『なめられたおじいさん』
うさみ・うさ 作
むかしむかし、あるところに気の短いおじいさんがいました。
おじいさんはよく山で動物を見つけては、仕事の途中でエサをやったりして育てていました。
あるよく晴れた日のこと、おじいさんは動物のエサを入れたお弁当を持ち、てくてくと仕事に出かけました。
仕事をしていると、「うーん、うーん」とうなっている声がします。
「どうしたのだろう。こんな山奥で、わしのほかに誰か人がいるのか?」
おじいさんがあたりを見てみると、草のかげに何かが横たわっています。
それは一匹のサルでした。
サルはおなかがすいているようで、今にも死にそうです。
おじいさんはかわいそうに思い、サルにエサをまいてやりました。
サルはそれを口にくわえ、逃げていきました。
サルは家に帰ると、おかみさんのサルと子ザルたちと一緒にエサを食べました。
そして、エサをやってくれたおじいさんのことを、家族に話しました。
「それで、おれに新しい家来ができたってわけだ。」
サルは言いました。
「まあ!すごいじゃあありませんですか。これで、食べ物に困ることも、飢え死にしそうになることもありませんもの。」
おかみさんのサルは喜びました。
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