・教育書『先生を続けるための「演じる」仕事術』など
・日本最古の神社、大神神社短歌祭で額田王賞を受賞
・令和6年度版教科書編集委員
オクダサトシ(絵)
・1965年生まれ
・映像作家、絵描き、役者ほかコンドルズのメンバーで出演、映像を担当
・野田地図『パイパー』、ジェローム・ベル『Gala』、山田洋次監督『家族はつらいよ2』、
前田哲監督『そして、バトンは渡された』などに出演
・goen°ではMr.Childrenなどのアフタートーク
・うみのもりでは、障害者の身体表現に関わる
・ZINE絵本『WALKING』『UP AND DOWN』『ISLAND』『てっとう』