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oicchimouseの森の図書館員がめくるめく絵本の世界をご案内いたします。お子さまも大人の方もどうぞひと休みしていってくださいな。

新しい年の始まりをとっておきの絵本で迎えよう。oicchimouse目線で選ぶ、『お正月におすすめの絵本3選』

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こんにちは〜、oicchimouseです。

今年も残すところあと少し。

みなさんはどんな一年でしたか?

よかった方もそうでなかった方も、12月末でひと区切り。

 

松下電器創業者の故・松下幸之助氏の言葉に次のようなものがあります。

 

竹にフシがなければ、ズンベラボウで、とりとめがなくて、風雪に耐えるあの強さも生まれてこないであろう。竹にはやはりフシがいるのである。同様に、流れる歳月にもやはりフシがいる。ともすれば、とりとめもなく過ぎていきがちな日々である。せめて年に一回はフシをつくって、身辺を整理し、長い人生に耐える力を養いたい。[後略]

『松下幸之助一日一話 愛蔵版』PHP総合研究所[編]より(本文ママ)

 

というわけで、今日は、一年に一度のお正月という大きな「フシ」を意識するのにぴったりな絵本を紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

『山をはこんだ九ひきの竜』

松谷みよ子・文

司修・絵

佼成出版社

 

むかし、天に、いたずら大すきの 竜が、九ひき くらしていた。
一ぴき、二ひき、三びき、四ひき、……九ひき、いたんだ。

ある日、九ひきの 竜は、いたずらが したくなった。
そこで、 雨を ざんざん ふらせて、その雨に のって、ちじょうに おりてきた。

 

『あの山を ちょんぎろう』
『あの山を ちょんぎろう』


九ひきの 竜は、ニョンウォンの 西のほうに あった山を ちょんぎると、みんなで あたまの うえに のせ、エッサ ホイサと はこんだ。

ところが、トクチョンまで くると、くたびれた。


『一ぬけた もう かえろ』
『二ぬけた もう かえろ』
『三ぬけた もう かえろ』


山を ほうりだして、天へ かえってしまった。

びっくりしたのは、トクチョンの 人たちだ。


『あれえ、ひとばんのうちに 山が ひっこしてきた』


ところが、もっと びっくりするようなことが おこった。
ニョンウォンの やくにんが やってきて、いばって いった。


『その山は もともと、うちの山である。税金をはらってもらいたい』(本文ママ)


朝鮮の民話です。

「九匹の竜」「ちょんぎられて適当に落とされた山」「税金」という、すごい組み合わせですが、とても面白い絵本です。
松谷みよ子さんの再話はさすがの貫禄。

 

そして、ラストがまた非常に衝撃的で、最後まで油断できません。(えっ、こんな終わり方?という想像の斜め上をいく結末です。)

司修さんの独特なタッチの絵もとても面白く、お話をさらに魅力的なものにしています。

 

辰年の今年読めば、運気も上がるかもしれませんよ。

「税金」の意味が分かるくらいの年齢からのほうが、より楽しめると思います。

 

 

『めであるく』

マーシャ・ブラウン 文と写真

谷川俊太郎 訳

佑学社

 

『三びきのやぎのがらがらどん』のマーシャ・ブラウンによる幻の写真絵本『めで あるく』。

シリーズで他に、『かたち を きく』、『さわって みる』があります。

 

かつて佑学社から出版されたもので、全て絶版ですが、現在は、この三冊を一冊にまとめた、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』というタイトルで出版社「港の人」様より復刊されています↓

 

『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』

マーシャ・ブラウン 文と写真

谷川俊太郎 訳

港の人

 

 

落ち着いた雰囲気で、写真も言葉も非常に美しく、一人の時間に温かい飲み物を飲みながら、ゆっくりとページをめくりたくなる詩のような作品です。

 

「めは みえる

うまれた ときから。

でも みることはー

みえることとは ちがう。

みること

それは めで あるくこと

あたらしい せかいへと。」


「みることで あなたは

すてきなものを こころに ためこむ

そして なんども おもいだす。」

(本文ママ)

2024年という、ひらけたばかりの水々しく新しい世界を「目で歩いて」みませんか?

 

 

『よあけ』

ユリー・シュルヴィッツ 作・画
瀬田貞二 訳
福音館書店

 

新年の幕開けにぴったりな一冊。

こちらの『よあけ』という絵本は唐の詩人、柳宗元の詩「漁翁」がモチーフとなっています。

 

東洋の文芸、美術に造詣が深かったユリー・シュルヴィッツ。

私はこの絵本を眺めていると、清少納言の「枕草子」冒頭の有名な一文「春は あけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明りて 紫だちたる雲の 細くたなびきたる」

が頭に浮かんできます。

この「枕草子」の一文とぴったりリンクするかのような絵。とても感慨深いです。

 

だんだんと夜が明けてゆく様子が、美しい絵と繊細な言葉によって紡がれ、最後には目をみはるほどの夜明けの感動が待っています。

 

他のシュルヴィッツ作品にもいえることですが、五感全てで感動を味わうことができる、五感だけでなくまるで第六感まで研ぎ澄まされていくようなすばらしい絵本です。

 

 

声に出して、ゆっくりと味わいながら読むのがおすすめです。

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

新年初めの記念すべき「フシ」作りにぴったりの絵本、ぜひみなさんも楽しんでみてくださいね〜。

ではでは、よいお年を〜✨

 

 

 

◎こちらは、一度読んだら癖になる一風変わった「お正月絵本」です⬇︎

oicchimouse.com

 

 

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