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oicchimouseの森の図書館員がめくるめく絵本の世界をご案内いたします。お子さまも大人の方もどうぞひと休みしていってくださいな。

実はクリスマス絵本だった『だってだってのおばあさん』(oicchimouse思い出話のおまけ付き)

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【今日のおすすめ絵本】(対象…4歳頃から)

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『だってだってのおばあさん』

作・絵 さのようこ

フレーベル館

 

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〈実はクリスマス絵本だった!〉

 

「クリスマスになると雪の降る美しい街のたくさんのたくさんのおばあさんに、この絵本を贈りたいのです。でもこれ子どもの絵本でしょうって?だって、おばあさんは一番たくさん子どもの心を持っているんですもの。」

(巻末〈作者あとがき〉より本文ママ)

 

 

 

実はクリスマス絵本でもあった『だってだってのおばあさん』です。

 

こちらの〈あとがき〉には、佐野洋子さんがかつて住んでいた、おばあさんだらけの美しい街での思い出が綴られています。

 

佐野さんが、初めてその街に着いた日はクリスマスイブで、雪が降っていて、乗っていた車の前を白い狐が横切っていったそうです。

 

私は「だってだってのおばあさん」本編と同じくらい、この〈あとがき〉が大好きです。

 

というのも、この〈あとがき〉がもうすでに、素晴らしいファンタジーの雰囲気をまとっていて、一つのわくわくする物語のようだからです。

 

クリスマスに、たくさんのおばあさん達が、この絵本を手にゆっくりとくつろいでいる様子を想像すると、幸せな気持ちになります。

 

さのさんからたくさんのおばあさんたちへの、「なんでもできるような気がする心」というクリスマスプレゼント。素敵ですね。





〈本文あらすじ〉

99歳のお誕生日を迎えるおばあさんに、ケーキに立てるための99本のろうそくを買ってくるように頼まれた猫。

 

ところが、猫は買い物の帰りにろうそくを川の中に落としてしまいます。

 

残ったろうそくは、5本だけ。

 

仕方がないので、おばあさんと猫は、5本のろうそくをケーキに立てて、お誕生日のお祝いをします。

 

ろうそくが5本なので、おばあさんはその日から5歳になりました。

 

5歳になったおばあさんは、何でもできるのです。

*****

 

 


(おまけ)

私がかつて、某金融機関に勤めていた頃。


私もおばあさんだらけの街で一人で暮らしていました。

 

銀行窓口には毎日たくさんのおばあさんがいらっしゃいました。

 

天気のいい日になると、何故か涙が止まらなくなるというおばあさん。

 

一人暮らしだった私に筑前煮を差し入れてくれるおばあさん。

 

いつも、すみれちゃんという可愛いお孫さんを連れていらっしゃるおばあさん。

 

他のおばあさんにからんでおばあさん同士で喧嘩を始める喧嘩っ早いおばあさん…

 

 

 

さまざまなおばあさんがいらっしゃいましたが、今でも忘れられないのは、狐に取り憑かれているというおばあさんです。

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

エレベーターが開くと、一人のおばあさんが、ふらついた足取りでカウンターに倒れこんできました。

 

「うっ…。はぁはぁはぁ…。あぁ、もうあかんわ。ここは、ほんまにあかんのや。お姉ちゃん、なんも感じやんか?お狐さんがきついんよ。」

 

「えっ…?」

 

「あああ…。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。うっ!ううう…。」

 

おばあさんが、念仏を唱えながらその場に座り込んでしまいました。

 

「大丈夫ですか⁉︎救急車…」

 

隣の席の先輩に目をやると、先輩は黙って首を振り、「いいからそのまま手続き進めて」と真顔で言いました。

 

私は「大丈夫ですか?すぐ手続きしますので…」と言って手続きをはじめました。

 

すると急におばあさんは普通に戻り、すたすた歩いて席に戻りました。

 

そして、できた書類を返そうと、おばあさんを呼ぶと、またふらつきながら呼吸も荒く、カウンターに倒れこんできました。

 

 

バンッ!

 

 

「うう…ううう…。かんにんな。はぁはぁ…。もうあかんわ。ぎゃあ!なむあみだぶ、なむあみだぶ。お姉ちゃん、おかしなばあさん来たなぁと思てるやろ。」

 

「いえ、とんでもないです…!いつもご利用ありがとうございます。」

 

「けどな、ほんまにここは狐がきついんや」

 

 

 

そのとき、エレベーターからたくさんのお客様が入ってきました。

 

するとおばあさんは、「ああっ!」と叫んで、スーパーボールのようにフロア中を跳ね回りながら、机やカウンター、ソファなどありとあらゆるものにぶつかりながら帰っていきました。

 

 

 

「驚いた?」

 

あっけにとられている私を見て先輩が言いました。

 

「えっ…。そりゃあ驚きますよ。あのまま一人で帰して大丈夫なんですか?」と聞くと、先輩は、「いつものことだから大丈夫。外に出たらちゃんとしっかり歩いてるよ。ここにお狐様がいるせいなだけだから。今日はギャラリーが多かったからやる気出たのかもね。」と言いました。

 

 

 

「えっ、ここってお狐様がいるんですか?」

 

 

「さあ、どうかね。」

 

 

先輩は怪しげな笑いを浮かべました。

 

 

 

 

以上、私のおばあさんにまつわる思い出でした。

 

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