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oicchimouseの森の図書館員がめくるめく絵本の世界をご案内いたします。お子さまも大人の方もどうぞひと休みしていってくださいな。

あなたが今見ている景色は「真昼の夢」の続きかもしれない『真昼の夢』

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【今日のおすすめ絵本】(対象…高学年〜大人向け)

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『真昼の夢』

セーラ・L・トムソン 文

ロブ・ゴンサルヴェス 絵

金原瑞人 訳

ほるぷ出版

 

 

(あらすじ)

〈裏表紙〉

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想像してごらん……

 

ある日、とびこんで

木にもぐる

泳いでいこう

太陽へ。

(本文ママ)

 

 

 

〈表表紙〉

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ある日、砂のおしろが

くずれない。

どんな波にも

くずせない。

(本文ママ)

いつかどこかで見たことがあるような、その先を想像したことがあるような、奇妙で魅惑的な現実と幻想が入り混じる境目の風景。

 

それは、誰もが見ることのできる「真昼の夢」なのかもしれません。

 

 

こちらの絵本の挿絵を手がけた、ロブ・ゴンサルヴェスは、カナダのトロント出身の画家です。

シュルレアリスム、特に、レメディオス・バロルネ・マグリットの影響を色濃く受けているというだけあり、こちらの作品にもそういったニュアンスが強く感じられます。

 

セーラ・L・トムソンによって、絵に添えられた短い文章は、詩のような雰囲気なので、小さいお子さまでも読めますが、こちらの絵と文章を心から味わい楽しめるのは、何となく高学年から大人くらいの世代のような気がします。

 

 

江戸時代の脚本家、近松門左衛門が提唱したと言われる芸術論に、「虚実皮膜論(芸のおもしろさは虚と実の間の薄皮のような部分にある)」というものがありますが、この絵本はまさにそれを体現したかのような作品です。

 

静かな部屋で一人きりの時間に、美術館の中を巡るようにゆったりと読むのがおすすめです。

 

 

 

同じ作者による『終わらない夜』もおすすめです⬇︎

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