【今日のおすすめ絵本】(対象…4歳頃から)
『ぬまばばさまのさけづくり』
イブ・スパング・オルセン さく・え
きむら ゆりこ やく
福音館書店
(あらすじ)
沼地はなかなかいいところです。
真夏の風のない夜、地面や水面から白い「もや」が立ちのぼってくるのは、「ぬまばばさま」がお酒を作っているからです。
ぬまばばさまの旦那さんは、「ぬまじじさま」。
子どもは、たくさんの可愛い「ぬまむすめ」達と、あまり可愛くはない「ぬまこぞう」達です。
ぬまばばさまの家族はみんな、おひさまが大嫌い。
おひさまが昇ると、ぬまばばさまは、土の中にもぐり込み、
ぬまじじさまは、その場に座り込んでカワヤナギになり、
ぬまむすめは、座ったとたんに草むらに変わり、
ぬまこぞうたちは、遊びに夢中でおひさまに気付かず、そのままかたまってしまいます。
沼地で皆さんが目にする、地面から突き出た枯れ枝は、ぬまこぞうの足。沼地の草むらは、ぬまむすめの髪の毛なのです。
夏。ぬまばばさまは家族や沼のみんなと協力してお酒を作ります。
冬。沼の家族は土の中。ぐっすり眠っています。
そして訪れた春。
夜になると春が来たお祝いのパーティーをします。
いよいよ、お酒を飲む時がやってきたのです。
このお酒には特別な力があって…。
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夏の酒づくりから冬眠を経て、ようやく訪れた暖かな春。
おひさまの光が苦手なぬまばば一家ですが、実は彼らは春の訪れを告げる使者でもあるのです。
自然に対する親しみや畏敬の念。新たな命の誕生。芽吹き。
土や草の放つ、むせ返るほどに力強い香りがただよう生命の讃歌です。
皆さんも、ぜひ、真夏の風のない夜に、草木や土の声にそっと耳を傾けてみてください。
何か聞こえてくるかもしれませんよ。