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4.こねことこいぬと私たちの店
私とムッラは、よくお店ごっこをするの。
おもちゃのお金と砂ケーキなどを交換するのよ。
でも、それだといつも物足りないの。
もうちょっとリアリティーがある遊びの方が良いのだけれど、これよりリアルな遊びなんて思いつかないの。
ある日、私はお店ごっこのアイデアが見つかったわ。急いでムッラの家に行って、言ったの。
「ねえムッラ、お店ごっこについてだけど、本当のお店にすればいいんじゃない?家からそれぞれのリンゴの木のリンゴをとって、それを本当のお金で売るの。家にリンゴの木がない人のためにね。そしてお金がたまったら、二人だけの小さな家を買いましょう。」
「いいわ。」とムッラも賛成したわ。
そして、お互いリンゴをあるだけ、もぎとったの。(これ、自分だけのリンゴだから何しても怒られないのよ。)
数えると、私のは二十九個、ムッラのは二十四個だった。
たすと何個かしら。筆算しましょう。
答えは五十三。つまり五十三個よ。
私たちは段ボールに、「リンゴ屋」と書いて前に立ったの。
すると、たちまちお客さんがどんどん来て、二人の店は大賑わい。たまったお金は、六千六百二十五円。
さらに、毎日毎日できたリンゴを売っていくと、しまいには、家を買えるくらいたまったわ。
私たちは、さっそく私のいとこのアリスに別荘を買いたいと言いに行ったの。(アリスは別荘をいっぱい持っているのよ。)
「ねえ、アリスお姉ちゃん、別荘を一つ売ってくれない?」と、私たち。
「いいわよ。あのおうちなら。」(『あのおうち』とは下の図です。)アリスは言ってくれたわ。
私は、アリスにお金を渡すと家に入っていった。
家の中は広々としていて、縄ばしごを登ったり、すべり台をすべったり。
ベランダでムッラと鬼ごっこをしたりもしたわ。かわりばんこに逃げたり追いかけたり。とても楽しかった。
次の日は、こねことこいぬも連れてきたの。サラとムムは毛糸玉を転がしてばっかりだったけど、ラサとムッムはすべり台をすべったり、人間たちの仲間入りをして鬼ごっこをしたりしていたわ。
その時、「ヒャニャアー!ハニャー!」といううなり声が聞こえたの。私たちはこねこの鳴き声と分かって、急いで下に降りた。
(「どろぼう」と言う言葉が、一瞬頭に浮かんだわ)。
そこには、怒り顔と泣き顔が混ざった二匹の猫がいたの。
そう、二匹はケンカしていたのよ。
しばらくしてカラスがカーカーと鳴きはじめると、
「カラスが鳴くからかーえろ。」
私たちは夕焼けの中、スキップで帰っていったわ。
(来週日曜 第5話「クラス替えと新たな大親友
」に続く)