『いないいないばあ』
松谷みよ子 作
瀬川康男 絵
童心社
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「いないいないばあ にゃあにゃが ほらほら いないいない……」(本文ママ)
ご存知、童心社が誇る累計700万部突破の大ベストセラー『いないいないばあ』です。
私が小さい頃にも家にあった絵本なのですが、子どもの頃はどういうわけだか、この絵本のことを「誰かにお下がりでもらった古い絵本」だと思っていました。
実際には確かプレゼントとしていただいた新しい絵本だったのですが、おそらくこの絵本に登場する動物たちや女の子が、色むらがあるような、くすんだような色合いの、独特のタッチで描かれているため、子どもとしては、
「なぜかちょっと動物たちが汚れている絵本→古い絵本」
と認識していたのだと思います。
誰かが動物を汚したと思い込んでいたのです。
しかし、だからこそ初めて見たときから妙にこの動物たちに親近感が湧くというか、古くからの知り合いのような、長年大切にしていてすっかり手に馴染んだお気に入りのぬいぐるみのような、不思議な感覚になるのかもしれません。
新品の絵本なのに、何十年も使い込んだように見えるという不思議な魅力が、この『いないいないばあ』の絵本にはあるのです。
また、絵本の『いないいないばあ』に描かれている『いないいないばあ遊び』についてですが、、、
この『いないいないばあ遊び』。生後数ヶ月頃のわが子が、笑い転げて、のたうちまわり、もはや苦しそうなほどウケている動画がスマホに保存されています。
これほどまでに赤子を魅了する『いないいないばあ遊び』の底力には、当時、本当に驚かされました。
「赤ちゃんというのは、笑いの沸点がめちゃくちゃ低いのだろうか…いや、それとも私が気付いてないだけで実は相当奥が深い遊びなのかも…」
と少々疑問に思いながらも、リクエストに応えて、エンドレス『いないいないばあ』を繰り返していました。
『いないいないばあ』が持つ深い意味については、『子どものそだちとその臨床』(滝川一廣著 日本評論社)という書籍の中で、次のように書かれています。↓
「新生児期からものや人を熱心に観察してきた経験事実から、やがて幼児は事物とは目の前から消えてもあり続けている(ピアシェのいう「対象の永読性」)という理解に達する。大事なものは目の前から消えてもそれっきりではないという理解は、まわりの世界への信頼を基礎づけるものであろう。」[後略](本文ママ)
子どもの文学は「行きて戻りし物語」と言われますが、それとよく似た構造のように思われます。
「大事なものは目の前から消えてもそれっきりではない」
この感覚を生まれたばかりの赤ちゃんに『いないいないばあ』遊びを通して伝えることの意味。
大人の方々。赤ちゃんには、何度も何度も『いないいないばあ』をしてあげてください。