【今日のおすすめ絵本】(対象…0歳から大人)

『おやすみ、かけす』
マリー・ホール・エッツ ぶん・え
まさき るりこ やく
大日本図書
(あらすじ)
かけすが いちわ、きのえだに とまって
ないています。
ジェー、ジェー、ジェー。
ぴょんぴょんがえるが、ぬまのなかで
ないています。
グワッ、グワッ、グワッ。
やぎが いっぴき、くさはらで
ないています。
メェー、メェー、メェー。
のらねこが、うらどおりで
ないています。
ミャーオ、ミャーオ、ミャーオ。
(本文ママ)
……と、いうふうに、続いていきます。
そして、いつのまにかあたりは夜になり、男の子は、「かけす」と「かえる」に『おやすみ』を言います。
最後は、語り手が男の子と、読者に『おやすみ』を言って終わります。
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『もりのなか』や『わたしとあそんで』で知られる、マリー・ホール・エッツの隠れた名作です。
エッツの作品はいつも心地よさと同時に不思議な「違和感」を感じさせるものが多いと感じます。
あれ?そういえば、なんでこれって、こんな描き方してるんだろう……。
と考えているうちに、あっ、そういうことか!
と分かるものもあれば、何年かあとに読んで、やっと、エッツが絵の中にひそませたメッセージに気付くこともあります。
例えば、こちらの作品だと、いつの間に日中から夜になったのかが、はっきり書かれていません。
犬が月に吠えている場面から夜になったのかな?と思いきや、実は、もっと前から夜は始まっています。
なぜ、分かるのかというと、途中から動物たちの「向き」が変わっているのです。
はじめのうちは、登場人物がみんな左を向いているのに対し、途中からみんなは右を向いています。
つまり、左が昼、右が夜、なのではないか……と。
そして、もう一つの違和感が、男の子が『おやすみ』を言う相手です。
一般的に、このタイプの絵本は、動物などが、順番に登場したなら、全員に順番に『おやすみ』を言って終息することが多いのですが、ここでは、男の子は、「かけす」と「かえる」にしか『おやすみ』を言っていません。
絵本のページをよーく見てみると、かけすは夜の場面(みんなが右を向いている)になってもまだ昼の方向(左)を向いていて、かえるは、昼の場面(みんなが左を向いている)に、夜の方向(右)を向いているのです。
イレギュラーな行動をしている動物にだけ、『おやすみ』を言っていたのです。
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と、これは私の勝手な解釈なので、読むときにはこんな戯言は、完全に忘れていただいて、普通に楽しんでいただければ、と思います。
特にお子さまに読み聞かせされるときには、絶対に、何も説明なさらず、質問なさらず……。
なぜなら、私より子どもたちのほうがよっぽど物事を見る目が優れているので……。
紺と白の2色だけの静かで穏やかな夜の世界をお楽しみください。