【今日のおすすめ絵本】(対象…高学年〜大人向け)
『真昼の夢』
セーラ・L・トムソン 文
ロブ・ゴンサルヴェス 絵
金原瑞人 訳
ほるぷ出版
(あらすじ)
〈裏表紙〉
想像してごらん……
ある日、とびこんで
木にもぐる
泳いでいこう
太陽へ。
(本文ママ)
〈表表紙〉
ある日、砂のおしろが
くずれない。
どんな波にも
くずせない。
(本文ママ)
*
*
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いつかどこかで見たことがあるような、その先を想像したことがあるような、奇妙で魅惑的な現実と幻想が入り混じる境目の風景。
それは、誰もが見ることのできる「真昼の夢」なのかもしれません。
こちらの絵本の挿絵を手がけた、ロブ・ゴンサルヴェスは、カナダのトロント出身の画家です。
シュルレアリスム、特に、レメディオス・バロやルネ・マグリットの影響を色濃く受けているというだけあり、こちらの作品にもそういったニュアンスが強く感じられます。
セーラ・L・トムソンによって、絵に添えられた短い文章は、詩のような雰囲気なので、小さいお子さまでも読めますが、こちらの絵と文章を心から味わい楽しめるのは、何となく高学年から大人くらいの世代のような気がします。
江戸時代の脚本家、近松門左衛門が提唱したと言われる芸術論に、「虚実皮膜論(芸のおもしろさは虚と実の間の薄皮のような部分にある)」というものがありますが、この絵本はまさにそれを体現したかのような作品です。
静かな部屋で一人きりの時間に、美術館の中を巡るようにゆったりと読むのがおすすめです。
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