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〈はじめに〉
こんにちは。
oicchimouseです。
外国の絵本の中には素敵な作品がたくさんありますね。
そんな外国の絵本の持つ魅力を余すことなく引き出し、ときに、原文以上の輝きを与えてくれるのが「翻訳」です。
そして、この「翻訳」という、とてつもなく難しいお仕事を担っているのが、「翻訳家」とよばれる人たちです。
最近は翻訳のハードルが下がっているのか、売れるための話題性を狙ってなのか、特に翻訳家というわけでもない有名人の方々が次々と絵本の翻訳業界に進出している印象ですが、私の持論としては、やはり「餅は餅屋、翻訳は翻訳家」。
翻訳は、単に「外国語の文章を日本語に訳したもの」ではないし、かといって「自己陶酔的に意訳したもの」であってもいけないのです。
〈優れた翻訳とは?〉
翻訳者の原文に対する絶対的なリスペクトと、声に出して読んだときに、読者の心にストンと心地よく落ちてくるような絶妙な言葉選びのセンス、文体の素晴らしさ。
こういったことが、とても大切だと思います。
以前、図書館で翻訳された一冊の外国の絵本を借りて、寝る前に子どもに読み聞かせしたことがありました。
そのお話があまりにおもしろく、子どもが「買ってほしい」と言ったので、Amazonなどで探してみたのですが、古い絵本だったため新刊はもちろん無く、古書でも見つかりませんでした。
見つかったのは、新刊で、原作は全く同じ絵本だけれど、別の出版社から発売された、別の翻訳家による別のタイトルの絵本でした。
「仕方ない。同じ絵本だしこれを買おう。」
と購入したのですが、手元に届いて早速読んでみると、あれれ…?この絵本ってこんな感じだったっけ?
内容は同じなのに、同じ絵本とは思えないくらいぜんぜん面白くない…。
という出来事がありました。
どんなに原作が素晴らしくても、翻訳によってこれほどの差が出てしまうのです。
マーシャ・ブラウンの名作古典絵本である『三びきのやぎのがらがらどん』。こちらはノルウェーの昔話で、日本では瀬田貞ニさんの翻訳でベストセラーになっていますが、アメリカではそれほど売れず、もうハードカバーでは出ていないそうです。
瀬田さんの翻訳がいかに素晴らしく、子どもたちの心をつかむ言葉にあふれているかが、とてもよくわかるエピソードですよね。
作者のマーシャ・ブラウンは、
「絵本がほんとうに存在するのは、子どもと本がいっしょになり、画家の頭と心の中で形成されたものが、本を通して、子どもの頭と心に、流れこむときだけである」
(『絵本の歴史をつくった20人』 鳥越信編 創元社 より)
という言葉を残していますが、瀬田さんはまさに翻訳の力によってこの理念を体現してみせたのです。
まさに職人技ですね。
〈優れた翻訳絵本の選び方〉
とはいえ、たくさんの絵本の中から優れた翻訳本を探すのは慣れていないとなかなか大変です。
そういうときには、「誰が翻訳しているかで選ぶ」のも一つの方法です。
お気に入りの翻訳絵本を見つけたら、その翻訳家の名前を控えておく。そうして、素敵な翻訳絵本に出会うたびに翻訳家の名前を増やしていけば、その翻訳家リストに載っている翻訳家が手がけた他の絵本もほぼ間違いないクオリティのはずです。
その他には、前述の通り、
⚫︎翻訳者の原文に対する絶対的なリスペクトが感じられるか
⚫︎声に出して読んだときに、読者の心にストンと心地よく落ちてくるような絶妙な言葉があるか
⚫︎文体の素晴らしさ
も、よい翻訳絵本を選ぶ際の重要なポイントになります。
〈oicchimouseのおすすめ翻訳家20人〉
(敬称略・順不同) 注:『』は翻訳した作品です。
瀬田貞ニ…『三びきのやぎのがらがらどん』『よあけ』『指輪物語』他
石井桃子…『くまのプーさん』『うさこちゃんシリーズ』『ちいさいおうち』他
大塚勇三…『たんじょうび』『やかまし村の子どもたち』『小さい魔女』他
松岡亨子…『こぐまのくまくんシリーズ』『おやすみなさいフランシス』『まんげつのよるまでまちなさい』他
間崎ルリ子…『もりのなか』『くまさんシリーズ』『くんちゃんシリーズ』他
さくまゆみこ…『ごちそうの木』『ゆき』『かわいいサルマ』他
内田 莉莎子…『しずくのぼうけん』『おおきなかぶ』『てぶくろ』他
もきかずこ…『にぐるまひいて』『いいこってどんなこ?』『ロバのおうじ』他
菱木晃子…『ペッテルとロッタのぼうけん』『ぼうしのおうち』『バレエをおどりたかった馬』他
光吉 夏弥…『おおきいツリーちいさいツリー』『ちびくろ・さんぼ』『ガンピーさんのふなあそび』他
ほしかわなつこ…『マリールイズいえでする』『あなただけのちいさないえ』『ねこねこ10ぴきのねこ』他
神宮 輝夫…『かいじゅうたちのいるところ』『小さな赤いめんどり』『からすのカーさんへびたいじ』他
三木卓…『がまくんとかえるくんシリーズ』『しあわせの石のスープ』『とうさんおはなしして』他
矢川澄子…『まっくろネリノ』『おばけリンゴ』『あめのひ』他
おかもとはまえ…『クリスマス・トムテン』『こぶたのおるすばん』他
渡辺茂男…『スモールさんシリーズ』『どろんこハリー』『クリスマスのまえのばん』他
松井るり子…『こもりうた』『うさぎのおうち』『スヴェンさんの橋』他
猪熊 葉子…『しずくの首飾り』『アーミテージ一家シリーズ』『かさどろぼう』他
松野正子…『ちゃいろいつつみ紙のはなし』『おとうさんねこのおくりもの』『思い出のマーニー』他
山口文生…『きょうはみんなでクマがりだ』『ランパンパン』他
〈おわりに〉
いかがでしたでしょうか?
知れば知るほど奥が深い翻訳絵本の世界。有名な絵本だと図書館の絵本コーナーに原書(外国語で書かれたままの本)も置いてあることがあるので、どのように翻訳されているのか、翻訳バージョンと見比べてみても楽しいですよ。
ぜひぜひお気に入りの一冊を見つけてみてくださいね。