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【今日のおすすめの本】(対象…小学校中学年から大人まで)
『夏のサンタクロース』(フィンランドのお話集)
アンニ・スヴァン 作
ルドルフ・コイヴ 絵
古市真由美 訳
岩波書店
(あらすじ)
ある夏の日、子どもたちは、草の上で、ぜいぜいあえぎ、うめきながら横たわっている、ぼろぼろの身なりをした、白いひげのおじいさんを見つけます。
おじいさんの着ている服はあちこちやぶれ、ひげはちぎれて、ブーツは片方しかはいていません。
「自分はサンタクロースだ」と名乗るおじいさんに、子どもたちはびっくり。
子どもたちはサンタクロースの存在を話でしか聞いたことがなく、家に来てもらったこともないけれど、自称サンタクロースを家に連れていって休ませることにしました。
サンタクロースの話によると、洞窟の入り口の前で眠り込んでいたら、寝ている間に、森の化け物「ヒーシ」にブーツの片方を奪われ、激しいもみあいになって、結果、このようなぼろぼろの姿になったとのこと。
サンタクロースのブーツは一歩進めば10キロも先に行ける、特別なブーツなのです。
ブーツがないと、クリスマスのプレゼント配りができない、と嘆くサンタクロースをかわいそうに思った子どもたちは、サンタクロースのブーツを取り戻すべく、「ヒーシ」の住む森へと出発しました…。
表題作「夏のサンタクロース」より
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最近の毎夜のお楽しみ『夏のサンタクロース』。
フィンランドで「童話の女王」と呼ばれているアンニ・スヴァンの作品集です。
民話や昔話の影響を色濃く受けているような雰囲気のお話が、表題作「夏のサンタクロース」を含め13編、おさめられています。
物語の中で、主人公の背景の中の植物や動物が自然にしゃべりだしたり、お話の中の景色の中にいる全てのものに命があって、意志があるような描き方がされています。
自然に対する畏怖や親しみも。
お話はどれも美しく、壮大でドラマチック。
景色が次々と絵巻のようになめらかに目の前に浮かんでくるようです。
そして、お話を彩るルドルフ・コイヴの挿し絵がまた素晴らしい。
繊細でありながら重厚感があり、一枚一枚額縁に入れておきたいような美しさです。
大人の方や大きいお子様だけでなく、毎夜、一話ずつ、小さいお子様への読み聞かせにもおすすめです。
寝る前に聴くクラシックのような一冊。
クリスマスのアドベントシーズンにいかがですか?