oicchimouseのおいっち・にー・さん・しー

〜絵本講師oicchimouseの絵本と本と子育ての小部屋〜

親から子へ『追体験のススメ』

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こんにちは。oicchimouseです。

 

 

 

先日、父がお盆の提灯を出しました。

台風が来るというので、少し早いですが、お墓参りにも行きました。

 

 

 

毎年お盆の行事がはじまると、なんだかわくわくします。

 

 

 

私の故郷では、迎え火はやるところもあればやらないところもある感じで、送り火は海に行きます。(今年は台風で行くのが難しそうですが…)

 

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毎年、海辺で送り火の炎と夜空に立ち上る煙を眺めると、「今年の夏ももう終わりだなぁ…」と感慨深くなります。

 

 

 

そういえば、お墓参りに行ったとき、お寺の近くの側溝にカニがいました。

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どこにいるか分かりますか?

 

 

穴の中に入ったり、出てきたりしている赤いカニを眺めながら、子どもにこんな話をしました。

 

 

「お母さんが小さい頃には、木の棒に紐をつけた釣竿の先にご飯粒を少しくくりつけてこういうカニを釣って遊んだんだよ」

 

 

 

日中は暑いので、夕暮れ時に近くの神社まで散歩に出かけます。

 

 

「昔、あの田んぼのあたりで、可愛くて毛むくじゃらのよく分からない動物を見たんだよ」

 

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子どもと一緒にあぜ道を歩きながら話します。

 

 

 

夕暮れ時の涼しい風がサーっと吹きぬけて、青々とした稲穂を揺らします。

 

 

「緑色の海みたい」

 

と、子ども。

 

 

一軒の家の前を通り過ぎる時、私が言いました。

 

 

 

「ここは、猫がたくさんいて、お母さんたち子どもは、〈猫の家〉と呼んでたんだよ〉」

 

 

 

猫が1匹、ブロック塀の穴から顔を出して「にゃー」と鳴きました。

 

 

 

また少し歩くと、石垣の下に茶の実がたくさん落ちています。

 

「お母さんと友だちは、ここを通るときはいつも、落ちている茶の実を踏んで、パチパチ鳴らしながら歩いたんだよ」

 

 

私と子どもは、落ちている茶の実を踏んで、パチパチ鳴らしながら歩きました。

 

 

 

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神社に着くと、水で手を清めて

石段を登ります。
 
 
「お母さんは、小さい頃、友だちとよくこの神社で、砂利の中に混ざっているシーグラスを探して遊んだんだよ。
 
 
見つけたシーグラスを神社の*手水舎(ちょうずや)に置いている柄杓の中に入れて、水で洗って遊んでいたら、神主さんに見つかって、ずいぶん怒られてね。
 
神主さんがきたら子どもたちは、一斉に逃げ出して木の影にかくれるの。
 
でも神主さんが帰っていったら、また子どもたちが集まってきて、シーグラスを探して柄杓で洗う遊びをはじめたものだよ。水で洗うとシーグラスが透明になってキラキラ光るのがみんな面白くてね。
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あれは、ずいぶん楽しかったなぁ」
 
「いいなぁ、私もやりたい」
 
 
*手水舎…神社で、参拝者が身を浄めるために手水を使う場所のこと
 
 
 
 
すぐ隣にあるお寺も、子どもの遊び場でした。
 
 
夏休みになると、朝6時半に子どもたちがお寺に集合し、5.6年生がラジオを流してラジオ体操のはじまりです。
 
体操が終わると、ラジオ体操のカードに5.6年生がハンコを押してくれるのです。
 
 
ハンコの数が多くなってくると、夏休みもあとわずか。相変わらず騒がしい蝉の声も、どことなく名残惜しそうに聴こえます。
子どもたちは残念がっていました。
 
 
 
私と子どもも、お寺の境内で、少しラジオ体操をしてみました。
最近の小学校は、夏休みのラジオ体操がないんですね。
 
 
 
お寺の境内にあるソテツの木の上部には、ふわふわのオレンジ色の綿のようなものが生えています。
 
友だちが、そのことを教えてくれたのです。
 
私たちは、昔、その綿をよく、ままごとに使っていました。
 
 
 
子どもも、ソテツの綿を触り、すごいすごい、と驚いています。
 
 
それから、お寺の裏にある竹やぶに作った子どもたちの秘密基地のあとを案内しました。
 
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「大きい子も小さい子も学校が終わるとここに来るように約束して、竹の根っこで作ったタワシで秘密基地の水の流れる岩場を磨いたり手入れしながら遊んだんだよ。」
 
 
 
「よし!行こう!」……と、ここで子どもが山へと続く獣道に向かって全速力で走っていったので、「イノシシに倒されるからだめ」と静止して帰ってきました。
きっと、子ども自身もその場で同じ遊びをしているような気持ちになったのでしょう。
 
 
 
都会育ちの子どもにとって、夏休みは、いろいろな体験をする良い機会。
 
 
 
景色を見るだけでも十分田舎の夏の雰囲気を味わえるかもしれませんが、景色と一緒に、その場所にまつわる親の思い出話を一つ一つ語ることで、『追体験』というかたちで、私の楽しかった夏の思い出を共有できるのではないかと思いました。
 
 
 
親の幼少期の思い出、祖父母の幼少期の思い出。
思い出の舞台である場所で聴く、わが家の昔話は、子どもにとって、これ以上ない『追体験』になるはずです。
 
 
みなさんもこの夏にぜひ、子どもたちと一緒に『わが家の昔話』を楽しんでみてはいかがでしょうか。
 

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