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oicchimouseの森の図書館員がめくるめく絵本の世界をご案内いたします。お子さまも大人の方もどうぞひと休みしていってくださいな。

【大人におすすめのクリスマス絵本】第1夜〈しっとり味わうクリスマス〉

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こんにちは〜、oicchimouseです。

 

今日から全4回(第1夜〜第4夜)にわたって、【大人におすすめのクリスマス絵本】と題しまして、子どもはもちろんのこと、大人にこそぜひ読んでいただきたい、クリスマスの名作絵本を数多あるクリスマス絵本の中から厳選してご紹介していきたいと思います。

 

みなさま、ぜひ、お付き合いくださいませ。

 

第1夜の今日は、

 

〈しっとり味わうクリスマス〉

がテーマです。

 

ぜひ、ご堪能ください。

 

 

 

・トムテ

 

 

『トムテ』

ヴィクトール・リードベリ 作

ハラルド・ウィーベリ 絵

山内清子 訳

偕成社

 

 

「しんしんとひえる まふゆのよぞらに、ほしがつめたくまたたいている。

 

もりにかこまれたのうじょうでは、すべてがねむりについている。

 

きはしずかにそらをあゆみ、やねやきぎに

つもったゆきを、さえざえとてらしている。

 

めをさましているのは、こびとのトムテただひと

り。」

(本文ママ)

 

 

 

トムテは、スウェーデンの農家や仕事場などに住んでいる小人です。

 

この絵本は、ゲーテの『ファウスト』の訳者としても有名な、スウェーデンを代表する作家、ヴィクトール・リードベリによって書かれた『トムテ』という詩に、エルサ・ベスコフ賞受賞のハラルド・ウィーベリが美しい絵を添えたもの。

 

非常に色鮮やかで、ところどころに「光」を効果的に取り入れた手法が印象的です。

 

冬の農場で、夜まわりするトムテ。

月明かりに照らされる白銀の雪景色。

 

農場の動物たちを見守り、いつもトムテを大事にしてくれる主人夫婦を見守り、すやすやと眠る可愛い子どもたちを見守る。

 

「人はどこからきて、何処へいくのか」

トムテは考えます。

 

非常に哲学的で普遍的な問題を、読者は、トムテと一緒に夜まわりしながら思い巡らすことができるのです。

 

美しい絵と共に味わう極上の詩。

 

ぜひ、美しい詩とともに、ウィーベリの作り出す印象的な「光」のある景色を楽しんでみてください。

 

 

・もみのき そのみを かざりなさい



 

『もみのき そのみを かざりなさい』

五味太郎 著

アノニマ・スタジオ

発行:KTC中央出版

 

「ほし めざめなさい

ふね とびなさい

さめ わすれなさい…」

(後略・本文ママ)

 

と、1ページごとに、印象的なワンフレーズと美しく落ち着いた雰囲気の挿絵が描かれています。

 

絵本のページをめくるごとに読者の心の中に一つ一つのフレーズが、オーナメントのように徐々に集約され、心の中のもみの木(挿絵に描かれたもみの木と重なる)に丁寧に飾られていく…。そしていよいよクリスマスの夜へ…。

 

クリスマスの準備を全て終えた静かな夜。心の中に言葉のオーナメントを飾りながら、ゆっくりと味わいたい一冊。

 

 

・クリスマスって なあに

 

 

『クリスマスって なあに』

ディック=ブルーナ 作

ふなざき やすこ 訳

講談社

 

キリスト生誕に関するお話ではありますが、宗教色を強く感じることもなく、シンプルで清々しく心地よい感じのする絵本です。

 

また、ブルーナ作品には珍しく、くすみカラーが随所に用いられ、どこか落ち着いた印象です。

 

原作者のブルーナさんと翻訳者のふなざきさんが共に大切にしていた「声に出して読んだ時に耳に心地の良いリズム」

 

ぜひ、声に出して読んで、言葉が奏でる音の素晴らしさをご自身の耳で聞いて楽しんでください。

 

あっ、そうそう。

 

ブルーナの描く絵本のキャラクターたちが、いつも正面を向いているのは、何故だか知っていますか?

 

それは、

『キャラクターたちはいつも、本と向き合っているあなたのことを見ている』

という、ディック・ブルーナの深い愛情が込められているからだそうですよ。

 

 

・ゆうびんやのくまさん

 

 

『ゆうびんやのくまさん』

フィービとセルビ・ウォージントン さく・え

まさき るりこ やく

福音館書店

 

「あるところに、ゆうびんやのくまさんが、たったひとりですんでいました。くまさんは、バッジのついた ぼうしと、てがみや はがきを いれる かばんを もっていました。

 

くまさんは、にちようびのほかは、まいあさ、とてもはやく おきます。

ふゆには、そとは、まだ くらいこともあります。……」(本文ママ)

 

 

 

「ゆうびんやのくまさん」の1日がシンプルな文章と美しい絵でつづられている小さな絵本です。

 

このお話は、何か読者が驚くような特別な出来事がおこるわけではありません。

 

でも、実はこの絵本、大人の心にとてもよく響きます。日々の仕事に疲れているときには特に。

 

シンプルで癖のない穏やかな文章が心にすっと浸透し、固くなった大人の心をほぐしていくのです。

 

絵は可愛くて美しいだけではなく、注意深く見るといろいろな部分に「くまさん」のこれまでの人生や人柄が見え隠れしています。

 

例えば、くまさんは今一人で暮らしているけれど、部屋には美しい女性のくまの絵や、その女性とくまさんの結婚式の写真が飾られています。

 

くまさんはかつて結婚していたけれど、奥さんが亡くなって今は一人で暮らしているのでしょうか。

 

でも、くまさんにはちゃんと「ゆうびんや」の仕事があって、仕事をサポートしてくれる人がいて、配達に行くと町の人たちにとても喜ばれている。

 

くまさんの仕事ぶりはとても丁寧で真面目。

今日はクリスマスで、配達先のお宅でクリスマス・パイとジンジャーエールもふるまわれます。

 

仕事が終わり、うちに帰ったくまさんは、とても疲れていたのでお風呂に入って晩ごはんを食べます。

そして、クリスマスの夜を一人で静かに過ごします。

 

くまさんはさみしいでしょうか?

 

きっと、そんなことはないのです。

 

だって、くまさんの部屋の暖炉の上には「くまさんへ パーティーにきてください ジャンとアンナより」という手紙が飾られていて、クリスマスツリーのまわりにはくまさん宛てのたくさんのクリスマスプレゼントが置かれているのですから。

 

それらの包みには……

 

「くまさんへ」

「大すきなくまさんへ ジェインより」

「くまさんへ 愛をこめて」

「くまさんへ」

「ゆうびんやのくまさんへ」

 

と書かれているのが見えます。

 

くまさんは「一人」だけれど、「一人きり」ではないのです。

 

くまさんは寝ます。

ベッドの横に「サンタさんへ どうぞ おのみください」と書いた手紙とミルクとクリスマス・パイを置いて。

 

この絵本は「ゆうびんやのくまさん」の一日を描いた作品ですが、この一日は単なる一日ではありません。

 

これまでくまさんが真面目に丁寧に働きながら心を込めて積み上げてきた「たくさんの一日」の上に成り立つ特別な一日なのです。

 

いつもがんばっている自分宛のクリスマスの贈り物にぜひ。

 

 

 

お読みくださり、ありがとうございました。

 

では、次回、第2夜をお楽しみに…。

 

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