【今日のおすすめ絵本】(対象…小学校低学年から大人まで)
『だいふくもち』
田島征三 作
福音館書店
みなさんは2020年8月1日放送のドラえもんの内容を覚えていますか?
「プッシュドア」と「おかし牧場」の二本立てだったのですが、この後者の「おかし牧場」という秘密道具、どういうものかと申しますと…
〈ひさしぶりに大きなチョコレートを手に入れ、大よろこびののび太は、 「食べてもなくならないチョコレートがないかなぁ」とつぶやく。それを聞いたドラえもんは、ポケットから『おかし牧草』を取り出す。これを使うと、牧場で牛などを飼(か)うように、チョコレートなどのおかしを飼うことができるのだという。
さっそくおかし牧草の上にチョコを置いたところ、なんとチョコが動き出し、牧草を食べ始め、牛のように鳴き出したからビックリ! ドラえもんがかくしておいたチョコも牧草の上に置いたところ、2ひきのチョコがなかよく動き始める。
その後、少し外に出ていたのび太が帰ってくると、チョコが動かなくなっていた。もどってきたドラえもんによると、1時間以上牧草を食べさせないと、ただのチョコに戻ってしまうのだという。
しかし、夜中に1時間ごとに牧草を食べさせることはむずかしい…。そこでドラえもんは、空き地におかし牧草の種をまき、チョコを放し飼いすることにするが…!?〉
TV朝日ドラえもんHPより引用
原文ママ 以下URL
https://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/story/0614/
こういった非常に夢のあるお話でありながら、「チョコが動き出し、牧草を食べ始め、牛のように鳴く」という、何ともシュールで異様な雰囲気もあわせ持った神回なのですが、私がこのドラえもんを見て、真っ先に思い浮かんだのがこちらの『だいふくもち』という絵本です。
(あらすじ)
ごさくは、これといった仕事もせず、毎日ぐうたら暮らしていました。
ある夜、床の下から「ごさく はらが へったぞ。なんか おおせ」という声がするので、床をめくってみると、白いまんまるいひしゃげただいふくもちが、しゃべっていました。
だいふくもちに言われたとおり、小豆をだいふくもちの上に乗せると、だいふくもちは小豆をくるみ、おいしそうにかんでいましたが、そのうちに、ぽこんと小さいだいふくもちを産みました。
だいふくもちが産んでくれるだいふくもちで商売をはじめ、大成功をおさめたごさくでしたが…
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田島征三さんの迫力ある絵や土佐弁の語り口が、お話の謎めいた雰囲気と非常にマッチしています。
そして、ドラえもんの「おかし牧場」と比べると、全体的に暗〜い雰囲気です。(笑)
しかし、この暗さは嫌な暗さではなく、心地よい暗さなのです。
ラストも暗く、決してハッピーエンドではないのですが、何とも言えない味のある魅力に、一度読むとすっかりとりこになってしまいます。
幼稚園くらいのお子さんにはあまり向きませんが、小学生くらいのお子さんはとても喜びますし、大人が読んでも「おぉ…」となります。
ドラえもんの「おかし牧場」と合わせてぜひ…。