【今日のおすすめ絵本】(対象…6歳ころから大人まで)
『壺の中』〈美しい数学〉
安野雅一郎…作
安野光雅…絵
童話屋
(あらすじ)
これから おはなし するのは
その つぼの なかの おはなしです
つぼの なかには みずが はいって おりました
かぜが あるとみえて
みずは うみのように なみだって おりました
そこは ひろい ひろい うみでした
うみには 1つの しまが ありました
しまには 2つの くにが ありました
2つの くにには それぞれに
3つの やまが ありました…
(本文ママ)
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壺の蓋を開けてみると、中に広がっているのはどこまでも無限に続く美しい世界。
表紙に描かれた壺は、手に触れれば本当に蓋を開けることができるのでは…と思わせるような不思議なリアリティがあります。
誰しもどこかで一度は目にしたことのあるようなデザインの壺ですが、だからこそその中に広がる不思議な世界とのギャップに、より一層魅了されます。
数学における「階乗」という抽象化された概念を上質なファンタジーの世界観の中で具体化していく、とても美しい絵本ですが、数学とファンタジーの境界線がどんどん曖昧になっていき、混ざり合ってゆらゆらと馴染んでいく様子が非常に心地よく感じられます。
表紙は青、白の2色ですが、ページを開き壺の蓋を開けると、色鮮やかに広がる壺の中の美しい世界の全貌が明らかになっていきます。
算数や数学を本格的に学ぶ前の子どもが、数学の概念そのものの美しさや壮大さに直に触れることができる傑作絵本です。
数学嫌いの大人の方が読んでも、その美しさ、不可思議さに魅了されます。
就学前のお子さまは、その魅惑的な世界をのぞき込むことで数の魅力に引き寄せられていきます。
勉強ではない、世にも美しい数学の世界をぜひ旅してみてください。
〈美しい数学〉はシリーズです⬇︎
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