【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃から)
『おにはうち ふくはそと』
文 西本鶏介
絵 村上豊
ひさかたチャイルド
「そうとも。おにだって、いっけんぐらいは しあわせに できる ちからが あるぞ。いくら ふくの かみでも、にほんじゅうの いえを しあわせに するのは むりじゃ。」
そういって、にひきの おには こっそり いえを でていった。
(本文ママ)
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節分の夜。
貧しい夫婦は、豆まきのための豆を買うこともできず、仕方なしに、空っぽのマスを手に、声だけで豆まきをすることにしました。
ところが、声だけの豆まきが、くらしいやら恥ずかしいやらで、なかなか声が出てきません。
やっと声をはりあげたのですが、言ってしまった台詞は『おには うち、ふくは そと。おには うち、ふくは そと。』
大変なことによその家の豆まきから逃げてきた赤鬼と青鬼が家に入ってきたのですが……。
貧しい夫婦は鬼をもてなし、結果的に鬼から福をもらうことになります。
冒頭のセリフは鬼が夫婦の家から去るときに言い残した言葉ですが、これは原話になっている昔話に、作者の西本鶏介氏が付け加えたオリジナルのセリフだそうです。
この絵本はわが家の節分の定番なのですが、いつ読んでも最後の鬼のセリフに心地よい余韻が残ります。
災いの象徴であると同時に、昔からどこか親しみを持って描かれることが多い〈鬼〉。
〈鬼〉の魅力が最大限に引き出された名作絵本です。
節分の日にぜひ……。
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