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oicchimouseの森の図書館員がめくるめく絵本の世界をご案内いたします。お子さまも大人の方もどうぞひと休みしていってくださいな。

夢中で遊んだあの日々が色鮮やかによみがえる『だいスキ友だち大親友』(日曜連載小説)…第1話ふたりは友だち

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『だいスキ友だち大親友』

うさみ・うさ 作・絵  

おいっちまうす出版社      

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1.ふたりは友だち
 

 確かにふたりは、友だちじゃなかったのよ。 私だってムッラだって、「相手は自分の友だちだ」なんて思いもしなかったわ。

 

 

 私たち、友だちならそこら中にいるの。

 

 

 ロッタだってシーナだってアンナだってそうなの。

 


 でも私たちはね。一言では言えないの。「親友」。なんて大がかりなの言っても、ものたりなさすぎる位よ。「大親友」。これでやっと二人の関係がわかってもらえるかしら。

 


 とにかく私たちは家族みたいなもので、一言で済ましちゃえば仲良しなの。私の知っている子どもの中で一番よ。

 


 あ、言ってなかったけど、私はベッラっていうの。

 

 

 お互いこんなに大好きだけど、はじめは私たち普通の友だちだったの。     
 出会いはつい最近のことよ。ちょうど一年ほど前ね。

 


 小学校の入学式の日の、一時間目の授業は「ふれあい」。私たちの通っている小学校では必ずやるの。

 


「隣の席の人と手をつないで話をしてみてください」。先生が言ったわ。
 

 

 私の隣の席はムッラだった。

 


 ムッラは、じっと黙りこくっていたの。だから、「私の方から話せば…」と思って。 
「はじめまして、私ベッラよ」と私。

 

 

「こちらこそ…ムッラです…」とムッラ。
 でも乗り気な様子はなかったわ。
 

 

 私、「普通の会話はつまんないのかな」って思ってね、大好きな子猫の話をしたの。飼っている生まれたての小さい猫よ 。
 名前はサラ。私が決めたの。私と「ラ」が同じだから、仲良くなれそうと思ってね。
 

 

 私が猫のことを話すとムッラも家のことを話してくれたわ。

 


 ムッラの家はペットショップで、家の動物はみんな売り物だけど、ムッラの動物もいるわ。子猫よ。名前はムム。子供から大人になりかけなの。「ム」が同じで、ムッラと同い年なんだって。お互いうっとりしてたわ。
 

 

 よく見るとこんなに楽しんでいるの、私たちくらいなのよね。ほかの子は、「はじめまして」「はじめまして」「いい天気だね」「昨日もそうだね」「明日もきっとそうだろうね」、みたいなことを、つまんなそうにぶつぶつ言ってるだけだもの。

 


 みんなと反対に私たちはとても楽しかったわ。誰も「友だちになろう」なんて言わなかったのに、友だちになれて嬉しかったし、その日から私たち毎日一緒に遊んだわ。

 

 

ときにはままごとをして、ときには鬼ごっこをしたりするの。二人はケンカなんかしないし、ほかの子と遊ぶことなんか一回もなかったわ。確かに他の子も優しくて大好きなの。ロッタだってシーナだってアンナだって。それにこれらの子と遊んだって、楽しいのは楽しいのよ。
 

 

 でも、二人でいると落ち着くの。「緊張」なんてこと何にもなしでね。つまんないって思うこともないの。

 

 

 嘘だと思うなら聞いてみて?ムッラにね。

 


 まぁ、とにかく私たちが友だちだってことがわかっていれば十分な話なのよ。

 

 

 

(来週日曜 第2話「ひみつきちごっこ」に続く)

 

 

 

 

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