【今日のおすすめ絵本】(対象…4歳頃から)
『ごちそうの木』
タンザニアのむかしばなし
ジョン・キラカ 作
さくま ゆみこ 訳
西村書店
(あらすじ)
むかしむかし、動物たちが一緒にくらしはじめた頃、日照りが長く続いたことがありました。
作物がとれず、みんなおなかがペコペコ。
からからの大地の真ん中には不思議な木が1本立っていました。木には汁気たっぷりの熟した実がたくさんついていましたが、いくら木をゆすっても、実は落ちてきません。
みんなで話し合った結果、どうやったら実が落ちるのか、賢いカメに聞きに行くことになりました。
そこで、「私が聞いてきますよ」とノウサギが名乗り出ましたが、みんなは、ノウサギが小さいことを理由に、無理だと決めつけ、大きい動物に任せるよう言います。
大きい動物は次々にカメのところへと出かけていき、カメから実を落とすための「呪文」を聞いてくるのですが……。
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タンザニアの昔話です。
『いちばんのなかよし』という作品でボローニャ国際児童図書展ニューホライズン部門ラガッツィ賞を受賞した、タンザニアの絵本作家ジョン・キラカさんが、ティンガティンガアート(アフリカのポップアートの流派)と呼ばれる独特の手法をもちいて描いたポップな絵本です。
「特別な呪文を唱えると実が落ちてくる不思議な木」のお話はアフリカ各地にその類話が多数存在するそうです。
ちなみに、こちら、『ふしぎなボジャビのき』も類話の一つです。⬇︎
動物たちの服装は色とりどりで個性的。
表情も豊かでとても明るく愉快な雰囲気です。
絵をよくよく見ると、ライオンがしっぽの先をズボンの後ろポケットに収納していていたり、カメが甲羅の上からシャツを着ていたり、みんなが揉めているときに、ネズミだけが、足元で仮眠をとっていたり……
と、本文とは、直接関係ない部分にもそこかしこにユーモアが散りばめられており、「絵を読む」楽しみがあります。
ところで、体の大きい動物が小さい動物の能力を軽く見て、結局は、大きい動物にできなかったことを小さい動物が簡単にやってのける、という描写は、もしかしたら
大きい動物=大人
小さい動物=子ども
の暗示なのかな…?とも思いました。
それにしてもこの絵本を読んでいるとなぜだかクッピーラムネが食べたくなってくるのは私だけでしょうか。