oicchimouseのおいっち・にー・さん・しー

oicchimouseの森の図書館員がめくるめく絵本の世界をご案内いたします。お子さまも大人の方もどうぞひと休みしていってくださいな。

【大人におすすめのクリスマス絵本】第3夜〈サンタさんの訪れを待ちわびていたあの頃の自分にもう一度出会う〉

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こんばんは〜。oicchimouseです。

 

年末が近づくにつれ段々と忙しくなってまいりましたが、みなさんもどうぞ体調など崩されませんようご自愛くださいませ。

 

 

 

さて、【大人におすすめのクリスマス絵本】

 

 

第3夜の今夜は、

 

 

〈サンタさんの訪れを待ちわびていたあの頃の自分にもう一度出会う〉

 

 

が、テーマです。

[:コンテンツ]

 

 

 

 

 

 

・クリスマスのまえのばん

 

 

『クリスマスのまえのばん』

クレメント・C・ムーア ぶん

わたなべしげお やく
ウィリアム・W・デンスロウ  え
福音館書店

 

 

 

夜中に目が覚め、賑やかな音にベッドからはね起きた父さん。

 

父さんが家の中で遭遇したのはセントニコラス。

 

小さい体に大きな顔。可愛いおなか。

 

笑うたびに丸いおなかはボウルに入れたゼリーのように震えます。

 

父さんは思わず笑ってしまいました。

 

セントニコラスにウインクされて、父さんは楽しい気持ちになります。

 

セントニコラスは、大人も思わず笑ってしまうくらい愉快なおじさんなのです…。



畑や果樹園に囲まれた古い灰色の館に住んでいた学者のクレメント・C・ムーア。

 

彼が子どもたちのために書いた、セントニコラス(サンタクロース)のお話は、アメリカの古典となり、たくさんの画家によって挿絵がつけられ、私たちは、味わいの異なるさまざまな絵本を楽しむことができます。

こちらは、『オズの魔法使い』の挿絵で知られるウィリアム・W・デンスロウが、挿絵を担当した絵本です。

セントニコラスのお洋服が現在主流になっている赤い服でなく緑の服なところも注目ポイントです。

 

まるでエンターテイナーのようにノリノリのセントニコラスは、序盤からみんなを笑わす気満々の顔つきです。

 

ソリに乗って空を飛ぶ顔の、気持ちよさそうなことといったら!

 

大人も子どもも思わずソリの隣に同席したくなるほどです。

 

砂糖菓子が踊り、セントニコラスが、おもちゃ達と踊り回る様子は、まるでミュージカルを見ているかのよう。

 

お調子者の酔っ払いのようなサンタさんが登場するこの絵本は、クリスマスイブのドキドキとワクワクそのものなのです。

 

サンタさんの訪れに興奮して、誰もが心踊ってしまう特別な夜。

 

〈クリスマスのまえのばん〉は、もうすぐそこまできています。

 

 

 

 

 

・クリスマスのふしぎなはこ

 

 

『クリスマスのふしぎなはこ』

長谷川摂子 ぶん

斎藤俊行 え

福音館書店

 

「ぼく」が縁の下で見つけたのは、「ふしぎなはこ」。

「ふしぎなはこ」を開けてみると、中にいたのはベッドですやすや眠るサンタさん。

 

お母さんがクリスマスケーキを作り始めた頃、こっそりサンタさんの箱をまた開けてみると、サンタさんは大きな白い袋をかついで、ソリに乗り込もうとしているところ。

 

夜が近づくにつれ、箱の中のサンタさんも段々と「ぼく」の家へと近づいてくるのです。

 

箱の中に「サンタさんそのものがいる」、というよりは占いの時に使う「水晶玉を通して見ている映像」のように描かれていて、とても幻想的な雰囲気です。

 

またこの絵本について、とても興味深いのが、「ぼく」の住む家が、ぬくもりあふれる伝統的な日本家屋であるということ。

三角巾とエプロンを身につけ、洗濯や掃除をテキパキとこなしながら、サンタさんが気になって仕方がない「ぼく」にあたたかな眼差しを向けるお母さんの姿も、誰もが心の中にイメージする伝統的な「日本のお母さん」なのです。

 

お父さんの

 

「そうさなあ、そろそろ まちに つくころかな」

 

というセリフや、

 

お母さんの

 

「あのこは ねたか、このこは ねたか、ねたこの うちから くばろうか、って サンタさんは うたって あるくのよ。さあ、はやく ねましょ」

 

というセリフの中にも、どこか懐かしい昔話のような、わらべうたのような雰囲気が感じられます。

 

この絵本は、おそらく長谷川さんと斎藤さんが描く、「日本の土地にすっかり根付いたクリスマス」いわば、今後も文化として残していきたい「日本の民間伝承としてのクリスマス」なのです。

 

昔話の再話も多く手がけ、「言葉」を大切にされていた長谷川さんならではのこだわりと、その世界観・空気感を見事なまでに表現した斎藤さんの絵が紡ぎ出す、珠玉の作品です。

 

クリスマスは、私たちが子どもだった頃に比べてすっかりお洒落で洗練されたものになり、年々「本物」に近づきつつありますが、大人の方もひとときこの絵本の世界に入り、しばしあの頃の自分に会いに行って見ませんか?

 

 

 

 

明日はついに第4夜。最後までどうぞお付き合いくださいませ。

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【大人におすすめのクリスマス絵本】第2夜〈とってもかわいい子たちのとってもかわいいクリスマス〉

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こんにちは、oicchimouseです。

 

 

昨日に引き続きお送りしている【大人におすすめのクリスマス絵本】

 

 

第2夜の今日は、

 

〈とってもかわいい子たちのとってもかわいいクリスマス〉

 

がテーマです。

 

 

 

 

 

・エリーちゃんのクリスマス

 

 

『エリーちゃんのクリスマス』

メアリー・チャルマーズ さく

おびか ゆうこ やく

福音館書店

 

正方形の小さなサイズに、真っ赤な赤とかわいいエリーちゃんが描かれた表紙が素敵な、こちらの絵本。

 

ページをめくると、雪が今にも降ってきそうな、どんよりとした空。

 

そして、雪が降りはじめると、あたり一面美しい白銀の世界へ…。

 

「ながぐつ はいてきて よかったね」

 

と言いながら、雪景色の中をエリーちゃんと、いぬのハリーは、大きな緑色のもみの木をソリに乗せて運んでいます。

 

二人が家に着くと、待っているのはまた何とも可愛らしい、うさぎのアリスとねこのヒラリーです。

 

お部屋の中で、みんなは、うさぎのアリスとねこのヒラリーが作っておいてくれた、あたたかいココアを飲みます。

 

小さなうさぎとねこが作ってくれるココアが飲めるなんて想像しただけで、にやにやしてしまいますね。

 

絵本の中に「ココア」という単語が出てくるとなんだかとても幸せな、温かい気分になるのは、私だけでしょうか?

 

そしてこのとってもかわいらしい4人組には、これ以上ないほど「ココア」が似合うのです。

 

ココアであたたまった4人はクリスマスツリーの準備のため、あれこれ働きます。

 

ところがツリーに飾る「おほしさま」がありません。

エリーちゃんは「おほしさま」を探しにいくことにしたのですが…。

 

さりげなく登場する優しいサンタさんも、なんだかスリムでどちらかというと妖精のような雰囲気です。

 

みんなで協力して、みんなで作り上げるクリスマスの日。完成したツリーを満足そうに眺める4人の後ろ姿がとても微笑ましく、クリスマスには必ず読みたくなる一冊。

 

チャルマーズの描く絵は、どの作品もとってもかわいらしいんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

・まりーちゃんのくりすます

 

 

 

『まりーちゃんのくりすます』

文・絵 フランソワーズ

訳 与田準一

岩波書店

ふゆです。

ゆきが ふりました。

まりーちゃんは、

いいます、

しろい ひつじの

ぱたぽんに。

「もうすぐ くりすますよ、

わたし とっても

うれしいわ、ぱたぽん。」

 

ぱたぽんは ききます。

くりすますですって?

わたし しらないわ。

くりすますの こと

わたしに おしえて、

まりーちゃん。」

(本文ママ)

 

この、まりーちゃんとぱたぽんの会話のかわいさ。

 

ひつじの名前が「ぱたぽん」というのも、すてきです。

 

テンポよく繰り返される二人の会話は、独特のリズムがあって、まるで歌のようです。

 

サンタクロースからプレゼントがもらえることが嬉しくて仕方ない様子で、ひたすら浮かれ気味のまりーちゃんに対し、

 

「わたしには 四つの ちいさな くろい くつ(黒い足先)が あるわ。でも わたしの くつは ぬぐことが できません。だから だんろの そばに おくことも できません。 さんたくろーすは くりすますの ぷれぜんと、わたしには おいていかないわ、まりーちゃん。」

 

と、かなしそうに答えるぱたぽん。

 

テンション高めのまりーちゃんのセリフと、かなしそうなパタポンのセリフが交互に繰り返されます。

 

 

まりーちゃん、もう、これ以上ぱたぽんの前でクリスマスの話はやめてあげて…

という気持ちと共に、このいじらしくかわいいぱたぽんに猛烈に何かあげたい気持ちが読者の心にわきあがってきたところで…

 

 

安心のハッピーエンドへと向かっていきます。

 

 

読み終えた頃には、みんなまりーちゃんとぱたぽんのファンになること間違いなしです。

 

 

 

 

第2夜、いかがでしたでしょうか?

 

 

かわいい子たちのひたすらかわいいクリスマス絵本で、ぜひみなさんも心の休息を…。

 

 

 

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【大人におすすめのクリスマス絵本】第1夜〈しっとり味わうクリスマス〉

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こんにちは〜、oicchimouseです。

 

今日から全4回(第1夜〜第4夜)にわたって、【大人におすすめのクリスマス絵本】と題しまして、子どもはもちろんのこと、大人にこそぜひ読んでいただきたい、クリスマスの名作絵本を数多あるクリスマス絵本の中から厳選してご紹介していきたいと思います。

 

みなさま、ぜひ、お付き合いくださいませ。

 

第1夜の今日は、

 

〈しっとり味わうクリスマス〉

がテーマです。

 

ぜひ、ご堪能ください。

 

 

 

・トムテ

 

 

『トムテ』

ヴィクトール・リードベリ 作

ハラルド・ウィーベリ 絵

山内清子 訳

偕成社

 

 

「しんしんとひえる まふゆのよぞらに、ほしがつめたくまたたいている。

 

もりにかこまれたのうじょうでは、すべてがねむりについている。

 

きはしずかにそらをあゆみ、やねやきぎに

つもったゆきを、さえざえとてらしている。

 

めをさましているのは、こびとのトムテただひと

り。」

(本文ママ)

 

 

 

トムテは、スウェーデンの農家や仕事場などに住んでいる小人です。

 

この絵本は、ゲーテの『ファウスト』の訳者としても有名な、スウェーデンを代表する作家、ヴィクトール・リードベリによって書かれた『トムテ』という詩に、エルサ・ベスコフ賞受賞のハラルド・ウィーベリが美しい絵を添えたもの。

 

非常に色鮮やかで、ところどころに「光」を効果的に取り入れた手法が印象的です。

 

冬の農場で、夜まわりするトムテ。

月明かりに照らされる白銀の雪景色。

 

農場の動物たちを見守り、いつもトムテを大事にしてくれる主人夫婦を見守り、すやすやと眠る可愛い子どもたちを見守る。

 

「人はどこからきて、何処へいくのか」

トムテは考えます。

 

非常に哲学的で普遍的な問題を、読者は、トムテと一緒に夜まわりしながら思い巡らすことができるのです。

 

美しい絵と共に味わう極上の詩。

 

ぜひ、美しい詩とともに、ウィーベリの作り出す印象的な「光」のある景色を楽しんでみてください。

 

 

・もみのき そのみを かざりなさい



 

『もみのき そのみを かざりなさい』

五味太郎 著

アノニマ・スタジオ

発行:KTC中央出版

 

「ほし めざめなさい

ふね とびなさい

さめ わすれなさい…」

(後略・本文ママ)

 

と、1ページごとに、印象的なワンフレーズと美しく落ち着いた雰囲気の挿絵が描かれています。

 

絵本のページをめくるごとに読者の心の中に一つ一つのフレーズが、オーナメントのように徐々に集約され、心の中のもみの木(挿絵に描かれたもみの木と重なる)に丁寧に飾られていく…。そしていよいよクリスマスの夜へ…。

 

クリスマスの準備を全て終えた静かな夜。心の中に言葉のオーナメントを飾りながら、ゆっくりと味わいたい一冊。

 

 

・クリスマスって なあに

 

 

『クリスマスって なあに』

ディック=ブルーナ 作

ふなざき やすこ 訳

講談社

 

キリスト生誕に関するお話ではありますが、宗教色を強く感じることもなく、シンプルで清々しく心地よい感じのする絵本です。

 

また、ブルーナ作品には珍しく、くすみカラーが随所に用いられ、どこか落ち着いた印象です。

 

原作者のブルーナさんと翻訳者のふなざきさんが共に大切にしていた「声に出して読んだ時に耳に心地の良いリズム」

 

ぜひ、声に出して読んで、言葉が奏でる音の素晴らしさをご自身の耳で聞いて楽しんでください。

 

あっ、そうそう。

 

ブルーナの描く絵本のキャラクターたちが、いつも正面を向いているのは、何故だか知っていますか?

 

それは、

『キャラクターたちはいつも、本と向き合っているあなたのことを見ている』

という、ディック・ブルーナの深い愛情が込められているからだそうですよ。

 

 

・ゆうびんやのくまさん

 

 

『ゆうびんやのくまさん』

フィービとセルビ・ウォージントン さく・え

まさき るりこ やく

福音館書店

 

「あるところに、ゆうびんやのくまさんが、たったひとりですんでいました。くまさんは、バッジのついた ぼうしと、てがみや はがきを いれる かばんを もっていました。

 

くまさんは、にちようびのほかは、まいあさ、とてもはやく おきます。

ふゆには、そとは、まだ くらいこともあります。……」(本文ママ)

 

 

 

「ゆうびんやのくまさん」の1日がシンプルな文章と美しい絵でつづられている小さな絵本です。

 

このお話は、何か読者が驚くような特別な出来事がおこるわけではありません。

 

でも、実はこの絵本、大人の心にとてもよく響きます。日々の仕事に疲れているときには特に。

 

シンプルで癖のない穏やかな文章が心にすっと浸透し、固くなった大人の心をほぐしていくのです。

 

絵は可愛くて美しいだけではなく、注意深く見るといろいろな部分に「くまさん」のこれまでの人生や人柄が見え隠れしています。

 

例えば、くまさんは今一人で暮らしているけれど、部屋には美しい女性のくまの絵や、その女性とくまさんの結婚式の写真が飾られています。

 

くまさんはかつて結婚していたけれど、奥さんが亡くなって今は一人で暮らしているのでしょうか。

 

でも、くまさんにはちゃんと「ゆうびんや」の仕事があって、仕事をサポートしてくれる人がいて、配達に行くと町の人たちにとても喜ばれている。

 

くまさんの仕事ぶりはとても丁寧で真面目。

今日はクリスマスで、配達先のお宅でクリスマス・パイとジンジャーエールもふるまわれます。

 

仕事が終わり、うちに帰ったくまさんは、とても疲れていたのでお風呂に入って晩ごはんを食べます。

そして、クリスマスの夜を一人で静かに過ごします。

 

くまさんはさみしいでしょうか?

 

きっと、そんなことはないのです。

 

だって、くまさんの部屋の暖炉の上には「くまさんへ パーティーにきてください ジャンとアンナより」という手紙が飾られていて、クリスマスツリーのまわりにはくまさん宛てのたくさんのクリスマスプレゼントが置かれているのですから。

 

それらの包みには……

 

「くまさんへ」

「大すきなくまさんへ ジェインより」

「くまさんへ 愛をこめて」

「くまさんへ」

「ゆうびんやのくまさんへ」

 

と書かれているのが見えます。

 

くまさんは「一人」だけれど、「一人きり」ではないのです。

 

くまさんは寝ます。

ベッドの横に「サンタさんへ どうぞ おのみください」と書いた手紙とミルクとクリスマス・パイを置いて。

 

この絵本は「ゆうびんやのくまさん」の一日を描いた作品ですが、この一日は単なる一日ではありません。

 

これまでくまさんが真面目に丁寧に働きながら心を込めて積み上げてきた「たくさんの一日」の上に成り立つ特別な一日なのです。

 

いつもがんばっている自分宛のクリスマスの贈り物にぜひ。

 

 

 

お読みくださり、ありがとうございました。

 

では、次回、第2夜をお楽しみに…。

 

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クリスマス絵本は〈4種類〉購入がおすすめな理由(クリスマス絵本の失敗しない選び方)

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こんばんは。oicchimouseです。

 

 

この間、久しぶりに大きめの本屋さんに行ってきたのですが、本当にたくさんのクリスマス絵本があって、とても素敵な眺めでした。バイヤーさんのセンスがいいのか品揃えも豊富。

 

 

とはいえ、これから何かと物入りな年末年始が控えていますし、あれもこれもとその場の雰囲気で衝動買いするのは得策ではありません。それにクリスマス絵本はものすごく種類が多い〜。

 

 

 

物価高騰も続いていますので、本屋さんに行く前にまずは、しっかり計画を立てましょう。

 

 

 

以下は、(絵本は基本図書館派)のoicchimouseが、「あえて購入をお勧めするクリスマス絵本〈4種類〉」の選び方です。⬇︎

 

 

 

 

〈購入をお勧めする4種類のクリスマス絵本〉

 

 

1.サンタクロースがプレゼントをもってくる本

2.クリスマスとは何か書かれた本

3.日本とは異なるお祝いの仕方をしている国が舞台の絵本

4.クリスマスがテーマのお話で、上記1〜3の内容と重ならないもの

 

 

 

では、順番に解説していきましょう。

 

 

 

1.サンタクロースがプレゼントをもってくる本

 

まず、1番はじめに選びたいのがこのタイプの絵本です。日本では基本的に、「クリスマスはサンタさんがプレゼントをくれる日」ですよね?

小さな子どもたちが朝目覚めると、枕元にあるのはサンタさんがくれたプレゼント。このクリスマスの素敵で特別な体験と同じことが丁寧に描かれている絵本を、まずは購入してください。子どもが、本の世界を心の底から楽しめるようになる為に大切なのは、「体験と読書が重なりあう」経験をすること。

幼い子は、「自分の知っていること、自分と同じこと」がとても好きなのです。

 

(例)⬇︎

 

 

 

 

 

2.クリスマスとは何か書かれた本

 

2番目に選びたいのが、このタイプの絵本です。

子どもたちは、クリスマスが何なのか知りたいのです。

子どもたちが「知りたい」時は、その気持ちに答えなければなりません。

どこまで詳しく説明するか、どの視点から説明するか、で、選ぶ本が変わってきますが…。

 

一つは、みなさんご存知の「イエス・キリストの誕生日バージョン」。

 

もう一つは、「クリスマスの行事がキリストの誕生日と結びつく前の段階から歴史的に説明している、めっちゃ詳しいバージョン」

(ちなみに、イエス・キリストの誕生日はもともとはいつなのかよく分かっていないそうです。なので大昔は東方の三博士がベツレヘムに誕生したキリストを訪問したとされる1/6をキリストの誕生日として祝っていたとか)

 

 

私の本音としては、「両方のバージョンをぜひ読んでいただきたい!」

 

ですので…

 

小さい頃には、「イエス・キリストの誕生日バージョン」1冊。

 

小学校中学年以降に、「クリスマスの行事がキリストの誕生日と結びつく前の段階から歴史的に説明している、めっちゃ詳しいバージョン」追加購入されるのがお勧めです。

 

読んでみて、難しいようであれば無理に読みきらずに本棚に寝かせておいて次の年、そのまた次の年へ…という風に先延ばししても構いません。

 

読んで楽しいと感じられる時まで気長に待ちましょう。

本に書いている対象年齢にとらわれすぎてはいけません。

(子ども服でも130サイズ〈9〜10歳くらい〉と書いてあっても、実際の9〜10歳は、130サイズも着るし、デザインによっては120サイズや140サイズを着ることもあるし、また、体格によっても選ぶサイズは違いますよね。これと同じことです。)

 

 

(例)⬇︎

 

 

 

 

 

3.日本とは異なるお祝いの仕方をしている国が舞台の絵本

 

1と2の、基本となる絵本の次に選びたいのが、こちらのタイプの絵本です。

 

例えば、クリスマスにサンタクロースではないもの(ヤギや、むちうちおじさん)が秋田のナマハゲのように子どもたちを脅しながらプレゼントを持ってくる国のお話や、「ピニャタ」とよばれる紙製のくす玉人形を目隠しして叩き割る「ポサダ」という行事を行うメキシコのクリスマスのお話など、様々な絵本があります。

 

「同じクリスマスでも、国によって、文化によって、お祝いの仕方が異なる」という事実は、「クリスマス=サンタクロース」になっている子どもたちの目には、とても新鮮に映ることでしょう。

 

 

絵本の中に入り、登場人物と一緒に、「その国のクリスマス」を「その国の方法で」お祝いする擬似体験は、子どもたちが多種多様な文化や価値観を認め尊重し、自然に受け入れることのできる心の土台を作り上げます

 

絵本を読むことで、子どもたちは、文化の異なるたくさんの外国の子どもたちと、ひととき「同じ釜の飯を食べる」ことができるのです。

 

異なる文化や価値観を、知識として「学ぶ」のではなく、その中から本当に大切な本質を「感じる」ことこそが、重要であると考えます。

 

(例)⬇︎

 

 

 

 

4.クリスマスがテーマのお話で、上記1〜3の内容と重ならないもの

 

あとは、子どもが繰り返し楽しめるような、上質なクリスマス絵本を選びましょう。「わが家でクリスマスといったらこの絵本!」のような特別な1冊が見つかるといいですね。

 

このタイプのクリスマス絵本の選書のポイントは、人生の中で訪れる3度のタイミング〈少年期・青年期(または壮年期)・老年期〉で読んだとき、その全ての段階で十分に満足できる内容かどうかを想像して絵本を選ぶことです。

 

(例)⬇︎

 

 

 

 

 

 

 

(まとめ)

 

【購入をお勧めする4種類のクリスマス絵本】

 

1.サンタクロースがプレゼントをもってくる本

 

2.クリスマスとは何か書かれた本

 

3.日本とは異なるお祝いの仕方をしている国が舞台の絵本

 

4.クリスマスがテーマのお話で、上記1〜3の内容と重ならないもの

◎人生における3度のタイミング〈少年期・青年期(または壮年期)・老年期〉で読んだとき、その全ての段階で十分に満足できる内容の絵本)

 

 

【購入の方法】

1〜4のタイプの絵本の中から1冊ずつ、合計4冊を購入する。

(小学校中学年で2のタイプの中の「めっちゃ詳しいバージョン」を1冊追加購入)

 

*ただし、タイプ2と3は、ご予算や本棚の収納スペースに応じて、購入でなく図書館で借りるのでもいいと思います。

 

 

【その他】

保存版の4冊以外のクリスマス絵本は図書館で借りて読む→どうしても手元に置いておきたいと思ったものだけ、追加購入する。

Amazonに出品している古書店さんやBOOKOFF、おしゃれな古本屋さんなどを利用するのもおすすめ。お目当ての絵本をお安く購入できたり、希少価値の高い掘り出し物のアンティーク絵本がみつかることも…。

 

 

 

 

 

いかがでしたか?

 

クリスマス絵本の選び方のイメージが描けたら、早速、本屋さんに行って選んでみましょう!

基本の4冊がそろったら、あとは絵本のタイプに関係なく毎年一冊ずつクリスマス絵本を増やしていくのも素敵ですよ。

 

ぜひぜひ楽しんでくださいね〜。

 

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実はクリスマス絵本だった『だってだってのおばあさん』(oicchimouse思い出話のおまけ付き)

【今日のおすすめ絵本】(対象…4歳頃から)

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『だってだってのおばあさん』

作・絵 さのようこ

フレーベル館

 

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〈実はクリスマス絵本だった!〉

 

「クリスマスになると雪の降る美しい街のたくさんのたくさんのおばあさんに、この絵本を贈りたいのです。でもこれ子どもの絵本でしょうって?だって、おばあさんは一番たくさん子どもの心を持っているんですもの。」

(巻末〈作者あとがき〉より本文ママ)

 

 

 

実はクリスマス絵本でもあった『だってだってのおばあさん』です。

 

こちらの〈あとがき〉には、佐野洋子さんがかつて住んでいた、おばあさんだらけの美しい街での思い出が綴られています。

 

佐野さんが、初めてその街に着いた日はクリスマスイブで、雪が降っていて、乗っていた車の前を白い狐が横切っていったそうです。

 

私は「だってだってのおばあさん」本編と同じくらい、この〈あとがき〉が大好きです。

 

というのも、この〈あとがき〉がもうすでに、素晴らしいファンタジーの雰囲気をまとっていて、一つのわくわくする物語のようだからです。

 

クリスマスに、たくさんのおばあさん達が、この絵本を手にゆっくりとくつろいでいる様子を想像すると、幸せな気持ちになります。

 

さのさんからたくさんのおばあさんたちへの、「なんでもできるような気がする心」というクリスマスプレゼント。素敵ですね。





〈本文あらすじ〉

99歳のお誕生日を迎えるおばあさんに、ケーキに立てるための99本のろうそくを買ってくるように頼まれた猫。

 

ところが、猫は買い物の帰りにろうそくを川の中に落としてしまいます。

 

残ったろうそくは、5本だけ。

 

仕方がないので、おばあさんと猫は、5本のろうそくをケーキに立てて、お誕生日のお祝いをします。

 

ろうそくが5本なので、おばあさんはその日から5歳になりました。

 

5歳になったおばあさんは、何でもできるのです。

*****

 

 


(おまけ)

私がかつて、某金融機関に勤めていた頃。


私もおばあさんだらけの街で一人で暮らしていました。

 

銀行窓口には毎日たくさんのおばあさんがいらっしゃいました。

 

天気のいい日になると、何故か涙が止まらなくなるというおばあさん。

 

一人暮らしだった私に筑前煮を差し入れてくれるおばあさん。

 

いつも、すみれちゃんという可愛いお孫さんを連れていらっしゃるおばあさん。

 

他のおばあさんにからんでおばあさん同士で喧嘩を始める喧嘩っ早いおばあさん…

 

 

 

さまざまなおばあさんがいらっしゃいましたが、今でも忘れられないのは、狐に取り憑かれているというおばあさんです。

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

エレベーターが開くと、一人のおばあさんが、ふらついた足取りでカウンターに倒れこんできました。

 

「うっ…。はぁはぁはぁ…。あぁ、もうあかんわ。ここは、ほんまにあかんのや。お姉ちゃん、なんも感じやんか?お狐さんがきついんよ。」

 

「えっ…?」

 

「あああ…。なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ。うっ!ううう…。」

 

おばあさんが、念仏を唱えながらその場に座り込んでしまいました。

 

「大丈夫ですか⁉︎救急車…」

 

隣の席の先輩に目をやると、先輩は黙って首を振り、「いいからそのまま手続き進めて」と真顔で言いました。

 

私は「大丈夫ですか?すぐ手続きしますので…」と言って手続きをはじめました。

 

すると急におばあさんは普通に戻り、すたすた歩いて席に戻りました。

 

そして、できた書類を返そうと、おばあさんを呼ぶと、またふらつきながら呼吸も荒く、カウンターに倒れこんできました。

 

 

バンッ!

 

 

「うう…ううう…。かんにんな。はぁはぁ…。もうあかんわ。ぎゃあ!なむあみだぶ、なむあみだぶ。お姉ちゃん、おかしなばあさん来たなぁと思てるやろ。」

 

「いえ、とんでもないです…!いつもご利用ありがとうございます。」

 

「けどな、ほんまにここは狐がきついんや」

 

 

 

そのとき、エレベーターからたくさんのお客様が入ってきました。

 

するとおばあさんは、「ああっ!」と叫んで、スーパーボールのようにフロア中を跳ね回りながら、机やカウンター、ソファなどありとあらゆるものにぶつかりながら帰っていきました。

 

 

 

「驚いた?」

 

あっけにとられている私を見て先輩が言いました。

 

「えっ…。そりゃあ驚きますよ。あのまま一人で帰して大丈夫なんですか?」と聞くと、先輩は、「いつものことだから大丈夫。外に出たらちゃんとしっかり歩いてるよ。ここにお狐様がいるせいなだけだから。今日はギャラリーが多かったからやる気出たのかもね。」と言いました。

 

 

 

「えっ、ここってお狐様がいるんですか?」

 

 

「さあ、どうかね。」

 

 

先輩は怪しげな笑いを浮かべました。

 

 

 

 

以上、私のおばあさんにまつわる思い出でした。

 

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サンタさんの存在を怪しんでいる子どもたちへ『サンタクロースっているんでしょうか?』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から大人)

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『サンタクロースっているんでしょうか?』

子どもの質問にこたえて

 

〈一八九七年九月二十一日ニューヨーク・サン新聞「社説」〉

中村妙子 訳

東逸子 絵

偕成社

 

 

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(あらすじ)

〈一八九七年九月二十一日 ニューヨーク・サン新聞「社説」〉


ニューヨーク・サンしんぶんしゃに、このたび、つぎのような手紙がとどきました。

 

さっそく、社説でとりあげて、おへんじしたいとおもいます。

 

この手紙のさしだし人が、こんなにたいせつなしつもんをするほど、わたしたちを信頼してくださったことを、記者いちどう、たいへんうれしくおもっております。

 

***

 

きしゃさま

あたしは八つです。


あたしの友だちに、「サンタクロースなんていないんだ。」っていっている子がいます。


パパにきいてみたら、
「サンしんぶんに、といあわせてごらん。しんぶんしゃで、サンタクロースがいるというなら、そりゃもう、たしかにいるんだろうよ。」
と、いいました。


ですから、おねがいです。おしえてください。サンタクロースって、ほんとうに、いるんでしょうか?

 

バージニア=オハンロン

ニューヨーク市西九五丁目一一五番地
(本文ママ)





アメリカの『ニューヨーク・サン』新聞にのった社説が中村妙子さんによって翻訳され絵本になったものです。

 

 

今ではクリスマスを代表する古典の一つとなり、ファンも多いですね。

 

 

私もちょうど、サンタクロースが本当にいるのか怪しく思いはじめた頃、家にあったこの本を読みました。

 

 

子どもだった私が、この本を読み終えて思ったのは、「サンタクロースが本当にいるかどうか」ではなく、この世の中には、「子どもがサンタクロースを信じる心を、こんなに大切に守ってくれる素敵な大人がいるんだ」ということでした。

そのことは、サンタクロースが実在することと、同じくらいドキドキワクワクすることで、結果、私の中で「サンタクロースはいる」ことになりました。

 

 

 

『東京子ども図書館』名誉理事長であり、児童文学作家の故・松岡亨子さんは著書、『サンタクロースの部屋 子どもと本をめぐって』(こぐま社)の中で次のようにおっしゃっています。

 

「心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。

サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。

だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、ここに迎えいれることができる。

 

この空間、この収容能力、つまり目に見えないものを信じるという心の働きが、人間の精神生活のあらゆる面で、どんなに重要かはいうまでもない。」(本文ママ)

 

 

 

 

クリスマスの朝に目を覚ますと、なんだかいつもすがすがしいような、満ち足りた気分になっているのは、きっと夜の間にサンタさんが、大人になった私にも何か置いて行ってくれているからだろう、といつも思います。

 

 

サンタさんの存在を怪しんでいる子どもたちにぜひ読んでいただきたい一冊です。

 

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🎄クリスマスのアドベントシーズンに読みたい本🎄サンタクロースの故郷フィンランドのお話集『夏のサンタクロース』

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【今日のおすすめの本】(対象…小学校中学年から大人まで)

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『夏のサンタクロース』(フィンランドのお話集)

アンニ・スヴァン 作

ルドルフ・コイヴ 絵

古市真由美 訳

岩波書店

 

 

 

(あらすじ)

ある夏の日、子どもたちは、草の上で、ぜいぜいあえぎ、うめきながら横たわっている、ぼろぼろの身なりをした、白いひげのおじいさんを見つけます。

 

 

 

おじいさんの着ている服はあちこちやぶれ、ひげはちぎれて、ブーツは片方しかはいていません。

 

 

 

「自分はサンタクロースだ」と名乗るおじいさんに、子どもたちはびっくり。

 

 

子どもたちはサンタクロースの存在を話でしか聞いたことがなく、家に来てもらったこともないけれど、自称サンタクロースを家に連れていって休ませることにしました。

 

 

 

サンタクロースの話によると、洞窟の入り口の前で眠り込んでいたら、寝ている間に、森の化け物「ヒーシ」にブーツの片方を奪われ、激しいもみあいになって、結果、このようなぼろぼろの姿になったとのこと。

 

 

 

サンタクロースのブーツは一歩進めば10キロも先に行ける、特別なブーツなのです。

 

 

 

ブーツがないと、クリスマスのプレゼント配りができない、と嘆くサンタクロースをかわいそうに思った子どもたちは、サンタクロースのブーツを取り戻すべく、「ヒーシ」の住む森へと出発しました…。

表題作「夏のサンタクロース」より

最近の毎夜のお楽しみ『夏のサンタクロース』

 

 

フィンランドで「童話の女王」と呼ばれているアンニ・スヴァンの作品集です。

 

 

民話や昔話の影響を色濃く受けているような雰囲気のお話が、表題作「夏のサンタクロース」を含め13編、おさめられています。

 

 

 

物語の中で、主人公の背景の中の植物や動物が自然にしゃべりだしたり、お話の中の景色の中にいる全てのものに命があって、意志があるような描き方がされています。

 

 

 

自然に対する畏怖や親しみも。

 

 

 

お話はどれも美しく、壮大でドラマチック。

 

 


景色が次々と絵巻のようになめらかに目の前に浮かんでくるようです。

 

 

 

そして、お話を彩るルドルフ・コイヴの挿し絵がまた素晴らしい。

 

 

 

繊細でありながら重厚感があり、一枚一枚額縁に入れておきたいような美しさです。

 

 

 

大人の方や大きいお子様だけでなく、毎夜、一話ずつ、小さいお子様への読み聞かせにもおすすめです。

 

 

 

寝る前に聴くクラシックのような一冊。

 

 

クリスマスのアドベントシーズンにいかがですか?

 

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欠けた時間を埋めるのは優しいファンタジー『きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは……』

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【今日のおすすめ絵本】(対象…小学校低学年から)

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『きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは……』

作 市川 宣子

絵 はた こうしろう

ひさかたチャイルド

 

 

(あらすじ)

あっくんのおとうさんは、なかなか帰ってこない日があります。

 

寝る時間になっても帰ってこない夜。

 

 

おとうさんは、どこでなにをしているのでしょう?

 

 

きのうの夜、おとうさんはありんこのおとうさんたちと、もぐらのおとうさんたちと、みみずのおとうさんとスコップで地面に穴を掘っていました。

 

 

また、別の日のきのうの夜、おとうさんは不思議な男の子を乗せて、空飛ぶボートを漕いで夜空を飛んでいました。

 

 

またまた別の日のきのうの夜、おとうさんは……。



帰りが遅くなった日の翌日の夜に、ベッドの隣でおとうさんが子どもに、「きのうの夜、おとうさんがおそく帰ったわけ」を話しながら寝かしつけをしている、というスタイルで語られたお話4篇で構成されています。

 

 

それぞれのお話の終わりには次の日曜日に、あっくんがおとうさんと思いきり遊ぶ楽しそうな休日の様子が見開きいっぱいに描かれていて、それがとても素敵です。

 

 

早く帰りたいけれども、遅く帰らなければならない理由があるおとうさん。

 

 

それでも、子どもと向き合える時間にはしっかりと愛情を注ぎ、「おとうさんの帰りが遅い」という子どもの寂しい気持ちと不在になる時間を、虚実の境目のようなファンタジーの世界でたっぷりと満たしてあげる。

 

 

非常に素敵なお父さんです。

 

 

いつも忙しいお父さんから子どもへの読み聞かせの時間に…。

 

また、お父さんのお誕生日や父の日のプレゼントなどにもおすすめの愉快で楽しい一冊です。

 

 

 

 

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今日は村山籌子さん生誕120年記念日!『川へおちたたまねぎさん』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から大人まで)

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『村山籌子作品集3 川へおちたたまねぎさん』

村山籌子 作

村山知義 絵

JULA出版局

 

 

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(あらすじ)

 

 

【こぐまさんのかんがえちがい】(『川へおちたたまねぎさん』より)

 

おねこさんが、持っていた赤いホオズキ。

 

 

おねこさんが、ホオズキの皮をむいて実を出すのを見て、どうしても欲しくなったこぐまさんは、自分の家の畑にホオズキの木があった気がして、「明日二つにして返すから、一つだけください。うちにホオズキの木があるの」と言って、おねこさんのホオズキを分けてもらいます。

 

 

こぐまさんは、うれしくてうれしくて、その晩一晩、ホオズキを手の中に入れて眺めたり着物を着せてお人形さんにして遊びます。

 

 

次の日、こぐまさんがおねこさんに返すためのホオズキをとりに畑に行くと、ホオズキの木だと思っていたのは、別の木だったのです...。

【月しゃのふくろをなくしたあひるさん】(『川へおちたたまねぎさん』より)

 

あひるさんはなきながら学校からかえってきて、おかあさんにもうしました。

 

 

「おかあさん、先生からいただいた月しゃのふくろをおとしたの。先生にしかられるといや。」

 

 

おかあさんはおっしゃいました。

「あひるさんや、カバンのなかをしらべてみて、なかったら、あした先生によくおはなしをなさい。」

そして、おやつのぎゅうにゅうをくださいました。

けれども、あひるさんはひと口ものみません。[中略]

 

そして、あひるさんはベッドのなかへもぐりこんで、「おかあさん、いますぐ月しゃのふくろをみつけてください。」と、わあわあなきわめきました。[後略](本文ママ)

以前ご紹介させていただいた『3びきのこぐまさん』と同じ、村山籌子・知義ご夫妻による『村山籌子作品集3 川へおちたたまねぎさん』です。

 

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表題作【川へおちた たまねぎさん】をはじめとするいくつかの短編と、童謡、絵ばなしが収められた贅沢な一冊です。

 

 

 

全体的にシュールな雰囲気が漂っておりますが、ただのシュールではありません。

 

 

 

村山籌子さんの素晴らしいところは、童話として未だ誰も扱っていない部分に、鋭く切り込んでいることだと思います。

 

 

 

それは日常の様々な場面において、子ども達が遭遇する、「小さな不安」です。

 

 

 

大きな問題事というものは、形がはっきりしているので、子どもも大人に具体的に説明しやすく、また、大人のほうでも、状況や心情を把握しやすいものです。

 

 

ところが、大人にとっては取るに足らないように感じられる出来事であったり…一見些細なことに思える問題が子どもの世界の中で時間の経過と共に、妙な形に入り組んでしまったり…ふとした拍子に抜け道の分からない複雑な不安の世界に放り込まれてしまったとき…。

そのことは大人の目には見えない上に、子どものほうでも問題の形が複雑で不鮮明であるがゆえ、説明の仕方も解決の方法も分からないのです。

 

 

 

子どもが密かにその小さな心を痛めていること。誰しも大人になると忘れてしまうけれども、確かに小さかった頃には感じたことがあるであろう「小さな不安」。それが引きおこす、心がしめつけられるような鈍く重い痛み。

 

 

霞のように捉えづらい、認識しづらいテーマを、これほどまでに鮮明に読者の前に掲示し、クリアにすることができる力量は、他に類を見ません。

 

そして、子どもたちのどんな小さな不安も見逃すことなく全てすくいとり、大きく優しい腕で包み込み、「絶対に大丈夫ですよ」と語りかけて安心させてくれるのです。

 

 

 

編集にあたられた、やまさき・さとし氏による、巻末掲載の〈編集のあとに〉によると、村山籌子氏の告別式で日本児童文学者協会を代表して猪野省三氏は、「多くの作家が戦争文化におもね、けがれた流れに身を投げかけて行った時に、あなたは純潔を守り通しました。〈中略〉子供に対する愛情が、こんなに清潔に結晶した作品は、他に求められないものでした。それは、あなたの人格が、どんなに清く尊いものであったかを示すものです。」と述べたそうです。

 

 

すべての子どもたちの目の前にいつもこのような本があれば、どれほどその小さく柔らかい心が救われるか。

大人になってから読むと、見失っていた視点に再び立ち帰ることができ、子どもの頃の小さな自分にもう一度出会える気がします。

 

 

村山籌子さん生誕120年の今、改めて読んでいただきたい傑作です。

 

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湯けむりの中で巡る山の季節『花豆の煮えるまで』

【今日のおすすめの本】(小学校高学年から大人まで)

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『花豆の煮えるまで』(小夜の物語)

安房直子 作

味戸ケイコ 絵

偕成社

 

 

(あらすじ)

 

小夜には、お母さんがありません。小夜が生まれて、ほんのすこしで、お母さんは、里へ帰ってしまったのです。

 

里というのは、お母さんの生まれたところで、そこは、山をいくつもこえた梅の花のきれいな村だということです。

 

けれどもだれもー小夜のお父さんですら、そこをたずねることは、できないのでした。

 


『そこは、山んばの村だから。』
と、小夜のおばあさんはいいました。


『おまえの母さんは、山んばの娘だったんだよ』
山んばの娘だから、山んばの里に帰ってしまったので、それはもう、どうにもしかたのないことだったのだと、おばあさんはいいました。

(本文ママ)

おばあさんは、台所で花豆を煮ています。

 

 

 

 

おばあさんは、小夜に、お父さんとお母さんが出会ったときの不思議な出来事を話しはじめました。

 

 

 

 

ちょうど花豆の煮えるまで…。

 

 

 


異類婚姻譚は、昔から世界中に存在していますが、ちょうどその後日譚というところでしょうか。

 

 

 

 

主人公、小夜のおばあさんが営む、山奥の温泉宿が舞台のお話です。

 

 

 

 

子どもにとっては、山んばやきつね、火の精、鬼、木の精が出てくる不思議なファンタジー。

 

 

 

 

大人には、ファンタジーの先にある少し深くて苦くて、けれどどこか温かさもある現実の世界。

 

 

 

 

昔は小夜の側に立って読んでいたのが、大人になってから読むと、無意識に自分がおばあさんの側(大人の側)に立って読んでいることに気付きます。

 

 

 

 

子どもが読むとファンタジーになり、大人が読むとファンタジーの皮が剥けて一般の小説のように感じられる不思議な本です。(本当の意味で楽しめるのはいろいろな人生経験を積んだ大人かもしれません。)

 

 

 

 

決して明るい雰囲気のお話ではありませんが、描写の美しさと主人公の繊細な心の動きがとても丁寧に描かれた、しっとりとした魅力のあるお話です。

 

 

 

 

湯けむりの中に見え隠れする幻想的な世界。

四季折々の花々や紅葉の鮮やかな色。

山奥の少しひんやりとした空気感。

花豆を茹でる香り…。

 

 

 

 

児童文学の巨匠、安房直子さんが紡ぐ、珠玉の名作。画家の味戸さんが描く美しい挿絵も見どころの一つです。

 

 

 

 

五感全てで味わえる、秋に読みたい一冊。

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これであなたもクラスの人気者⁉︎手品デビューにおすすめの本3選

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こんにちは。oicchimouseです。

 

 

これからの季節、ハロウィンやクリスマス、お正月など、人が集まる機会が多くなってきますよね。

 

 

そんなパーティーやイベントの盛り上げ役にぴったりなのが『手品』。

 

 

もちろん、学校の休み時間やビジネスシーンでのアイスブレイクにもおすすめですよ。

成功すれば、大人も子どもも、みんなに一目置かれること間違いなし!

 

 

今日はそんな手品デビューにぴったりな本をご紹介いたします。

 

 

まずはこちら⬇︎

『てじなでだましっこ』

かがくのとも傑作集

佐伯俊男 さく

福音館書店

 

 

こちらは、対象年齢4歳〜ということもあり、小さなお子さんでも簡単にできて楽しめる手品ばかりが紹介されています。

 

大人の方の中にはこの絵本で紹介されている手品を小さい頃にお友達とやったことがある方もいるかも…?

 

絵本なだけあって、ただ手品のやり方がつらつらと紹介されているのではなく、ちゃんと始めから終わりまでストーリー仕立てになっているので、とっても分かりやすいですよ〜。

 

⚫︎消えたマーブルチョコ

⚫︎色が変わる不思議な花

⚫︎簡単なトランプの手品

⚫︎輪ゴムの引っ越し

⚫︎見えない糸で動くハンカチ

など

 

の手品が紹介されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

小学生以上の方におすすめなのが、こちら⬇︎

 

②『超ウケキッズマジック』
藤原邦恭 
いかだ社
 
こちらの本で紹介されている手品は、特別な準備や道具があまり必要なく、主に、学校で使っている文房具などを使ってできるものがほとんどなので、まさに休み時間や自由時間にお友達の前で披露するのにぴったり!
お家で念入りに練習して、みんなをあっと驚かせてみましょう。
 
⚫︎そろいでる数字
⚫︎二分の一の確率
⚫︎曲がるペン
⚫︎ハンカチネズミ
⚫︎ありえない再生紙
など
 
解説のイラストの線が太くて見やすいのでとても分かりやすいですよ。
 
 
 
 
 
 
 
最後は大人の方にもおすすめの本格手品のこちら⬇︎ナポレオンズが監修の
③『みんなびっくり!超ふしぎ!すぐにできる手品』(ナポレオンズ監修 日東書院)

 

こちらは、3冊の中で一番本格的な手品です。大人の方もあっと驚く手品が盛りだくさん。簡単にはタネを見破れませんよ〜。コイン、お札、ハンカチ、紙コップ、トランプなど、多少、道具を用意する必要があるので、パーティーなどに向いています。

大人の方でも十分楽しめる内容になっていますので、忘年会に向けてぜひぜひ今から練習してみてくださいね〜。

 

⚫︎お米がマジックで増量キャンペーン中

⚫︎のび〜るハンカチ

⚫︎環境にやさしい墨汁

⚫︎ふたごのバナナ

⚫︎残りものには福が…

⚫︎うそ発見トランプ

など

 

 

 

 

 

 

本ではないですが、NHKの『テキシコー』という番組の中のコーナー、「ロジックマジック」の、ロジカルなマジックも簡単なのにすごく不思議で面白いですよ!⬇︎

www2.nhk.or.jp

 

 

いかがでしたでしょうか?

みなさんもぜひ不思議で楽しい、手品の世界に浸ってみてくださいね〜。

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『お月見に読みたいとっておき絵本10選』(昔ながらの白玉入りフルーツポンチのレシピのおまけ付き)

 

こんにちは。oicchimouseです。

 

あさってはいよいよお月見ですね。『お月見に読みたいとっておき絵本10選』をまとめてみました。記事の最後には、おまけで白玉入りフルーツポンチのレシピを載せています。

 

1『つきとあそぼう』


谷内こうた 絵  内藤初穂 文   至光社

明るい夜に、雲の中から出てきた人が月をボールのようにして遊びます。

文章は、ほとんどありません。

そして、真っ暗な夜空には星が描かれておらず、あくまで月にフォーカスしています。

幻想的で不思議な味わいのある絵本です。大人の方にもおすすめ。

 

2『おやすみなさいおつきさま』


マーガレット・ワイズ・ブラウン作 クレメント・ハード絵 せたていじ訳 評論社

みどりのお部屋のベッドに入っているうさぎの子ども。部屋の中の鮮やかな緑と赤のコントラストが目を惹きます。お部屋の中のいろいろなものに、「おやすみなさい」を言っていくうちに、だんだんだんだん、みどりのお部屋が暗くなっていきます。時間が少しずつ変化していく様子や明暗の描き方が非常にリアルで、自分も今その空間にいるような不思議な感覚になる絵本です。英語版は文章が韻を踏んでいて、また違った味わいが楽しめます。

 

3『ドロミテの王子』

 

トミー・デ・パオラ さく ゆあさ ふみえ やく
ホルプ出版

「おはなしのおじさん」という紙芝居屋さんのようなおじさんが、村の子どもたちに、お話を語って聞かせるというスタイルで進んでいきます。

「おはなしのおじさん」は、作者のトミー・デ・パオラ自身がモデルとなっています。

ドロミテの山々が、まだ暗かった頃、王を亡くしたお妃様は一人で国を治めていました。

お妃様の息子である王子は、亡くなった王とそっくりな、気立てのいい、賢い少年となり、みんなから慕われていました。

やがて王子は19歳になり、花嫁を探すことになりました。
美しいお姫様がたくさんお城に招かれ、花嫁選びのパーティーが開かれましたが、王子の気にいる女性は現れません。

夜もふける頃、外の空気が吸いたくなって、王子は庭に出ます。

満月がこうこうと空にかかり、あたりの空気は、降り注ぐ月の光にしっとりと濡れているようです。
その瞬間、王子は目の前に、美しい姫君の姿を見ました。

それ以来、王子は何かに取り憑かれたかのように毎日月ばかり見るようになりました。
昼はずっと眠り、夜になると山へ月を見に行く姿を見て、人々は王子を馬鹿にするようになり、お妃様は悲しみます…。

イタリアに古くから伝わる民話がもとになっているお話ですが、とにかくロマンチックで、うっとりします。

月に住むお姫様と、地上の王子様。
もしかして、セーラームーン は、このお話がモチーフになっていたりして…と勝手に想像してしまいます。

おはなしのおじさんが、締めくくりに語る、エーデルワイスがなぜ山に咲いているか、のおまけ話も素敵です。

 

4『おつきさんどうしたの』

 

E.M.プレストン 文  B.クーニー 絵  岸田衿子 訳   岩波書店

「こどもたちを ねかせて がちょうの かあさんが いいました。
『おとなりの めんどりさんのとこへ ちょっと いってくるわ。いいこに しててね、ベッドから でないで。
じゃ、おやすみ』
そうして そとへ ゆきました。」

がちょうの子どもたちの中の一羽は、かあさんが出ていくとすぐにベッドから飛び出して、床を通って、ドアの外へ、丘をおりて池の方へ。

がちょうの子どもが池に入ると、頭の上には、大きな金色の「おつきさん」。

がちょうの子どもが、「おつきさん」を見ていると、「しろいきつね」が忍び寄り、「おつきさん」は「しろいきつね」に食べられてしまいました。

がちょうの子どもは、急いでおひゃくしょうさんに知らせに行きます…。

バーバラクーニーの描き出す夜の風景がとても美しく、わくわくします。

 

 

5『月がくれたきんか』

 

ルッサント 作  ウィルコン 絵
いずみ ちほこ 訳  セーラー出帆

貧乏なミロが、白い馬を買うために貯めていた大事な銀貨7枚を、お金持ちのルドは、「鋤が壊れて買いかえないといけないが銀貨が7枚足りなくてかえないから貸して欲しい」と嘘をついて、持って行ってしまいます。

いつになっても一向にお金を返してもらえず困るミロに、ルドは「月のきんかでよければ、すぐかえせるが」と、またホラを吹くのですが…。 

ヨゼフ・ウィルコンの美しい絵が、静かな夜にぴったりの一冊です。

 

 

6『つきへいったら』

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7『いもぱくり』

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8『あたごの浦』

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9『おどりたいの』

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10『まんげつのよるまでまちなさい』

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(おまけ)



お団子はお月さまにお供えした後、フルーツポンチに入れて食べます⇧

 

[oicchimouseのさっぱり美味しい昔ながらの白玉入りフルーツポンチの作り方]

 

①シロップを作る…900ccの水に180gの砂糖(三温糖で作ると独特の風味が出ておすすめです)を入れて煮る。そして冷ます。

 

②寒天を作る…粉末寒天一袋(4gほど)に対して600ccの水と砂糖60gを混ぜて、沸騰してから2分間煮る。この時、よくかき混ぜながら煮る。(メーカーによって異なる可能性があるのでご注意ください。パッケージ通りの作り方で構いません)

 

③冷蔵庫で寒天とシロップをそれぞれよく冷やす。

 

④寒天をサイコロ状に切り、シロップに入れる。りんご、缶詰のみかん、桃なども入れる。

 

⑤白玉を作る…白玉粉の袋の表示に従って少しずつ水をいれながらしっかりこねる。絹ごしどうふを少し入れると時間がたってもかたくなりにくい。耳たぶくらいのかたさになったらお団子の形に丸める。沸騰したお湯にお団子を入れていき、浮かんできたら冷水にとって冷やして出来上がり。

 

⑥冷やしておいた、寒天とフルーツ入りのシロップの中に、食べる直前に、スライスしたバナナと、白玉団子を入れていただきます。

 

 

ぜひみなさん、美味しいお団子を食べながら、美しい月を眺めて、眠る前にはお月さまの絵本を読んで、素敵な月夜をお過ごしくださいね。

 

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お月見に読みたい幻の絵本『つきへいったら』

【今日のおすすめ絵本】(小学校低学年から大人まで)

『つきへいったら』

クロウディア・ルイス  文
レオナード・ワイスガード 画
藤枝澪子 訳

福音館書店

 

 

(あらすじ)

「ぼくが つきへ いったら かがくしゃたちには クレーターを たんけんしてもらおう。」

 

 

 

 

男の子は、想像の中で月へ行きます。

 

 

 

 

想像なのですが、そこはすでに本当の宇宙で、男の子は月に降りたって、地球を眺めています。

 

 

 

 

男の子は、迫力満点の美しい地球を月から望遠鏡で観察します。

 

 

 

 

「さばくはあかちゃいろだ。はたけや のはらは みどり こいみどりは もりのいろだ。ほっきょくは こおりで まっしろ。 ひのひかりが うみに あたって ピカッ と ひかる。」

 

 

 

 

男の子は月の山に腰かけて、日本の海辺とアメリカの海辺とを眺めます。

 

 

 

 

そして、砂浜で子どもたちが遊んでいる姿を思い浮かべます。

 

 

 

 

しだいに、地球の半分は暗くなり、男の子の家のあるあたりはだんだんと暗い方に入って行きます。

 

 

 

 

男の子は、何千万という人々が自分の今いる月に目を向けていることを、思い浮かべます。

 

 

 

 

男の子は、月の基地で寝ます。

 

 

 

 

「ちきゅうは ちかい。おやすみ。こちらは うまくいっている。ちきゅうでは どうかな。」





こちらは科学絵本ですが、いい意味でそれをまったく感じさせません。

 

 

児童文学者でもある著者のクロウディア・ルイスが「子どもというものは、からだ全体でものごとを感じとる。だから、作家が生きた言葉をつかみとり、耳に快い響きやリズムをだしてやれば、子どもは耳を傾け、くりかえし聴くだろう。」と述べているとおり、この絵本は、科学絵本でありながら、とても耳に心地のよい美しい言葉で紡がれており、詩をよんでいるような気分になります。

 

 

 

美しい文章にぴったりの素晴らしい挿絵は、1947年コールデコット賞受賞のレオナード・ワイスガード(レナード・ワイスガード)です。

ファンの方も多いですね。

 

 


表紙も美しいですが、中はさらにすごいことになっています。

 

 

この絵本という小さいスペースの中に本物の宇宙が広がっていて、主人公と共に、読者も本当に月に降りたつことができます。

 

 

まさにファンタジーと科学の融合。科学絵本というカテゴリーに、収まりきらない名作です。

 

 

巻末には、東京天文台の平山智啓さんによるあとがき、「月からみた地球」も掲載されていますが、こちらも素晴らしいです。

 

 

お月見にぜひ…

 

 

〈『つきへいったら』おまけのエピソード〉

以前図書館で借りて読んで、この本のあまりの美しさに虜になり、Amazonなどを探しましたが、古書でも見つからず。

 

Instagramを通じて古書店のFrobergue(フローベルグ)さんに「探求本」という形で依頼し、ずっとこの本を探していただいておりました。3年前(2020年)のちょうど今頃(9月半ば)のことです。

 

すでに絶版で希少なため、やっぱり見つかるのは難しそうかな…と諦めていたのですが、それが先日、入荷のご連絡をいただき、3年の時を経て、ついに昨日私の手元にやってきたのです。

 

長い間、待ち望んだ絵本の扉をそっと開いた瞬間の高揚感、店主さんが本に添えてくださった心のこもったお手紙。丁寧な梱包から、一冊一冊の本への愛情がとても伝わってきました。ぜひ、今度は実店舗にもお伺いしたいと思います。

 

 

お店はこちらです⬇︎オンライン販売もされていますので、遠方の方でも購入できます。

frobergue.storeinfo.jp

 

 

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ハロウィンに似たスリル満点の日本の伝統行事『いもぱくり』『みいげつ』『トゥンガモーキャー』

【今日のおすすめ絵本】(対象…5歳頃から)

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『いもぱくり』

こどものとも年中向き 通巻79号

 

伊藤秀男 さく

福音館書店

 

(あらすじ)

 

いもめいげつの日に行われる「いもぱくり」。

 

 

 

どこの家もお家の前にお供物をします。

 

 

 

おいも、すすき、りんごにつきみだんご、ビスケット。

 

 

 

ひのみやぐらのうえに、うれしい満月ののぼるころ、「いもぱくり」がはじまります。

 

 

 

いもぱくりの日は、よその家のお供えをこっそりもらってきてもいいのです。

 

 

 

暗闇の中を美しい名月に照らされた大勢の子どもたちが、あっちへの家へこっちの家へ渡りあるく微笑ましい光景。

 

 

 

どんなに騒いでも今夜だけは大丈夫。

 

 

 

芋を食べながら歩きまわれるように、家からフォーク持参の強者まで…。

 

 

 

「やまださんの まんじゅうは おれたちが もらったぜ」

と自慢する、なつかしのやんちゃ坊主たち。

何気にジャック・オ・ランタンを手に持って、和洋折衷スタイルです。

 

 

 

お供物を盗んでいく子どもたちを、窓の隙間から微笑みながらのぞいている大人たち。

大人たちもみんな楽しそう。

 

 

 

夜もふけてきたころ、子どもたちは、ホクホクの笑顔で家へと帰っていくのです。





雑誌こどものとも(年中向き)、1992年発行の作品です。

 

 

 

まだ、日本にハロウィンがそこまで定着していない頃に描かれた絵本ですが、登場人物の手にジャック・オ・ランタンがあるのが、なんとも不思議な感じがします。

 

 

 

地域によって呼び方や行事の日にち、お供物を盗むときのルールなどは様々ですが、

 

「いもぱくり」

「お月見泥棒」

「みいげつ」

「トゥンガモーキャー」

 

などと呼ばれています。

 

 

私の地元でも祖父が小さいころは行われていたそうですが、その昔、お寺のお坊さんか誰かが、「盗み」という風習は、道徳的に良くないと言ったとかで、母の代には無くなっていたそうです。

 

 

 

近代的な価値観とは合わないと判断されてしまったのかもしれませんが、実は「お供物を子どもに盗まれる=お月様が召し上がった」ことを意味しているのだとか…。

 

 

 

盗むというスタイルをとることによって、目に見えないものの力を表現しているのかな?

 

 

 

お供えものを盗まれたら米が豊作になるとも言われているそうです。

 

 

 

また、図書館で司書さんに教えていただいたのですが、

 

子どもたちが盗みにきた気配がすると、ドアを開けて家の人が外に飛び出してきて、バケツに入れた水を子どもたちに「バシャン!」とかけて追い払おうとする。

 

→そして、水をかけられた子どもたちと家の人との、お供物をめぐっての激しい攻防が繰り広げられる……。

 

という一風変わった風習スタイルの地域もあるそうです。

 

 

 

考えただけで、面白そうですよね。

 

 

 

まだまだ「いもぱくり」の行事が残っている地域も多いようですが、今ではいろいろな事情もあり、大人が積極的にお菓子を配るスタイルが主流になりつつあるようです。

 

 

 

「子どもたちだけで暗闇の中を盗み歩く」という本来のスリル満点なスタイルでこの行事を地域の子どもたちにも体験させてあげたいですが、防犯面やらなんやらを考えるとなかなか難しいのでしょうねえ…。

 

 

 

 

 

 

「みいげつ」に関してはこちらのサイトに記事が詳しく載っていました⬇︎

すごくいい記事です。

時代に応じて行事のかたちは変わっても、子どもたちのきらりと光る笑顔は変わりません。大人も子どももいい顔をしていますね。

colorfuru.jp

 

「トゥンガモーキャー」については、以下の2つのサイトに詳しい記事が載っていました⬇︎子どもたちが「トゥンガトゥンガ」と言ってまわる様子は可愛くて面白いですね。

 

https://amami-minamisantou.keizai.biz/headline/56/

 

yoronfun.com

昔、自分たちが小さかった頃の景色を懐かしみつつ、与論島の皆さんは子どもたちが楽しめるように色々な工夫をして、島全体で子どもたちを大切に育てている様子が伝わってきます。

 

 

 

 

ハロウィンにしても、いもぱくりにしても、世界各国にある、子どもを主役にした行事というのは、子どもが、目には見えない不思議な世界と現実の世界をつなぐ「使い」のような役割を担う存在として認識されてきたことがよく分かります。

 

これは「子ども」という存在の中に、人の力の及ばないもの、なにか神聖なものを感じて大切にしてきた人類共通の認識だと言えるでしょう。

 

 

 

目に見えない大切なものや、当たり前ではない自然の恵みに感謝しつつ、先人が伝えてきた行事を子どもたちと一緒にこれからも大切にしていきたいものですね。

 

 

ハロウィンもいいですが、日本に古来からある日本の風土や考え方にあった行事も、ぜひこのお月見の機会に子どもたちに伝えていってもらえるとうれしいです。

 

 

 

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実りの秋に読みたい一風変わった畑の話『ふうせんばたけのひみつ』

【今日のおすすめ絵本】(対象…低学年から大人まで)

f:id:oicchimouse:20230920152702j:image

『ふうせんばたけのひみつ』

ジャーディン・ノーレン 文

マーク・ビーナー 絵

山内智恵子 訳

徳間書店

 

 

(あらすじ)

 

「ハーベイ・ポッターって、すごくかわってるんだよ。

 

おひゃくしょうしてるのは、みんなといっしょだけど、そだててるものが、ぜんぜんちがうの。

 

ほんもののふうせんのうじょうをやってるんだ。

お役人だって、ちゃんと見にきたんだから。

 

どうやって、ふうせんなんか生やせるのか、だれにもわからなかった。

 

そんなの、手品にきまってるじゃないかっていうやつらもいたけど、あたしは、ちゃんと、この目で見たのさ。

 

いんちきなんかじゃない。

 

そこらへんのふつうの地面から、ほんもののふうせんが、にょきにょき生えてくるんだ。」(本文ママ)



この絵本の感想をどのように書けばよいのか、悩みます。

とてもワクワクして、胸がドキドキして、読み終えると例えようのない満足感で心が風船のように満たされます。

 

 

他に類を見ない魅力的で個性的なストーリー。

 

 

何かを語るのは野暮なような、何を語っても足りないような、そんな気がします。

 

 

ジャーディン・ノーレンさんの紡ぎ出す独特のストーリーや世界観が、マーク・ビーナーさんのダイナミックな絵によって、現実世界ギリギリの領域にまでぐいぐいと迫ってきます。

 

 

 

絵本の中では、とても不思議なことが起こっているのだけれど、まるでファンタジーではないような。

 

少し手を伸ばせば、つかめそうなファンタジーとでも言いましょうか。

 

 

 

モーリス・センダックの絵本が大好きで、暗記するほど読んだというマーク・ビーナーさんですが、印象的な影の描き方や、絵の構図、アングルが非常に特徴的で、ページをめくるたびに、読者は、まるで自分が絵本の中に生きて、その現場をまさに今目撃している登場人物の一人のような気分になってしまいます。

 

見開き一面に広がる風船畑は、圧巻です。

 

 

 

ストーリーには全く関係ありませんが、空に浮かぶ雲も、時々、沢山の動物の形になっていたり、そうかと思えば次のページでは完全に普通の雲に戻っていたりと、遊び心も満載。

 

 

 

そして、ラストシーンが近づくにつれて…

 

 

「え…!?」

 

 

そういうことだったのか!!

 

 

驚きと、なんともあたたかな心地よい鳥肌が立ちます。

 

 

 

夢がたっぷり詰まった大きな風船と、進むべき道を無事収穫した女の子の不思議な物語です。

 

 

 

 

絶版・希少で、やや入手困難ですが、図書館カウンターでお願いすると、他府県の図書館からも取り寄せしてもらえますので、ぜひぜひ手にとってみてくださいね。

 

ちなみに、私は図書館で他府県から取り寄せしてもらって読んで、どうしても手元に置いて繰り返し読みたくなってしまったため、アマゾンの中古本で購入しました。⬇︎

 

 

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